松山英樹が5000人の前で見せた“トドメを刺すまで手を抜かない”プレースタイル

19年にPGAツアーとして史上初の日本開催となったZOZOチャンピオンシップ。昨年は米国開催となったが、2年ぶりに日本へ戻ってきた。19年の大会ではタイガー・ウッズに破れて2位に終わった松山英樹が、通算15アンダーで優勝を飾り、見事リベンジを果たした。

PGAツアーのアジア人最多優勝回数まであと1勝に迫る

◆米国男子プロゴルフ<ZOZOチャンピオンシップ 10月21~24日 アコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブ(千葉県) 7041ヤード・パー70>

 2年ぶりに日本で開催されたPGAツアー・ZOZOチャンピオンシップ。今年のマスターズで日本人初のメジャーチャンピオンとなり、東京五輪でも優勝争いに絡んだ松山英樹が期待通りのゴルフを見せ、通算15アンダーで21-22シーズン初優勝を飾った。PGAツアー通算7勝目となり、アジア人最多優勝回数のK・J・チョイの8勝にあと1つと迫った。

米ツアー7勝目を飾った松山英樹 写真:Getty Images

 上限5000人という制限があるものの、多くのギャラリーが最終18番パー5の周りを埋め尽くした。だれもが松山の逃げ切り優勝を信じ、その瞬間をひと目見ようという思いで一杯だった。2位のキャメロン・トリンゲールとは2打差ある。

 逃げ切るには十分と考えるか、僅差と考えるのかは選手によって異なるが、少なくとも松山にとっては十分という感覚はなかった。

「まだ何があるか分からない」。流れ的には15番パー4でバーディを奪い、トリンゲールに2打差をつけた時点で優勝の可能性が一気に高まったはずだ。しかし、これまで数多くの優勝争いを経験し、今年もマスターズや東京五輪ではサンデーバックナインの厳しさを感じた松山にはその考えはなかった。18番で仮にトリンゲールがバーディで松山がボギーなら追いつかれる。ましてや3日目に松山はその18番でボギーを叩いているのだ。

 そんな状況でティショットに選択したのは3番ウッドだった。前日に左へ大きく曲げたクラブだ。勝つためにもこの日は抑えたスイングで確実にフェアウェイをキープするかと思いきや、いつもと同じように、いやそれ以上のスイングスピードで振り抜いた。するとボールは約280ヤード先のフェアウェイをとらえる。

 その後、トリンゲールがティショットを右のラフに入れ、2打目も右に大きく曲げた時点で勝負ありと思われたが、松山は手を抜かない。ピンまで残り241ヤード、5番ウッドを振り抜くとピンの根元にボールを落とし、ピン上約3メートルにつけるスーパーショットを見せる。

「あのショットでようやく優勝を確信しました」と振り返った松山だが、どんな状況でも最後までベストを尽くすゴルフが体に染みついているからこそ、PGAツアーで7勝を挙げ、マスターズを制することができたのだろう。

ギャラリーの後押しが松山英樹を優勝へ導いた

 最終ホールでのセカンドショット、ダメ押しのイーグルパットを見せつけられてしまうと、素直に受け止めることができないが、今大会を迎えるにあたり、松山は本調子ではなかったという。

優勝を決定づけた18番のセカンドショット 写真:Getty Images

「ショットもパットもアプローチも、マスターズが10としたら1もない状態なので苦しい戦いが強いられるかと思います」と練習日に語り、連日遅くまでショットの調整に励んだ。その甲斐あっていい感触をつかむが、翌朝の練習場ではその感触がどこかへ消え去り、不安を抱えたままスタートしていった。

 それでも初日から上位をキープした松山。「たくさんのギャラリーの前でいいプレーをしなければいけないと思っていたことがいい結果につながったんだと思います」と毎日同じコメントを残すだけで、自らのゴルフに関しては納得のいかない表情しか見せなかった。

 最終的に2位以下に5打差をつけての圧勝劇を見せたが、その後のインタビューでも「マスターズが10としたら2か3ぐらいだと思います。結果としては8くらい行きましたけど、上がった5は応援してくれた方のおかげでしかないと思います」と、最後まで自分のゴルフは合格点を出さなかった。日本で開催していなければ勝てる調子ではなかったといいたかったのかもしれない。

 それだけ自分のゴルフに厳しい松山だが、多くのギャラリーの前で優勝できたことに関しては無条件に喜びを表現していた。19年の同大会では今年以上の大ギャラリーの応援を受けながら2位で終わっていただけに、そのリベンジをようやく果たせたという思いがあったのだろう。

 ましてや今回はシーズンが変わったとはいえ、マスターズを制した年に迎えた大会だ。東京五輪では期待に応えられなかったこともあり、凱旋試合として勝つ姿を見せることができて安心したような笑顔を見せていた。

 今季5戦目にして早々と優勝を手にした松山だが、「この優勝を次につなげて、いい結果を安定して出せるように頑張りたいです」と、早くも視線を今後に向けていた。

 メジャー複数回優勝、ツアー10勝など目標は多いが、それらをすぐにでもクリアする可能性を感じさせた4日間だった。

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