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- 「ホールカップの起源はセントアンドリュースの水道管」は日本だけの俗説!? 英国での定説は?
4.25インチ(約10.8センチ)と決まっているゴルフのホールカップ。セントアンドリュースのトム・モリスが近くで拾った水道管をカップに使用することを思いついたのが始まりだ、というのが日本では定説ですが、これがどうも眉唾もののようなのです。
ホールカップのサイズを決めたのはトム・モリスでなく“鍛冶屋のロバートさん”!?
ゴルフのホールカップの大きさが4.25インチ(約10.8センチ)だというトリビアをご存じの方は多いかもしれません。セントアンドリュースのトム・モリスが近くで拾った水道管をカップに使用することを思いついたのが始まりだ、というのが日本では定説です。

現在オールドコースホテルのあるセントアンドリュース17番の横に、かつて鉄道の石炭乾燥場があり、そこに落ちていた水道管をトム・モリスが拾った、といういかにもそれらしい具体的な起源説も見かけます。
ところがそれらを検証してみると、「トム・モリスの水道管起源説」には異論があります。「マッセルバラの鍛冶屋のロバート・ゲイさん説」がそれです。
そんなホールカップの歴史を探りながら見えてきた、真説をご紹介します。
ホールカップの歴史を探っていて、まず気づくのは、ゴルフ規則のカップのサイズが決められた時のエピソードが、日本と外国ではまったく異なることです。前述の通り、日本では「セントアンドリュース」で「トム・モリス」が水道管を見つけたのが起源という説が流通していますが、外国での歴史記述にはそれが見あたりません。
なぜなのでしょうか?
ゴルフ場のカップに水道管が使われていたのは、どうやら本当のようです。古くはホールインしたあとのカップの中から砂を取り出し、その砂で次のホールの球をティーアップしていました。その方法だと、カップが崩れてだんだん大きくなってしまいます。
競技相手が同じホールをプレーしているマッチプレーならば、それもさして問題になりません。しかし、時代とともにストロークプレーが主流になると、カップのサイズを決めて同じ条件でプレーする必要性が高まりました。そこで水道管が使われるようになり、そのサイズが4.25インチだったというのです。
しかしながら、これをカップのサイズの起源とするのは尚早です。規則でカップのサイズが4.25インチになったことと水道管のサイズが4.25インチであったことの因果関係については確証がなく、“鶏が先か卵が先か”それともたまたまサイズが同じだったかどうかすら誰にも分からないのです。
一方で、スコットランドの鍛冶屋のロバート・ゲイさんが、1825年にモントローズに、1829年にはロイヤルマッセルバラに、1ポンドの対価でホールカッター(カップ切り機)を制作した記録が残されています。
モントローズは世界で5番目に古いリンクスで、ロイヤルマッセルバラは世界で6番目に古いクラブとして知られています。設立当時からの歴史が克明に記録され保存されており、ロイヤルマッセルバラには、1829年に制作された現物のホールカッターが今でも展示されています。そのサイズがまさに4.25インチだというのです。
世界で最初につくられ、これらのコースで使われていたホールカッターが、後にセントアンドリュースにも伝わった歴史が、スコットランドでは広く伝えられています。
その際には同時に、穴のサイズがぴったり同じ水道管が使われていることが、伝えられたに違いありません。また、鍛冶屋のロバートさんが制作を依頼された際に、初めから水道管を使うことを想定して、そのサイズに合う仕様のホールカッターをつくったことも考えられます。
コースにそれらの手法を取り入れる際には、少しくらいはトム・モリスが関わったかもしれませんが、水道管をカップに使うことを初めに見つけたのがトム・モリスで、さらにそれを拾ったのがオールドコースの17番付近だったという偶然が重なることは考えにくいのです。
トム・モリスがセントアンドリュースで拾った水道管のエピソードが真実ならば、R&Aのワールドゴルフミュージアムに、きっとその現物が展示されていることでしょう。しかし展示には、トム・モリスが拾った水道管は見つかっていないと書かれています。
夢のある話だとは思いますが、セントアンドリュースのマーケティングにもつながる脚色が、本来の起源に近い鍛冶屋のロバートさんの功績を覆い隠してしまうとしたらフェアではありません。
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