初優勝・蛭田みな美と号泣で祝福した藤田さいきはどんな間柄? 優勝祝福シーンで見られるプロ同士の絆

「CAT Ladies」の中継を見ていると、優勝した蛭田みな美以上に藤田さいきが泣いているのが印象的に感じた人も多いと思います。そこで、個人競技であるゴルフにおける「プロ同士の関係」について調べてみました。

「ヒルタミが優勝する時には5ホールくらい前から泣いてるから」

 熱戦が続く国内女子ツアー。ゴルフは個人競技ではありますが、9カ月間という長いシーズンでは毎週のように顔を合わせることもあり、プロ同士がきわめて近い間柄の場合も少なくありません。

 近頃では、SNSなどでプロたちが自分でプライベートも発信してくれるため、その様子を垣間見ることができますが、公の場でそれが見られるのが優勝シーンです。

 同じ組で優勝争いをしていた者同士が、プレー終了後に握手をし、勝者を讃えるのは自然な流れ。それ以上に興味深いのは、グリーンサイドで優勝シーンを見守る仲間たちの存在です。

18番でのまさかの3パット、プレーオフにもつれた戦いを見事制し初優勝を果たした蛭田みな美 写真:Getty Images
18番でのまさかの3パット、プレーオフにもつれた戦いを見事制し初優勝を果たした蛭田みな美 写真:Getty Images

「CAT Ladies」では、初優勝のかかった蛭田みなみ選手を応援する先輩・藤田さいき選手の姿がテレビに何度も映し出されていました。

 26歳の蛭田選手と37歳の藤田選手は年齢もかなり離れています。コーチや母校が同じというようなこともなく、意外に思った方も多かったのではないでしょうか。

 けれども本戦の18番を見ている時点で、藤田選手はすでに涙を流しながら蛭田選手のプレーを見守っていました。3パットボギーでもつれ込んだプレーオフでは、グリーンサイドで両手を合わせ、祈るようにウィニングパットを見守っていました。

 2人はどんな関係なのでしょうか、藤田選手に聞くと、

「前にQT(クオリファイングトーナメント)で一緒にプレーして、ヒルタミ(蛭田みな美)は福島県、私は栃木県(出身で比較的近い)だと話していて、それからかな」と、照れくさそうに、けれどもうれし涙を流しながら笑顔で話してくれました。

 さらに「ヒルタミが優勝する時には5ホールくらい前から泣いてるから、って(蛭田選手の)お父さんにもいってありましたよ。まぁ、娘みたいなもんです」と笑っていました。

 蛭田選手にその話をすると「藤田さんには本当にお世話になっているんです」と、はにかんでいました。学年でいうと12歳差なので「娘みたい」というのは極端ですが、ただの先輩、後輩以上に親しい2人の間柄が伝わってくるシーンでした。

“素顔”が垣間見える優勝直後の祝福シーン

 その前の週に菅沼菜々選手が初優勝した時には、稲見萌寧選手が駆け寄ってハグしていました。2人は同学年で、プロ入りも同じ2018年という同期というつながりがあります。

 いずれも、同じ試合に出ていて先にホールアウトした選手が、優勝争いしている選手を応援しながら待って、祝福するというもので、日頃はライバルであるプロ同士でも、強い絆があることがよくわかります。

 双子の岩井姉妹の場合は、家族でありプロ仲間でもあるので、どちらかが優勝争いをしていれば、応援に駆け付けるというのは自然かもしれません。でも、それ以外でも、祝福シーンから温かい人間関係が伝わってくることはたくさんあります。

菅沼菜々の初優勝時には同期の稲見萌寧が抱き合って祝福(写真は2022年の楽天スーパーレディース) 写真:Getty Images
菅沼菜々の初優勝時には同期の稲見萌寧が抱き合って祝福(写真は2022年の楽天スーパーレディース) 写真:Getty Images

