記念すべき初の短パンOK大会は米澤蓮が優勝！ 初日は4人に3人が短パン着用だったが選手の実感はどうだった？

　初日と3日目が33度越えで2日目と最終日が34度越えだった今年の「横浜ミナトChampionship～Fujiki Centennial～」。ゴルフをする方ならご存知だと思うが、芝生の上は日差しの照り返しがあるので、実際の気温よりも暑く感じる。ゴルフは自然との戦いとはいえ、猛暑の中でのプレーは命の危険すらあるといっても過言ではない。

　選手の熱中症対策として主催者や選手会からの要望もあり、国内男子ツアー初の本戦での短パン着用が解禁されたが、当然の流れといっていいだろう。ひと昔前とは明らかに夏場の平均気温が上がっており、むしろ遅すぎる判断ともいえる。

　大会初日、出場した120人中、短パンを着用したのは90人だった。単純計算すれば4人中3人が短パンでのプレーを選択したわけだ。大会前には、短パン着用ならスコアも縮まるという話もあったが、短パンを着用した選手の話を集めてみた。

　まずは、最終日まで優勝争いに加わりながら、惜しくも2位に終わった阿久津未来也。「大会前日に長ズボンを履いてプレーしましたがすぐにムリだなと思い、初日からは短パンにしました」。本当はシャツも出したかったらしいが、短パンになる以上は清潔感を意識するべきだと考え自重したという。

　初日3位タイにつけた中山絹也は「体感温度がだいぶ違います。短パンだと疲れもなく回ることができました」と、短パン推しだ。

　さらに石川遼は短パン効果について次のように語った。「歩くのが楽なので、足の疲れ自体が少なく感じます。疲労も残りにくいでしょう」。生地にもよるが、一般的に長ズボンだと汗ばんだ足に生地がまとわりつき、歩きにくさを感じるが、短パンならそれも解消されるというわけだ。

　ただ、尋常ではない暑さだけに、いくら短パンにしたからといって、暑さから完全に逃れることはできない。岩田寛のように「長ズボンとは違いますが、短パンに慣れてしまうと、やはり暑さは感じます」と、それほど快適さを感じない選手もいた。

　今回優勝した米澤蓮は最終日まで短パンを着用していたものの、その他にも暑さ対策を行っていたという。「カサはできるだけ差し、プレーの前後に行う練習量は減らしました。3日間通してショットの感触はよかったので、ムリにドライビングレンジに行く必要もなく、パッティングの感触もよかったので、サッと練習して帰りました」。

　いかに最終日のバックナインで体力を残しておくかを逆算した結果、勝負どころの15、17番ホールでバーディーを奪い、優勝につなげることができた。

　また、今回あえて短パンを着用しなかった選手は次のように語る。日本よりもひと足先に短パン着用を導入した欧州ツアーで戦う桂川有人は長ズボン派。「慣れているものでプレーしたいからです」というのが理由だ。

　初日首位に立った小浦和也も長ズボンでのプレーだった。「短パンをあまり持っていないこともありますが、短パンだと自分の中でバカンス感が出てしまい、エンジョイゴルフになってしまうので、今回は長ズボンにしました」と、メンタル面を優先した。

　さらに、堀川未来夢は「普段長ズボンなので短パンは違和感がありますし、足が真っ白で腕との色があまりにも違うと思い、長ズボンにしました」と語る。気になる暑さ対策だが、「暑い、暑いといっても気温が下がるわけではありません。むしろ暑さを楽しみながらプレーしました」と、心頭滅却の精神で4日間を戦い抜いた。

　短パン着用は8月22日から開催される「Sansan KBCオーガスタ」でも認められているが、着用率は今大会と大きく変わらないことが予想される。とりあえずは、熱中症で棄権する選手が出なかったことだけでも、短パン着用は成功だったといえるのではないか。