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C・スミスのビッグマネーの使い道とマキロイのリブ評価発言に見る“対立”を越えた“希望”
リブゴルフに出資するサウジアラビア政府系ファンド「PIF」とPGAツアーの統合に関する詳細発表が先送りされ、ゴルフ界は2024年を迎えてもなお、不透明な空気に包まれている。しかし、この分断を克服し、本来の意味でのゴルフの成長につながる希望も見え始めている。
ホームコースから締め出され練習環境を失ったC・スミス
混迷が続いている昨今のゴルフ界では、「ゴルフというゲームを育てるために(grow the game of golf)」というフレーズが頻繁に登場している。
PGAツアーはリブゴルフへの対抗策として、さまざまが施策を打ち出し、「それが、ゴルフというゲームの成長と発展のためになる」と声を大にしている。
一方、リブゴルフはPGAツアーとは大きく異なる新たなゴルフツアーを創設し、「ゴルフの未来はここにある」と意気込んでいる。
だが、そんな両者の対立と喧噪はなかなか終焉せず、どちらも「ゴルフの成長」を謳っているにもかかわらず、ゴルフ中継の視聴率は両者とも低下の一途を辿りつつある。
このままでは、成長どころか、むしろ「衰退」の二文字が頭をよぎるほどだが、そんな状況下、「ゴルフというゲームを育てる」とは、こういうことなのではないかと思える「朗報」を耳にした。
オーストラリア出身の30歳、キャメロン・スミスといえば、2022年全英オープンを制し、通算6勝を挙げたPGAツアーのスター選手だったが、彼は2022年シーズン終了直後にリブゴルフへ移籍した。
そのスミスが「自宅近くのゴルフコースから締め出され、近所のスーパーマーケットでも嫌がらせを受けている」という報道を目にしたのは、23年の春ごろだった。
スミスの自宅は、PGAツアーの本部がある米フロリダ州のポンテベドラビーチにあり、22年にPGAツアーのフラッグシップ大会であるプレーヤーズ選手権でも勝利を挙げたスミスは、その大会会場であり、PGAツアーの管轄下でもあるTPCソーグラスの名誉メンバーだ。
それゆえ、自宅から目と鼻の先にあるTPCソーグラスはスミスにとって最高のホームコースだった。
しかし、PGAツアーに背を向け、リブゴルフへ移籍すると発表した直後から、ソーグラスでは、ある動きが起こった。
プロショップの壁には、スミスの優勝シーンやトロフィーを掲げた姿をとらえた写真などが多数掲示されており、スミスが優勝時に使用していたゴルフクラブのレプリカも飾られていたのだが、それらは次々に外され、来場者の目に触れないよう、倉庫にしまいこまれてしまった。
クラブハウスのすぐそばに設けられている「チャンピオン専用パーキング」には「2022年チャンピオン、キャメロン・スミス」と書かれた看板が立てられていたのだが、その看板も外され、スミス専用の駐車スペースはなくされてしまった。
きわめつけは、スミスがTPCソーグラスから締め出されてしまったという出来事だった。
「何かと理由を付けられ、回らせてもらえない。練習施設も使わせてもらえていない」
仕方なくスミスは近郊のゴルフクラブのメンバーシップを新たに購入しようとしたが、「それも妨害された」「PGAツアーのジェイ・モナハン会長らによる圧力だ」と、米メディアは報じていた。
自宅近郊の優れた練習環境をことごとく失ったスミスが、ソーグラスの敷地内にある9ホールのセミパブリックコースやそこに併設されているファミリー向けの6ホールのパー3コースで、一般客に混じって練習している姿も何度か目撃され、「スミスがかわいそう」と同情する声も一般のゴルフファンの間から上がっていた。
地元の業者がスミスにゴルフ場開発の出資を依頼
一昨年と昨年にそんな経緯があったため、24年の年明け早々に「スミスにホームコースができた」というニュースを耳にしたときは「ああ、良かった」と胸を撫で下ろし、とてもうれしく感じられた。
米スポーツイラストレイテッドによると、フロリダ州ジャクソンビルにある「ザ・ジャクソンビル」なるゴルフクラブを地元のディベロッパー「コーナー・ロット・ディベロップメント・グループ」が購入し、PGAツアー選手のジム・フューリックにコースの改修と監修を依頼。そして、スミスには出資を依頼したという。
かくして、スミスはこのゴルフクラブの大株主になり、「ザ・ジャクソンビル」はスミスが存分に練習できるホームコースになった。
このコラボレーションは、コーナー・ロット・ディベロップメント・グループのアンディ・アレンCEOが、以前から親交のあったフューリックとスミスにそれぞれ声を掛けて実現したものだ。
アレンCEOいわく、「地元の人々はもちろんのこと、ゴルフを愛する人々のために良きゴルフクラブをつくり上げたい。それがゴルフのためになると信じている」。
このニュースを耳にしたとき、本来なら堂々と使えるはずのホームコースから締め出されていたスミスに、ようやくホームコースができたことに、私はまず安堵した。
そして、PGAツアーでもリブゴルフでもなく、USGAやR&Aといったゴルフ関連団体でもない一般のビジネス企業体が、ゴルフ界における対立とは無関係にPGAツアーとリブゴルフ双方の選手に協力を求め、意義深いコラボが実現したことに、さらなる喜びを感じた。
全米オープン覇者フューリックと全英オープン覇者スミスの知見や財力を活かし、ビジネスを成功させ、その賜物を一般ゴルファーが享受することができれば、それは誰にとっても喜ばしい「Win-Win」になる。
それこそが、ゴルフの成長、「grow the game」というものではないか。そう思えたからこそ、「スミスにホームコースができた」という知らせは朗報なのだと私には感じられた。
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