野球やサッカーのように大雨で中断されるケースはないの?
ゴルフは屋外でプレーするスポーツなので、プレーが続行できないほどの悪天時はラウンドが中断されるケースがあります。特にこれから到来する梅雨の季節は、雨のなかプレーする機会も多くなるので、雨模様のときなど「どうせなら大雨で中止になってほしい」「同伴者の誰かがキャンセルしようと言ってくれないかな」などと考えるゴルファーもいるかもしれません。

しかし、ゴルフ場は多少の雨でラウンドを中断することはありません。では、ラウンドが中断されるケースには、どのようなものがあるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように説明します。
「まず、雷が発生した場合はゴルフ場側から中断もしくは避難指示が出されます。ゴルフ場は標高が高い場所に位置していることや背の高い木がたくさんあることから、落雷の危険性が非常に高いです」
「ラウンド中に雷に遭遇した場合は、すみやかに避雷小屋に避難します。近くに避雷小屋がない場合はバンカーのなかに隠れます。雨よけで木の下に身を隠すのが一番危険なので注意しましょう」
バンカーは凹んでいるぶん、周りよりも地形が低くなっているので落電する可能性が低い場所です。伝導性があるゴルフクラブを持って避難すると通電するリスクがあるので、必ずクラブは置いて、身一つで避難するようにしましょう。
また飯島氏はグリーンが水で覆われてしまうぐらいの豪雨が降った場合も、ラウンドが中断になるケースがあると話します。
「パッティングができないほどグリーンが水で覆われてしまった場合は、ラウンドが中断になるケースがあります。ゴルフ場は雨天時や降水確率の高い日は、グリーンの高い位置にカップを切るようにしています。グリーンの高い位置であれば、カップ周辺やカップに水が溜まりづらくなるためです」
「しかしゲリラ豪雨のように大雨が長時間降ってしまうと、たとえ高い位置に切っていたとしても水が溜まってしまうので、やむを得ず中断します。 しかし、プレーが続行不可能なほどグリーンが水で覆われるケースはほとんどないので、多少の強い雨であればプレーが行われると考えるのが無難です」
「危険が及ぶ可能性がある」「まともにプレーできない」が中断の基準
ほかにも雪でグリーンが覆われてしまった際は、ボールが転がっていかないのでラウンドが中断されるケースがあります。このようにラウンドが中断される状況は、ゴルファーに危険が及ぶ可能性があるとき、もしくはまともにプレーができないほどコースのコンディションが悪化したときといえます。
飯島氏はラウンドが中断されることは滅多にないので、あるがままを受け入れてゴルフを楽しむのがおすすめだと話します。
「昨今のゴルファーは『快晴無風』こそがゴルフ日和であり、雨や風の強い日はなるべくラウンドしたくないと考える人が大半です。しかしゴルフ発祥の地であるスコットランドのゴルフを愛する人たちは、バケツをひっくり返したような大雨に見舞われても、あるがままを受け入れて自然と対峙しながらスコアを追求していくことこそがゴルフの醍醐味の一つだと考えています。梅雨の時期はゴルフ場のキャンセルが頻繁に発生しますが、たまには『雨の日ゴルフ』をあえて楽しんでみるのもいいと思います」
ラウンド当日のキャンセルには料金が発生するとしているゴルフ場も少なくありません。その場合、少しばかり雨や風が強いからといって無償でラウンドを取りやめることはできません。ゴルフ場ごとのポリシーを事前にしっかりチェックすると同時に、安易にキャンセルしようという考えはあらためたほうがいいかもしれません。