 同郷、同じ学校出身、ジュニア時代からのつながり、コーチが同じ、トレーナーが同じ……などはわかりやすい例ですが、先ほどの蛭田選手と藤田選手のように、ふとした縁がきっかけ、というのも実は珍しくありません。

 同じように、人間関係が伝わってきて面白いのが試合前の練習ラウンドの組み合わせです。もちろん、一人で回ったり、時間の都合でたまたま一緒になったりすることもありますが、仲のいい選手同士が一緒に回っていることもたくさんあります。

 特にコーチが同じ場合は、試合前にスイングチェックなどを受けるために一緒に回るケースが多くあります。残念ながら日本のツアーでは、練習ラウンドをファンのみなさんが見られる機会はとても少ないのですが、何か機会があれば、気にしてみると面白いと思います。

 以前は、遠征先の夜の街でも、仲のよい選手同士で食事に出る姿をよく見かけたものです。ただ、昨今はジュニア出身の選手が増え、サポートしてくれる親御さんやトレーナー、マネージャーなどの”チーム“で動くことが増えました。食事も”チーム“単位の選手も増えました。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会食どころか外食すらできず、ホテルの部屋で食事をしながらの転戦したこともあり、試合が始まってから選手同士で食事、というケースはずいぶん少なくなったようです。

 自分との戦いであるスポーツで、しかも個人競技のゴルフでは、孤独と付き合っていかなくてはいけないことはたくさんあります。そんな中でも、選手たちがお互いに支え合う“素顔”が垣間見える優勝直後の祝福シーン。

 テレビやネットで試合を楽しんだ後は、そこに駆け寄るプロ仲間や、そこで見せる選手たちの表情を見て、その辺りに思いをはせるのも、ファンには何ともいえない楽しみになるでしょう。

【動画】起死回生のスーパーショット!!! 劇的な展開で初優勝を手にした蛭田みな美“勝利の瞬間”をプレイバック 実際の映像

【写真24枚】蛭田がもらったショベルカーだけじゃない! 女子ツアーの凄い副賞コレクション

画像ギャラリー

2023CAT Ladiesで蛭田みな美が獲得したショベルカー 写真:Getty Images
西郷真央が優勝した2022年ダイキンオーキッドレディス 写真:Getty Images
サイ・ペイインが優勝した2022年明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント 写真:Getty Images
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西郷真央が優勝した2022年アクサレディス 写真:Getty Images
上田桃子が優勝した2022年富士フィルム・スタジオアリス女子オープン 写真:Getty Images
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西郷真央が優勝した2022年パナソニックオープンレディス 写真:Getty Images
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小祝さくらが優勝した2022年リゾートトラスト レディス 写真:Getty Images
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イ・ミニョンが優勝した2022年北海道 meiji カップ 写真:Getty Images
岩井千怜が優勝した2022年NEC軽井沢72ゴルフ 写真:Getty Images
稲見萌寧が優勝した2022年ニトリレディス 写真:Getty Images
稲見萌寧が優勝した2022年ニトリレディス 写真:Getty Images
川崎春花が優勝した2022年日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 写真:Getty Images
山下美夢有が優勝した2022年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 写真:Getty Images
小祝さくらが優勝した2022年スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 写真:Getty Images
川崎春花が優勝した2022年NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 写真:Getty Images
山下美夢有が優勝した2022年伊藤園レディス 写真:Getty Images
ヨネックスレディスで優勝した稲見萌寧は「コシヒカリ6俵」を副賞でゲット 写真:Getty Images
毎年話題になるCAT Ladiesの副賞であるショベルカー。昨年は岩井千怜が獲得した 写真:Getty Images
18番でのまさかの3パット、プレーオフにもつれた戦いを見事制し初優勝を果たした蛭田みな美 写真:Getty Images
菅沼菜々の初優勝時には同期の稲見萌寧が抱き合って祝福(写真は2022年の楽天スーパーレディース) 写真:Getty Images
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