現在、日本の女子シニアツアーは3試合のみ
来年にも日本女子シニアオープンが実現する可能性が出てきた。

50歳前後の女子プロゴルファーの間で以前からうわさになっていた新規大会について、開催するなら主催となるはずの日本ゴルフ協会(JGA)山中博史専務理事に尋ねると「今後、その方向ではあります」という答えが返ってきた。
「日本女子シニアオープン単独で開催するのか、日本シニアオープンと一緒に行うのか。出場資格も、日本の女子シニアツアーである(JLPGA=日本女子プロゴルフ協会)のレジェンズツアーは45歳ですが、全米シニア女子オープンは50歳から。そのあたりも含めてまだ決まっていませんが、議題に上がっていることは確かです」と言う。
スポーツ界でも、男女できるだけ同じように大会を開催する方向にあるのは世界の流れ。全米ゴルフ協会(USGA)でも、2018年から全米シニア女子オープンが始まった。第1回がローラ・デービース(英)、第2回がヘレン・アルフレッドソン(スウェーデン)、第3回がアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)と、メジャー女王たちが優勝し、盛り上がりを見せている。
日本勢も第1回大会には米ツアー優勝経験のある小林浩美(JLPGA会長)と、予選から斉藤裕子の2人が出場。斉藤が5位に入って話題となった。
新型コロナウイルス感染拡大によって20年大会は中止になったが、今年、オレゴン州のウェーバリーCCで行われた第5回大会では、11人の日本勢が予選会を突破。第1回大会から出場を続けている斉藤の他に、福嶋晃子や60歳の島袋美幸らも大舞台に立った。
このことでも分かるように、日本でもシニア世代の女子プロたちの競技への思いは熱い。ただ、日本では、レジェンズツアーと言っても今年は試合が3つしかない。そんな状況下、全米シニア女子オープンで毎年、斉藤が頑張っているのを見て予選から挑む選手たちは多い。また「50歳になったら出場したい」と目標にする選手たちもたくさんいる。
そのため「日本女子シニアオープン開催か?」という噂は、あっという間にその世代の女子プロたちの間を駆け巡った。競技を続けているトップアマもしかりだ。
JGAも「なるべく男女同じようにやってくださいと国からも言われています」(山中理事)と、その方向にある。
女性へのゴルフ普及に力を入れているJGA
22年からゴルフの普及振興に力を入れ始めたJGAは、“女性とゴルフ”をテーマの部会も作って活動を始めている。もう一つ、1924年(大正13年)創設のJGAは、来年は100周年というアニバーサリーを迎える。ゴルフの普及振興と、女性ゴルファーに対する注力をアピールするにはこれ以上ないタイミングでもある。
91年に日本シニアオープンが始まり、先週、能登CC日本海・はまなすC(石川県)で行われたのは第33回大会。来年は千葉CC川間C(千葉県)で行われる。
「ハッキリしたことはまだ決まっていません。ただ、来年はJGAが100周年でもあることですし」という山中専務理事の言葉からは、極めて近い将来、女子シニアのナショナルオープンが始まることがはっきりと伝わってくる。来年なら、男子に遅れること33年。ようやく、女子シニアゴルファーの夢舞台が始まる。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。