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- えっ、フォローでヘッドが戻ってる!? メジャー初Vの古江彩佳はショットもパターも“脱力”女王だった
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「アムンディ エビアン選手権」でメジャー初制覇を達成した古江彩佳(ふるえ・あやか)です。
バランスの取れた美しいアドレスの古江
日本勢からまたメジャーチャンピオンが誕生しました。古江彩佳選手が米女子ツアー「アムンディ エビアン選手権」でメジャー初制覇。22年の「トラストゴルフ スコットランド女子オープン」以来、2年ぶりの米ツアー2勝目を飾りました。
最終日の後半5ホールの逆転劇は見応えがありましたが、本人はとてつもない重圧の中でプレーしていたはずです。しかし、この日はいつもの彼女らしい“腕の脱力感”があるスイングをしているように見えました。
今シーズンのここまでの古江選手は、トップ10フィニッシュ(9回)、バーディ数(237個)、平均スコア(69.887)などでランキング1位。フェアウェイキープ率(83.4%)は4位につけています。
この安定感と爆発力の一因が“腕の脱力感”にあります。スイング中は終始、腕をリラックスして体を動かすのが古江選手の特徴。力が入りやすい切り返しのタイミングでも腕をリラックスして使っているため、下半身がリードしてインサイドループし、再現性の高いスイングでボールをとらえることができるわけです。
勝負の一打となった最終ホールの2打目、約180ヤードの池越えショットでさえも、スイングだけを切り取ると「レイアップしたのかな?」というくらい軽く振っているように感じました。
これだけ腕を脱力して使える理由のひとつは、バランスのとれた美しいアドレスにあります。後方からチェックすると、肩や腰、ヒザ、腕、手元などのラインが全てスクエアにセットされています。また、母指球に重心をかけているため前後左右のバランスも良く、腕に余計な力を入れずにシンプルに体を動かすことができるわけです。
腕をリラックスして使っているという意味では、パッティングも同様です。古江選手のストロークは、フォローからフィニッシュにかけてヘッドが逆方向に動くことがあるのをご存じでしょうか。今大会でもフォローでヘッドが戻るシーンが何度か見られました。
腕はリラックス、左右に揺れ動く振り子をイメージ
この動きが生まれるのは、腕を脱力した状態で振り子ストロークをしているからです。一般ゴルファーの中にも、振り子のイメージでパッティングをしている人もいるでしょう。しかし、ダウンスイング以降で「右から左」という一方向の動きだけを意識していませんか?本来の振り子は左右の動きを繰り返すもの。右から左に動くだけの振り子だと、軸ブレしたり、手元が流れることがあります。
右から左に動いたヘッドは、左から右に戻ってくる――。パッティングが苦手な人はこのイメージを持つと、スムーズにヘッドが動くかもしれません。ポイントは、フォローで“ヘッドを戻す”のではなく、“ヘッドが自然に戻っている”ということ。腕をリラックスさせて左右に揺れ動く振り子をイメージしてストロークしてみましょう。
古江 彩佳(ふるえ・あやか)
2000年生まれ、兵庫出身。19年「富士通レディース」でツアー史上7人目のアマ優勝を達成してプロ転向。20年にプロ初勝利を飾り、20-21シーズンはトータル6勝で賞金ランキング2位と躍進した。22年からは米女子ツアーを主戦場にしてルーキーイヤーでツアー初優勝。また、同年は国内ツアーでも「富士通レディース」で連覇と大会3勝目を挙げた。24年は「アムンディ エビアン選手権」で日本勢4人目となる海外メジャー制覇を成し遂げた。日本ツアー8勝、米ツアー2勝(メジャー1勝)。富士通所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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