- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- 10季連続シードの職人技 青木瀬令奈は“飛ばなくても勝てる”ゴルフを取り戻せるか【徹底解剖】
飛距離に頼らず戦う青木瀬令奈(あおき・せれな)。パー3の強さと高水準のパット力は健在だが、近年は成績が下降気味。復活の鍵は全盛期並みのショートゲーム精度にある。
2024年まで4季連続、1ラウンド平均パット数1位
通算5勝を挙げている青木瀬令奈は、2025年シーズンは開幕4戦で2度の予選落ちという不本意なスタートとなりましたが、その後に巻き返し、2015年から10季連続でシード権を保持しています。
しかし、2023年を境に成績はやや下降傾向にあります。メルセデス・ランキングは12位、21位、37位と推移し、順位を落としてきました。今季は若手のさらなる躍進も予想される中、青木の巻き返しの鍵は「重要な局面で短いパットを確実に決め切れるか」にありそうです。

昨季の青木のリカバリー率と1ラウンド当たりの平均パット数は、それぞれ12位と3位。パーオンを逃したホールでも、グリーン周りからのアプローチ後のショートパットを高確率で沈めていたことがうかがえます。
この数字も高水準ではありますが、全盛時はさらに上でした。リカバリー率は2022年4位、2023年3位、2024年4位。1ラウンド平均パット数は2020-21年シーズンから2024年まで4季連続1位。ツアー屈指の“パット巧者”としての地位を確立していました。
グリーン周りの精度とパット力を当時の水準に戻せれば、シード権保持は11季連続へと伸びる可能性が高まります。
パー3の平均スコアは4位

青木は飛距離で勝負するタイプではありません。昨季のドライビングディスタンスは90位で、これまでの最高でも73位です。
飛距離で劣る場合、パー4やパー5では他の選手より長い距離を残してグリーンを狙う場面が増えます。この影響もあり、昨季のパー4とパー5の平均スコアはそれぞれ41位、39位でした。
また、ドライバーの飛距離差は他のクラブにも及びます。たとえば他選手がピッチングウェッジや9番アイアンで打つ距離を、青木は8番アイアンで打つケースもあります。
それでも戦えているのは、フェアウェイウッドやユーティリティーの高いショット精度があるからです。クラブセッティングではアイアンは8番から。パー3のティーショットでウッド系クラブを使う場面も多い中、昨季のパー3平均スコアは4位。これはウッド系クラブの操作性と方向性の高さを示すデータといえます。
パー4やパー5で背負う“飛距離のハンデ”は、パー3では相対的に小さくなります。同じ条件でグリーンを狙う状況では、ツアートップレベルの精度を発揮していると言えるでしょう。
もっとも、この強みもアプローチとパットの安定があってこそ。ウッド系ショットの精度とショートゲームをより高い次元で融合できれば、上位争いに絡む試合は増えていきます。
キャリアハイは2023年の年間2勝
青木がキャリアハイの成績を残したのは2023年。「Tポイント×ENEOS」と「エリエールレディス」で優勝し、メルセデス・ランキングは12位でした。
この2勝はいずれも“青木らしさ”が凝縮された内容でした。両大会ともドライビングディスタンスは決勝ラウンド進出選手中で最下位、パーオン率も下位でしたが、平均パット数はともに1位。ショートゲームで勝ち切った優勝でした。
シーズン平均ストロークは2023年が71.4471で29位、昨季が71.5542で24位と大差はありません。ただしトップ10回数は2023年が8回(12位)、昨季が6回(21位)。上位争いでの“あと1打”の差が、年間ポイントに大きく影響しました。
上位争いの場面で青木らしいプレーが増えれば、シード連続保持記録の更新だけでなく、3季ぶりの優勝も現実味を帯びてきます。
JLPGA選手名鑑の2025年目標欄には「優勝。リコーカップにファンのみんなを連れていく」と記されていましたが、いずれも達成には至りませんでした。今季はその雪辱を期すシーズンになります。
ツアーを代表するパット巧者が、勢いある若手にどう対抗していくのか。その戦いぶりに注目です。
文:野洲明
ゴルフ活動家/各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking








