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- 「これはヒドイ!」サブグリーンをウェッジで削る不届き者は“確信犯”か“ルールの勘違い”か?
コロナ禍以降、活況を呈しているゴルフ場。一方で困った問題も浮かび上がっています。埼玉県の某ゴルフ場では、クローズしていたサブグリーンを何者かがウェッジで削り取るという深刻な被害が起きていました。
ルール上の曖昧さで過去にはさまざまなトラブルが

ただ日本の場合は2グリーンのコースが多く、過去にはその処置をめぐり多くのトラブルが生まれました。それはサブグリーンに対する解釈及びローカルルールが競技団体によってまちまちであったためです。
1999年のVISA太平洋マスターズ(太平洋C御殿場C)では当時19歳のセルヒオ・ガルシア選手が最終日の最終18番でサブグリーンに“2オン”。「欧州ツアーでは可能だ」と主張してグリーンの外にドロップしてプレーしましたが、競技委員会から「あるがままにプレーしなかった」として2打罰を課せられました。
2004年のミズノクラシック(瀬田GC北C)2日目、当時19歳だった宮里藍選手は、ガルシア選手とは逆の選択により2打罰を課せられました。3番のパー5での第2打がサブグリーンに乗ったため、宮里はあるがままの状態からアプローチ。ところが、米女子ツアーと共催のこの大会では、サブグリーンに乗った球の処置が通常の日本ツアーとは違っており、サブグリーンに乗った球は救済の処置を取って打たなくてはならなかったのです。
宮里選手はこのホールをダブルボギー。試合のほうも2位タイに終わっています。
当時はサブグリーンから、あるがままの状態でプレーする様子をファンは目にしていたわけです。しかし2017年の2月1日、JGA、JGTO、JLPGA、PGAの4団体はこの年のシーズンよりサブグリーンの規則上の扱いを統一することを決定します。予備(サブ)グリーンは規則定義「目的外のパッティンググリーン」として扱うことになりました。
「以来、ルール上のトラブルはありません」とJGA関係者は語っています。当時の混乱した状況は、ルールが統一され5年が経ったことで収束したのは確かなようです。ただ、一般ゴルファーはどうなのでしょうか。かつてトーナメントでサブグリーン上からあるがままの状態で有名プロたちが打っていた姿を見ていたゴルファーが、ルールを知らないままプレーしているとしたら……。被害を受けたゴルフ場で起きている事態もあり得ない話ではありません。ただ、本人が名乗り出ていない以上、悪意を持っての行為ではないかとの疑念も払拭されてはいません。
「目的外グリーン」という日本語訳も誤解の元?
サブグリーンでのプレーに関し、ルール研究家のマイク青木さんは、2022年10月に上梓した『ゴルフ用語事典』における「目的外のグリーン(Wrong Green)」の項目で、こう指摘しています。
〈著者はWrong Greenを「目的外のグリーン」と訳すのは間違いだと思っている。ちなみに著者は「間違ったグリーン」と訳している。そもそもゴルフコースには、ルール上、グリーンは次の2種類しか存在しない。
正しいグリーン。
間違ったグリーン。
正しいグリーンにオンさせた球はプレーし続けてホールアウトすればよし。しかしながら間違ったグリーンにオンさせた球やその近くに止まった球の場合は、罰なしに拾い上げて、そのグリーンの外側にドロップしてプレーせよ、と規定している。これは強制規定だから、絶対に従わなければならない。しかるに、JGAは主にプロの競技において、間違ったグリーンによる障害のある球をあるがままにプレーさせ続けた。JGAは誤訳の上、当該グリーンの規則の適用方法まで誤ってきたのである。〉
これについてJGA関係者は「直訳すれば『間違った』とか『違った』というのもいいかな、とは思いますが、『目的外のグリーン』というのも、もう定着していますし。慣れていないせいか、うまく入ってこないっていうのもあるので、そのままになっているというのもあります。(サブグリーンだけでなく)プレーしているホール以外のグリーンも、練習グリーンも『目的外のグリーン』なので、総称する意味でも適切な表現だと思いますので、今の呼び方でいいのかなとは思っています。もっといい表現があれば、とも思いますが」と話すにとどめました。少なくとも今のところは変更する予定はないようです。
とはいえ、この問題は2グリーンのコースが多い日本ならではの現象と言えます。今回の件を受けて、もう一度、サブグリーンからの正しい処置を一般ゴルファーに呼び掛けていくことが必要な時期なのかもしれません。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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