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ボロボロになっても西郷真央は逃げなかった! ワースト35オーバーから再起するために必要なこと
国内女子ツアー最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ、西郷真央は通算35オーバーの大会ワースト記録での最下位に終わりました。開幕時に圧倒的な強さを見せた西郷に何が起こっていたのか、再び立ち上がるために必要なこととは?
「原因は全部分かっています。でも、できないんです」

取材を続けていく中で、試合会場という場において、調子のいい選手からは“オーラ”を感じることが少なくありません。個人的な感覚ですが、強烈な存在感を放っているのです。常に周囲に人がいるということもありますが、たった一人でいてもあまり変わらない存在感は、自信を伴ったエネルギーから来るのではないでしょうか。
対照的に、同じ選手でも調子が悪くなると、その“オーラ”が失われることも多々あります。一生懸命その人を探しているときでもなかなか見つけられなかったりします。
見つけてあいさつをしても伏し目がちだったり「話しかけてほしくない」という雰囲気を出していたりなど、さまざまな理由によって、自信を失い、存在感をできるだけ出したくない……。そうした心の中の思いが“オーラ”を消してしまっているのでしょう。
さて、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの西郷選手は、4日間で通算35オーバーを叩き、39位の選手と24打も差のあるブッちぎりの最下位でした。それでも、完全に“オーラ”がなくなることはなかったようです。
そのことは、最終日終了後には、シーズン締めくくりの取材に対し、きちんと最後まで受け答えしたことでも伝わってきました。
開幕からショットが落ち着いていなかったこと。優勝した試合でもティーショットは曲がっていたけれども、グリーン周りでスコアがつくれていたこと。首を寝違えて2週間休んだのをきっかけにスイングを変えなくてはならなくなったこと。日本女子オープンから逆球で悩んでいたこと。今はティーショットに恐怖があること。この試合ではドライバーを握っていないこと……。
その上で「原因は全部分かっています。でも、できないんです。何を意識したらいいのか」とも口にしました。
スイング改造、クラブの選択など、さまざまなきっかけで“迷路”に入り込む例は、枚挙にいとまがありません。そこから抜け出した人もいれば、抜け出せずに消えていった人もいる厳しい世界です。
正解は一つではなく、西郷選手が現在しようとしていること、そして向かっていく方向がどうかについても、まだ分かりません。
「やりたくないと思ったのは今週くらいです」
唯一、ハッキリしている事実は、西郷選手は決して逃げずに、最後まで試行錯誤を繰り返したということだけです。
「オフに入れてよかったな、と思います。1回クラブを握らない時間をつくってからやりたいです。(ゴルフを)やりたくないと思ったのは今週(リコーカップ)くらいです」と言い切って、西郷選手はシーズンを終えました。
迷路に入り込み、精神的に追い詰められて、再び立ち上がった選手の口から「ゴルフだけが人生じゃないと思ったら気持ちが楽になった。人生の一部にゴルフがあると思えた」という言葉を聞いたことがあります。言葉の細かいディテールは違っても、大要としては似た話を耳にしたことは、1度や2度ではありません。
西郷選手も含めて、現在ツアーで戦っている若い選手の多くは、ジュニア時代からほぼゴルフ一色の生活を送ってきています。“ゴルフだけが人生”と考えてもおかしくない状況にある選手だらけです。
もちろんそれくらいの気持ちでなければ、プロとして第一線で戦うことはできないのも確かです。それでも、ゴルフは人生の中の一部だということを、心のどこかに留め置いてほしいと思います。逃げるのではなく、しっかりと自分自身と向き合うために。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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