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なぜ山下美夢有は“ボールに近づいて素振り”するのか? スライサーに真似てほしい一般常識と真逆のルーティン
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、「日本女子オープンゴルフ選手権」で2位タイに入った山下美夢有(やました・みゆう)です。
今季7勝の竹田麗央と女王・山下美夢有の勝負は見ごたえ十分
近年まれに見る好ゲーム! 今年の「日本女子オープン」は、そんな印象を持った大会でした。通算10アンダーで優勝したのは竹田麗央選手です。竹田選手の強さは朝イチのティーショットから垣間見ることができました。

先にティーショットを打ったのは、同組で同じく1位タイスタートの山下美夢有選手でした。山下選手がキレイなドローボールでフェアウェイのど真ん中にボールを置いた後の竹田選手のティーオフに注目が集まりました。「日本女子オープン」の優勝争いで、なおかつライバルが良いショットを打ったあとの1打目ですからプレッシャーを感じるはず。ですが、サクっとティーショットを打って山下選手をアウトドライブ。雑念が一切ないメンタルとスイングでフェアウェイにボールを運んだように見えました。
ピンチが訪れた場面でもリズムが乱れることはありませんでした。12番の逆目の深いライからのバンカー越えも、13番の同じく深いラフから砲台グリーンを狙う時もサクッとアプローチを打って見事に寄せました。
ピンチの時は打つまでに時間をかけてしまうもの。しかし、もともとアドレスしてから始動までの時間が短い竹田選手は、いつも通りにスイングを開始。あまりに早いので後方カメラが追い付けていなかったほどでした。
竹田選手はこれで今季7勝。国内メジャー2連勝です。タレント揃いの国内女子ツアーの中でも圧倒的な強さを発揮していますね。一方、竹田選手と同組の山下選手。最終日は苦しんでいるように見えましたが、それでも3位タイでフィニッシュしました。今季未勝利ですが海外メジャーでの2位タイなどもあり、ポイントランキングは竹田選手に次ぐ2位。2年連続年間女王の存在感を示しています。
ボールに近づいて素振りをするメリットとは?
さて、そんな山下選手のティーショット前の素振りが特徴的なんです。ショット前の素振りはアドレス位置から一歩後ろに下がり、ボールから離れて行う人が多いですよね。しかし、山下選手は一歩前に出て、ボールに近づいて素振りをするんです。足元とヘッドの間にボールがあることになりますから、「足元のボールが気になって振りにくい」と思う人もいるかもしれません。山下選手はなぜ一歩ボールに近づくのでしょう?
この素振りの方法、実は私もやることがあるんです。メリットはターゲットに対してスクエアに構えやすくなることです。
ゴルフはボールとターゲットを結んだラインより飛球線後方から見て左側に立ってスイングします。ターゲットラインが自分の立ち位置より右側にあるため、右を向いて構えてしまいやすいんです。右を向いた構え通りに右に打ち出してしまう人もいる一方、スタンスは右を向いていてもスイングは飛球線方向に振りたがる人も少なくありません。そうなると軌道はスタンスの線に対してアウトサイドインとなり、スライスしやすくなるわけです。
スクエアに構えるのにオススメなのが山下選手の素振りです。ボールに近づいて素振りをすると、ボールと目標を結んだラインの真上に近い位置から景色を見ることができますよね。ターゲットラインを鮮明にイメージできてスクエアに構えやすくなるんです。
一歩後ろに下がる素振りは、アドレス位置よりもターゲットをさらに右に見ることになるので要注意。その素振りがスライスを助長しているかもしれません。球がつかまらないと悩んでいる人は、山下選手のように一歩ボールに近づくか、ターゲットラインの後方で素振りをするといいでしょう。
山下 美夢有(やました・みゆう)
2001年生まれ、大阪府出身。22年は公式戦2勝を含む5勝を挙げて年間女王を獲得。23年も最終戦で大会連覇を達成するなどの活躍で2年連続の年間女王に輝いた。24年は「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」で自身のメジャー最高位となる2位タイでフィニッシュした。ツアー通算11勝(公式戦3勝)加賀電子所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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