「人生を変えるほど大きな1勝」を飾った青木瀬令奈 プレーを支えた“懺悔ノート”とは?

「資生堂レディス」最終日、単独首位でスタートした青木瀬令奈が6バーディー、3ボギーの69をマーク。通算14アンダーで今季初優勝、ツアー通算3勝目を飾った。一時は引退も考えていた青木だが、大西翔太コーチからの激しいエールとアドバイスによって、ポテンシャルを引き出せるようになったという。

自分の甘さを捨てて取り組んできた今シーズンの青木瀬令奈

◆国内女子プロゴルフ〈資生堂レディスオープン 6月30日~7月3日 戸塚カントリー倶楽部・西コース(神奈川県) 6570ヤード・パー72〉

 単独首位でスタートした青木瀬令奈だが、2位以下との差はわずかに1打。1番パー4、2番パー5で連続ボギーを叩き、あっという間に首位の座を明け渡した。しかし、この2ホールにこそ、青木の成長が隠されていたのではないか。

 スタートホールでボギーを叩いたことで、2番パー5ではバーディーを取ろうと考えるのが自然だ。それがスイングリズムに影響したのか、ティーショットをフェアウェイ右サイドのバンカーに入れる。

キャディーも務める大西翔太コーチとともに今季初優勝を飾った青木瀬令奈 写真:Getty Images

 3打目でグリーンを狙える位置に持っていくためにもある程度の距離を稼ぎたかったが、青木は無理をしなかった。ライが悪かったこともあり、あえて9番アイアンでフェアウェイに出すことを選択。残り220ヤード地点からグリーン手前のカラーへ運び、約25メートルの距離をパターで寄せようとしたが3メートルショート。それを外してボギーとした。

 パー5でのボギーは痛かったが、それは結果論であり、自分の中では明確な攻め方をしたことだけが残っていた。だからこそ、続く3、4番で連続バーディーを奪えたし、混戦を抜け出して最終的に2位以下に2打差をつけてツアー通算3勝目を飾ることができた。

 しかし、昨年の序盤に同じ状況を迎えたら、1、2番のボギーを引きずっていたかもしれない。

 昨年の「パナソニックオープンレディス」を終えた時点で、青木は賞金ランキング89位に低迷していた。振り向けば同90位に成田美寿々、91位に香妻琴乃。93位に東浩子ら92年度生まれの仲間たちがいた。30歳を前にして、体力的にも技術的にも思うようにいかないところがあったのだろう。

 大西翔太コーチとの食事の席で思わぬ言葉が口から出た。「そろそろ引退とか考えないといけないのかな……」。思わずひっくり返りそうになった大西コーチだが、青木の話を聞いたうえで、自分の考えを述べた。「成績が出ないのは練習量や技術的な問題じゃない。考え方や心の問題だよ」と。

 青木のキャディーも務める大西コーチにしてみれば、歯がゆさもあった。青木がゴルフに対して100パーセント向き合ってもいないのに、なぜ簡単にあきらめるのだろうか。なぜもっと自分を高めようとしないのだろうか。

 もちろん、その都度アドバイスしてきたが、青木には届かなかったのかもしれない。互いに葛藤があった結果、青木から「もう一度イチからお願いします」という言葉が返ってきた。その際にアドバイスしたのが、“懺悔ノート”と呼ばれる日記をつけることだ。

「その日のゴルフでよかったこと、悪かったことや気が付いたことを書き記すことで、目に見えないものが出てくると思ったんです」と大西コーチ。その読みどおり、青木のゴルフが徐々に変わり始めたという。1打に対しての集中力が上がることで精度が増し、それがゴルフ全体の流れをよくしていく。

「宮里藍サントリーレディスオープン」で優勝すると、最終的な賞金ランキングも21位にまで上がった。

 当然、今年はそれ以上の成績を残すつもりで開幕を迎えた青木。優勝争いに絡み、上位に入るものの、あと一歩及ばない試合が続いていた中で迎えた今大会でもあった。

「考え方を変え、自分の甘さを捨てて取り組んできたシーズンだったので、今回の優勝はそれこそ人生を変えるぐらいの大きな1勝だと思います」と笑顔を見せた青木。これでメルセデスランキングも4位に上昇。さらに人生を変えるためにも、優勝回数を重ねていくつもりだ。

「おめでとう。その一言に尽きる」青木瀬令奈の優勝を祝福する成田美寿々
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