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- 5大会制でも達成条件は「4冠」!? 女子ゴルフ「グランドスラム」の知られざる定義とコルダが挑む快挙
女子ゴルフの「グランドスラム」は、男子とは定義が異なる。今週の「アムンディエビアン選手権」で偉業に挑むネリー・コルダを例に、女子メジャーならではのグランドスラムの条件と、その歴史を解説する。
コルダが挑む「グランドスラム」
「全米女子プロ」で8位タイに終わり、史上5人目のメジャー3連勝を逃したネリー・コルダ(米国)だが、今週の「アムンディエビアン選手権」ではもうひとつの偉業に挑戦する。
それはグランドスラムだ。女子メジャーにおけるグランドスラムの定義は男子とは異なる。女子のグランドスラムとはどんなものか。成し遂げれば史上何人目のグランドスラムとなるのだろうか。
グランドスラムという言葉を手元にある広辞苑で引くと1番目に「ブリッジで、13組全部をとること」、2番目に「野球で、満塁ホームラン」とある。ブリッジとはトランプゲームの一種である。そして3番目に「ゴルフ・テニスなどで、主要試合の完全制覇」と記載されている。

「マスターズ」「全米プロ」「全米オープン」「全英オープン」とメジャーが4大会の男子では広辞苑の通り、この4大会を完全制覇すればグランドスラムとなる。現在、ジーン・サラゼン(米国)、ベン・ホーガン(米国)、ゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)、ジャック・ニクラウス(米国)、タイガー・ウッズ(米国)、そして昨年の「マスターズ」初優勝で新たに仲間入りしたローリー・マキロイ(英国)の6人がグランドスラムを成し遂げたグランドスラマーだ。
これとは別にボビー・ジョーンズ(米国)が「全米アマ」「全英アマ」「全米オープン」「全英オープン」の4大会を制するアマチュア版グランドスラムを達成している。
コルダが勝てば27年ぶりの米国人グランドスラマー
メジャーが5大会ある女子の場合、完全制覇がグランドスラムの条件ではない。その説明は、やや複雑になる。
現在の女子メジャーは今年の開催順に「シェブロン選手権」「全米女子オープン」「全米女子プロ」「アムンディエビアン選手権」「全英女子オープン」の5大会だが、かつては4大会だった(時代をさかのぼれば2大会あるいは3大会だった時期もあるがここでは説明を省略する)。
2000年時点のメジャーは「ナビスコ選手権(現シェブロン選手権)」「全米女子オープン」「全米女子プロ」「デュモーリエクラシック」というラインナップ。このうち、「デュモーリエクラシック」が2000年限りで歴史の幕を閉じ、代わって2001年から「全英女子オープン」がメジャーに加わった。
この時にグランドスラムの定義が変わった。従来の4大会すべてに勝った選手はそのままグランドスラムで、従来の4大会に加えて「全英女子オープン」にも勝って異なる5つのメジャータイトルを手にした場合はスーパーグランドスラムと称されることになったのだ。そして2002年、前年までに従来の4大会を制してグランドスラマーとなっていたカリー・ウェブ(オーストラリア)が「全英女子オープン」に勝って史上初のメジャー5冠、スーパーグランドスラムを達成した。
2013年に「アムンディエビアン選手権」がメジャーに昇格して年間5大会制となってからもこの流れが継続されており、5大会中4大会に勝てばグランドスラム、5大会すべてに勝てばスーパーグランドスラムというのが女子メジャーにおけるグランドスラムの定義である。
現在、スーパーグランドスラムを成し遂げているのは前述のウェブ1人だけ。4冠のグランドスラムは達成順にルイーズ・サッグス(米国)、ミッキー・ライト(米国)、パット・ブラドリー(米国)、ジュリ・インクスター(米国)、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、朴仁妃(韓国)という面々。米女子ツアーはこの7人をグランドスラマーと認定している。
コルダは現在、「全米女子プロ」(2021年優勝)、「シェブロン選手権」(2024、2026年優勝)、「全米女子オープン」(2026年優勝)という3つのメジャータイトルを持っている。今週の「アムンディエビアン選手権」に勝てばメジャー4冠、すなわち史上8人目のグランドスラマーに輝くわけだ。
「アムンディエビアン選手権」にはメジャー3冠の選手がコルダのほかアナ・ノードクイスト(スウェーデン)、ミンジ・リー(オーストラリア)、リディア・コ(ニュージーランド)がエントリーしている。だが、コルダ以外の3人はすでに「アムンディエビアン選手権」で優勝しているため今週は勝ってもグランドスラムを達成できない。偉業の権利があるのはコルダだけだ。
近年はウェブ、ソレンスタム、朴と米国人以外の選手がグランドスラマーに輝いてきた。現時点で最後の米国人グランドスラマーは1999年のインクスターまでさかのぼらなければならない。久しぶりに現れた圧倒的に強い米国選手がコルダである。世界ランキング1位に君臨するコルダが27年ぶりの米国人グランドラマー誕生の期待を背負って出陣する。
文・宮井善一(みやい・ぜんいち)
1965年和歌山県生まれ。スポーツニッポン新聞社ゴルフ担当記者を経て2004年にフリーのゴルフライターに。ゴルフ雑誌などへの執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動し、現在は日本ゴルフ協会のゴルフ学芸員として日本ゴルフ殿堂、JGAゴルフミュージアムなどに携わっている。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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