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- “21年で8ヤード” 日米で広がる飛距離差 松山英樹の提言が示す「突破口」
日米両ツアーの飛距離の差についてUSGAのレポートを引用しながら解説し、その飛距離の差が生まれる理由と、差を小さくするために必要なことについて検証します。
日米ツアーのドライビングディスタンス平均
米ツアーでは飛距離が重要な武器となります。コースが長く設定されるだけでなく、グリーンが硬く速いため、できるだけ短い番手でグリーンを狙い、止まる球を打つ必要があるからです。

日本ツアーで戦いながら将来的に米ツアー挑戦を目指す選手たちは、飛距離向上を目的にフィジカルトレーニングへ積極的に取り組んでいます。その結果、ドライビングディスタンスは以前より伸びてきました。
しかし、USGA(全米ゴルフ協会)が公表しているレポートによると、日本ツアーと米ツアーの飛距離差は、むしろ拡大しているようです。

2003年の平均ドライビングディスタンスは、日本ツアーが279ヤード、米ツアーが285.9ヤードで、その差は約7ヤードでした。一方、2024年は日本ツアー285.2ヤード、米ツアー300.2ヤードとなり、差は15ヤードに広がっています。
なぜ飛距離差は8ヤード拡大したのか。日本ツアーの飛距離水準を米ツアーに近づけるために何が必要なのかを検証します。
コースの広さ
トレーニング方法やクラブ性能の進化により、世界のプロゴルファーの飛距離は伸び続けています。ただし、飛距離が伸びるほど左右の曲がり幅も大きくなる傾向があります。
ここでポイントになるのがコースの横幅です。米国のコースは日本のコースより広いケースが多く、日本ツアーから米ツアーへ主戦場を移した選手のフェアウェイキープ率が向上する傾向からも、その違いがうかがえます。
幅が狭ければ曲がりを恐れて強振しにくく、本来の飛距離を出し切れません。逆に幅に余裕があれば、曲がりのリスクを抑えながら積極的に振り抜くことができます。
つまり、クラブ性能や身体能力に大きな差がなくても、試合で使われるコースの幅に違いがあれば、ドライビングディスタンス平均の差が広がる要因になり得ます。
USGAのレポートからも、「米ツアーはフェアウェイが広く、飛距離がスコアに直結しやすい」「日本ツアーはフェアウェイが絞られ、林やドッグレッグが多く飛ばし過ぎが不利になる場面がある」といった傾向が読み取れます。
日本ツアーでも強振できるセッティングが増えれば、全体の飛距離水準が世界基準に近づく可能性はあるでしょう。
体格の差の変化は
体格と飛距離の関係に着目し、2003年と2024年の日米ツアー賞金ランキング上位20人の身長・体重を比較しました。
2003年は日本ツアーが平均174センチ・74キロ、米ツアーが182センチ・82キロ。2024年は日本ツアーが175センチ・76キロ、米ツアーが185センチ・84キロとなりました。
身長差はやや拡大した一方で、体重差はほぼ変わっていません。対象をフィールド全体に広げれば別の結果になる可能性はあるものの、少なくとも上位選手の比較では「飛距離差拡大の主因が体格変化である」とは言い切れない結果となりました。
松山英樹の提言
米ツアー選手との飛距離差を縮めるためには、ジュニア時代の過ごし方も重要な要素のひとつかもしれません。
松山英樹は自著『彼方への挑戦』の中で、「将来ゴルフで成功したい子どもには、ジュニア時代にさまざまなスポーツに触れてほしい」と述べています。米ツアーには、少年時代にゴルフ一本だった選手は少なく、野球やバスケットボールなど他競技を経験した選手が多いと指摘しています。
ジュニア期に多様なスポーツへ取り組むことは、運動能力の土台づくりにつながり、長期的には強いインパクトを生み出す能力の向上にも寄与します。さらに、ケガをしにくい体づくりにもつながり、結果として練習量を確保しやすくなる好循環が生まれます。
実際、米ツアーとの差が比較的小さかった2003年の日本ツアー上位選手には、中学まで他競技に取り組んでいた選手もいました。
今季から米下部ツアーを主戦場とする杉浦悠太も、小学生時代はゴルフだけでなく野球にも打ち込んでいました。こうした育成環境を持つ選手が増えるほど、日米ツアーの飛距離差は縮まっていく可能性があります。
【解説】野洲明(やす・あきら)
ゴルフ活動家/各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。
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