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- 「死ぬ気でフェアウェイに置け」 悲願の初V・木村彩子が大逆転劇を成し遂げたワケ
アースモンダミンカップ最終日、首位に6打差の9位タイから出た木村彩子が、通算4アンダーで逆転優勝。国内女子ツアー最高の優勝賞金5400万円を手にした。
「まだ夢みたいで、まさか自分が優勝できるなんて」
四国での練習が、強風の中での初優勝につながった。
アースモンダミンカップ最終日は、最終組がスコアメイクに苦しむ中、首位に6打差の9位タイでスタートした木村彩子が、先に通算4アンダーで上がり逆転優勝。国内女子ツアー最高の優勝賞金5400万円を手にした。
日本海を発達しながら進む低気圧と、南から張り出す高気圧のはざまで、連日、強風に見舞われた関東地方。東京湾から15キロほどの場所に位置するコースで行われた今大会は、2日目以降、強風との戦いとなった。
2日目、3日目よりは収まったものの、まだまだ不規則な風が吹いている。連日の風と、6月にしては異例の高温により、グリーンは硬く、速くなり、場所によっては茶色く枯れてしまう芝も見られた最終日。最終組はそれに苦しんでいたが、3組前で回った木村は強気で攻めた。
「昨日の後半で40を打ったのが悔しかったので、今日はハーフ2アンダーずつ、4アンダーを目指そうと思っていました」
積極的にプレーできたのには理由がある。2019年12月からスイングを見てもらう、南秀樹コーチのアドバイスと、コーチの拠点である香川での練習の思わぬ副産物だ。
「前まで風は嫌いだったんですけど、南先生に見てもらうようになってから、香川にマンションを借りて、オフはほとんど、シーズン中も試合の後、そこに戻ることが多いんです。四国の特に海(瀬戸内海)の近くは、アップダウンがあって風が強いコースが多いので」と、すっかり風に慣れた。
「死ぬ気でフェアウェイに置け」というコーチのアドバイス通りのプレーを徹底。5番で3メートル、7番でも3メートルと、チャンスを確実にものにして、前半は目標スコアをクリアした。
後半は、10番でラフからボギーをたたいてしまったが、11番ではグリーン手前から25ヤードをPW(ピッチングウェッジ)でチップインバーディー。14番ではフォローの風の中、107ヤードをPWで寄せてバーディーと、集中し続けた。
冷静なつもりでいたが、15番のグリーン脇にあるリーダーズボードで、首位に立ったことを知った後で異変に気づいた。「16番に行くゴンドラの中で、糖分補給にシャインマスカットを食べたんですけど、緊張で吐きそうになってしまって。『私、緊張してる』って気がつきました」と苦笑する。
それでも、難易度の高い16番をパーで切り抜け、そのまま通算4アンダーでホールアウト。後続に重圧をかける。
1つ後ろの組でプレーする西村優菜も2つスコアを伸ばしたが、木村には1打及ばない。最終組のささきしょうこが、18番のバーディーパットを沈めればプレーオフだったが、これが外れて初優勝が決まった。
「まだ夢みたいで、まさか自分が優勝できるなんて」と、頬を染めた木村だが、プラン通りにプレーしての優勝劇は、初優勝を感じさせない見事なものだった。「勝てるうちにたくさん勝ちたい。この流れを大切にしたいです」と貪欲なところも見せ、「たくさん勝てる息の長い選手になりたいです」とも付け加えた。
父・東吾さんの影響で大の車好き。現在はマセラッティのSUV「レヴァンテ」を所有。だが、実は第2の拠点である香川にも、1台欲しいと以前からもくろんでいた。
ターゲットはBMW「M8」。すでに父と試乗もしているが、さすがに高額でまだ迷っている状態だった。
だが、5400万円を稼いだ今なら手に入る。「まだ相談します」と苦笑したが、車への思いもゴルフのモチベーションの一つなのは間違いない。
木村彩子(きむら・あやこ)
1995年11月2日生まれ、大阪府出身。宮里藍に憧れて10歳からゴルフを始める。2015年にプロテスト合格。18年に「ヨネックスレディス」「センチュリー21レディス」で2位に入るなど、賞金ランク43位で初のシード入り。20-21シーズンは賞金ランク32位で、自身2度目のシード入りを果たした。富山常備薬所属。
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