「これはヒドイ!」サブグリーンをウェッジで削る不届き者は“確信犯”か“ルールの勘違い”か?

コロナ禍以降、活況を呈しているゴルフ場。一方で困った問題も浮かび上がっています。埼玉県の某ゴルフ場では、クローズしていたサブグリーンを何者かがウェッジで削り取るという深刻な被害が起きていました。

「ターフの取れ方から見て、ある程度の経験者」

 コロナ禍においても密にならないスポーツとして見直されたゴルフ。ゴルフ場の入場者数もここのところ好調で、トップシーズンだった10月は平日、土日祝とも満員との声がそこかしこで聞かれました。千葉県の某ゴルフ場(18ホール)では、10月30日の日曜日、早朝スルーを含め80組(一般的には最大50組前後)が入っていたとの情報もありました。

ウェッジで無残に削り取られたグリーンの実際の写真 写真:ゴルフ場提供
ウェッジで無残に削り取られたグリーンの実際の写真 写真:ゴルフ場提供

 ゴルフ場が盛況であることは喜ぶべきこととはいえ、一方で困った問題も浮かび上がっています。埼玉県の某ゴルフ場では9月中旬、クローズしていたサブグリーン上に深刻な被害が起きていました。何者かがプレー禁止を意図するロープを跨いでサブグリーンに入り、ボールが止まっていた場所から直接プレーし、ターフを削り取ったというのです。

 しかもこの件は1度きりではなく、2日後に別のホールでも起きました。掲げた写真がその現場です。2回ともグリーン上を大きく削り取っています。今回、ゴルフ場名は公表しないことを条件に掲載許可を得ることができました。写真を見る限り、ロープも張られ使用禁止の表示もしてあります。

 それだけに、ゴルフ場もこうした状況を見過ごすわけにはいきません。公式ウェブサイトの「新着情報」のコーナーに「サブグリーン上のルールについて」と題したお知らせを掲載。

 そこには〈サブグリーンはプレー禁止エリアになります。サブグリーンとは、コース内で使用していないもう一つのグリーンの事です。当日はグリーン手前に「CLOSE」看板を設置しております〉と、ルールについて明記。さらに、そこで起きた異常な事態を、写真とともに報告しています。〈先日、サブグリーンからウェッジを使ってプレーをされた方がおり大事なグリーンが傷ついてしまいました〉。

 最後は〈皆様が気持ちよく、快適にゴルフプレーを楽しんでいただけるようにゴルフマナーをお守りいただきますようご理解、ご協力をお願い申し上げます〉というお願いで結ばれていました。

 一体どこの誰が、こんな暴挙に出たのでしょうか。

 被害を受けた関係者も「ターフの取れ方から見て、ある程度の経験者であることは分かります。そういうゴルファーがどうしてこんなことをしたのか、まったく分からないですね」と、困惑していました。

 グリーンのダメージは大きく、1カ月半たった時点でも「まだ完全に修復されたとは言えない」状態。芝をいためただけでなく、コースを日々磨き上げているコース管理の人々も、心をいためているに違いありません。

2グリーンは高温多湿の日本で年中ゴルフを楽しむ工夫

 そもそも論になりますが、サブグリーンは日本特有の気候の産物であることが、ゴルフ史を紐解くとよく分かります。1903年、六甲山の上に日本のゴルフ場第1号である兵庫県の神戸GCが産声を上げたときは、砂を固めたサンドグリーンでした。同じく兵庫県の横屋GAに次いで日本で3番目のゴルフ場として1906年に開場した神奈川県の根岸GCは競馬場内に設立されたため、芝の導入が容易だったこともあり芝のグリーンが初めて実現します。

 それから約4半世紀、ゴルフ場は次々に生まれていきますが、それらは高麗芝と野芝で覆われていました。しかし一つ悩みの種がありました。夏は元気な高麗芝ですが、冬場は枯れてしまうのです。そこで東京GCの朝霞コース(埼玉県)で、常緑芝である洋芝によるベントグリーンが採用されることになります。

 同コースの会員だった岩崎小弥太がイギリスから持ち帰った種が、同GC駒沢コース(東京都)で育っていることを相馬孟胤が発見。研究と培養を重ねたエバーグリーン種が移転先の朝霞コースで採用されました。1932年5月に開場した朝霞の後を追うように1カ月後、ベントグリーンを使用した廣野GC(兵庫県)がオープンします。

 しかし寒冷地の芝であるベントは日本の夏に耐えられません。1932年6月に開場した霞ヶ関CC西コースに導入されたクリーピングベントグラスのグリーンも8月の干天酷暑で悪化。高麗の第2グリーンを1934年末に完成させ、夏は高麗、冬のみベントを使用する流れが出来ます。

 1932年5月オープンの朝霞も芝に病気が発生し、たまらず夏用の高麗グリーンを造ることになります。そして1970年代までこのスタイルのゴルフ場が増えていきます。グリーンが2つあれば、一方を休ませて養生ができ、育成と管理の負担も軽くなるという利点があったからです。

 世界ランク1位の常連であるアメリカの名門パインバレー(ニュージャージー州)にも8、9番と2グリーンのホールがあります。こちらも大会の開催時期に状態が悪いため、臨時のグリーンとして使用されるそうです。

 このようなホールで、もし使用していないほうのグリーンに乗せてしまった場合、プレーヤーはその球をあるがままにプレーすることはできません。ゴルフ規則13.1fに沿って、罰なしの救済を受けることになります。この場合はコースエリアの完全な救済のニヤレストポイントを起点としたワンクラブレングス内にドロップします。

ルール上の曖昧さで過去にはさまざまなトラブルが

【写真】グリーンはみんなで守ろう! グリーンフォークの使い方

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グリーンフォークでボールマーク周辺の芝生を寄せる
グリーンフォークでボールマーク周辺の芝生を寄せる
グリーンフォークでボールマーク周辺の芝生を寄せる
最後はパターヘッドで整地
ポケットには入れているがほとんど使わないビギナーも多いグリーンフォーク 写真:AC
基本は二本刃タイプだが、使い慣れると一本刃が便利
特殊な形状の刃がついたスパイダータイプのグリーンフォーク
長さの異なる刃がついたピッチフィックス フュージョン2.5
ウェッジで無残に削り取られたグリーンの実際の写真 写真:ゴルフ場提供
歴史のあるコースでよく見かける2グリーンは夏と冬の気温差が大きい日本で年中ゴルフを楽しむための工夫だった(写真はイメージです) 写真:AC
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