ネリー・コルダの逆転優勝を引き寄せた! 緊張したら意識すべき「ルーティンで大切な2つの要素」とは?

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、米女子ツアー「LPGAドライブオン選手権」で優勝したネリー・コルダです。

ネリー・コルダの変わらぬルーティン

 米女子ツアーの「LPGAドライブオン選手権」は、開催地のフロリダが地元のネリー・コルダ選手の優勝で幕を閉じました。4打差リードの単独首位で最終日を迎えたコルダ選手ですが、後半の14番、15番、16番でスコアを落とし、前週優勝しているリディア・コ選手に首位を譲ります。しかし、パー5の17番でイーグル、18番でバーディーを奪い、通算11アンダーで並んだコ選手とのプレーオフという展開になりました。

 プレーオフは、2ホール目にコルダ選手がパー、コ選手がボギーで勝負あり。コルダ選手が22年の「ペリカン女子選手権」以来となる通算9勝目を挙げました。

優勝のかかった大事なパッティングでもいつもと変わらぬルーティンだったネリー・コルダ 写真:Getty Images
優勝のかかった大事なパッティングでもいつもと変わらぬルーティンだったネリー・コルダ 写真:Getty Images

 印象的だったのは、3ホール連続でスコアを落として迎えた17番の7~8メートルのイーグルパット。先にホールアウトしたコ選手を3打差で追う場面です。優勝するにはここでイーグル、最終ホールでバーディーを奪ってプレーオフに持ち込むしかありません。

 このシビれるシチュエーションで、コルダ選手はいつもと変わらぬルーティンでスッとアドレスに入ってストロークを開始。グリーンエッジからのイーグルパットを見事に決めました。

 大事な1打を打つ前は、時間をかけて丁寧にいきたくなるものですよね。しかし、時間をかければかけるほど緊張感が増したり、体に力が入ってテンポが悪くなります。これではストロークが乱れ、距離感も合わなくなってしまいます。

ルーティンで重要なのは2つの要素のバランス

 私は、ルーティンには2つの意味があると考えています。一つは正確な動作をするための確認。もう一つはスムーズに動くための準備です。動作確認を重視すると時間をかけすぎてスムーズに動けなくなるし、反対にスムーズに動くことだけを考えていると、正確に動けなくなることもあります。

 重要なのは、2つの要素のバランスです。自分のルーティンを持っている人でも、プレッシャーがかかる場面では動作確認に時間をかけてしまう傾向があるので要注意。コルダ選手のように時間をかけすぎず、いつもと同じ時間で動作を確認し、ショットやパットに臨むことを心がけましょう。

 この大会には日本勢は畑岡奈紗選手、西郷真央選手、稲見萌寧選手、勝みなみ選手の4人が出場しました。最上位は古江選手で22年9月以来となる最終日最終組でプレーし、開幕戦から2週連続の4位タイでフィニッシュしました。

 2月22日から開幕する次戦「ホンダLPGAタイランド」には、畑岡選手、古江選手のほか、西村優菜選手、笹生優花選手、渋野日向子選手、そして岩井明愛選手と千怜選手も出場予定です。次戦も日本勢の活躍を期待したいですね。

ネリー・コルダ

1998年生まれ、アメリカ出身。16歳でプロ転向し、18年に米ツアー初勝利。19年は2勝を挙げて賞金ランキング5位と躍進。21年の「全米女子プロ」でメジャー初勝利を挙げ、自身初の世界ランキング1位に。同年の東京五輪では金メダルを獲得した。今シーズンは2戦目の「ドライブオン選手権」で2年ぶりの通算9勝目を挙げた。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

【動画】ネリー・コルダと優勝を争ったリディア・コのアルバトロス寸前のスーパーショットです

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