試打結果は関係なし! ユーチューバーと同じスペックを指名買い
ゴルフクラブ購入時に試打データを取って、どんなスペックが自分に合っているのかを調べて購入するのが当たり前の時代になってきました。でも、合っていないスペックをかたくなに欲しがるゴルファーも決して少なくないようです。
最近は、ネットで情報収集をしてからショップに訪れる人も増えてきていますが、まずは、そんなお客様のお話。

「YouTubeなどを見て、試打に来てくれたのですが、そのユーチューバーに感化されすぎていて、スペックを決め打ちで来店されたんです。でも、実際に打っていただくと、指定されたものは、明らかにオーバースペックで……。いいデータが出ていないにも関わらず『やっぱり〇〇さんが勧めるだけのことはある』と、かたくなにそのスペックを求めてらっしゃいました」
「しかし、その人にはもう少しやさしめのスペックの方がいいはずなんですが、それ以外には興味がないようで……。本来ならば、その方に最適なスペックを購入いただくのが、試打していただく目的なんですが、こういう時代ですから」
「ヘタにすすめてしまって、結果が出なかったりすると『変なモノをつかまされた。自分が欲しいスペックとは違うモノを無理矢理買わされた』などとSNSに書きこまれ、炎上するのリスクもあります。そのまま静かに販売させていただきました。試打をする意味があったのでしょうか?」
自分のスイングでいい結果が出せるかどうかを調べるための試打。いくらユーチューバーがすごくても、自身に合わなければ意味がありません。
勧めたスペックでミスショットが出るとショップ側の責任に…
同じような話は他にもありました。
「60歳は超えてらしたと思うんですが、そのお客様は『タイトリストの620MB、シャフトはダイナミックゴールドのS200装着モデルをください』とおっしゃるんです。見た目以上に体力がある方なのかな? と思いつつ、実際に打っていただくとあきらかにオーバースペックでした」
「そこで『重くないですか?』とお聞きしたんですけど『俺はこれが欲しい』の一点張り。お話をうかがうと、今までの使用クラブはタイトリストの「AP2」。『でしたら、T100アイアンのほうがオススメですよ』とお伝えしたのですが、『いや、MBがいい』と一歩も譲らない感じでした。試打結果を踏まえて、いろいろお話させて頂いたのですが、まったく聞いていただけなかったので、ご希望通りの商品を販売させていただきました」
試打したうえで、あきらかなオーバースペックを購入する人は多いようです。
「ドライバーのシャフトセレクトですが、そのお客様は60グラム台を求めていらっしゃいました。でも、試打データをとると60グラムでは明らかに重く、振り切れていませんでした。そこで、50グラム台を打っていただいたところ、明らかに良い結果が。そのまま50グラム台のシャフトで購入いただきました」
「しかしその後、1発コースで打ったらショットが曲がったそうで。再び来店されて『ほらみろ、俺は50じゃないんだよ。60なんだよ! 交換してくれ!』と……。お客様が求めるものと異なるものを売った私が悪いので、そのときは応じました。ただ、こういったお客様にはフィッティングしたくないというのが本音ですね」と話してくれました。
今回話を聞いたゴルフショップの店員さん、昔はお客様とスペックの件でお互いの主張をぶつけあうことも多かったそうです。しかし、
「お客様自身が納得して購入されるのが一番ですね。私が試打結果などを踏まえてオススメしたスペックを購入されても、ダメだった場合すべてショップ側の責任にされてしまいます。最近はお客様が言うとおりに販売するようになりました」
「何かアドバイスをしてうまくいかないと、すぐにSNSなどで悪い書き込みをされてしまうのも困るので、『はい、かしこまりました!』と販売するようになっちゃいました」
と残念そうに話してくれました。
自身のスイングを知り、最適なスペックへと導いてもらうための試打フィッティング。思い込みで自分には合わないスペックの商品を購入し、使うことは自分自身が上達を妨げていますよね。何だかとても、もったいない話だと感じました。