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- “前傾キープが大事”は分かってるけどできない! 松山英樹のシャドースイングで起き上がりを防止
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、マスターズでの松山英樹のシャドースイングです。
松山英樹はショット前に「前傾キープ」を意識づけ
今年のマスターズは、ジョン・ラーム選手の優勝で幕を閉じました。ラーム選手にとっては、2021年の全米オープン以来のメジャー2勝目。マスターズは初制覇です。
スペイン勢のマスターズ優勝は、セベ・バレステロス、ホセ・マリア・オラサバル、セルヒオ・ガルシアに続いて4人目。最終ラウンドが行われた4月9日は、故セベ・バレステロスの誕生日であり、彼が2回目にマスターズを制覇してから40年という節目のタイミングだったそうです。また、最終ホールのグリーン脇に今大会は予選落ちしていたホセ・マリア・オラサバルの姿があったのも感動的でした。
ラーム選手は、今大会に臨む数週間前の試合から、フェード、スライス、ドロー、フックを意図的に打ち分け、オーガスタに備えていた印象を受けました。左ドッグレッグのホールが多いオーガスタは、右打ちのドローヒッターが有利といわれることもありますが、ラーム選手は右を向いたり、左を向いたりとスタンスの向きをアレンジしながら球筋を操ってコースと向き合っていました。
象徴的だったのが、最終ラウンドの14番ホール(パー4)です。ティーショットが右のラフに止まり、目の前に木があるスタイミーな状況。グリーンを直線的に狙えないシチュエーションで、ラーム選手は左を向いてアドレス。フェースを管理しながら球をつかまえてスライス回転をかけ、左のスペースを使ってピンそば1.2メートルにつけるショットを見せました。このホールでバーディーを奪って2位と4打差をつけ、優勝に向けて大きく前進しました。
さて、21年のマスターズ覇者、松山英樹選手は通算2アンダーの16位タイ。首の痛みが心配される中でのプレーでしたが、5位タイで最終ラウンドをスタートするなど、上位争いを演じました。
そんな松山選手のプレーを見ていて気になったのが、スイング前の仕草です。トップの形をつくった後、クラブを振り下ろさずに胸を地面に近づけるようなシャドースイングをしているシーンがありました。いわゆる「前傾キープ」は、一般ゴルファーでも多くの人が気を付けているポイントですよね。ですが、松山選手ほどのトッププレーヤーでも、同じように意識しているのでしょうか。
体の角度のキープは首の負担を減らすため
“チーム松山”の一人、目澤秀憲コーチに確認してみると、「首の負担を減らすため、体の角度をキープすることを心がけていいます。トレーナーを含めてチーム内で意識している動きです」とのことでした。
ダウンスイングで体が起き上がると、右肩が下がって右サイドの側屈が強くなり、軸が傾きやすくなります。軸が倒れるほど首の負担が大きくなるため、松山選手はシャドースイングの段階から意識付けをしていたようです。ダウンスイングで頭が上がってしまう人、前傾姿勢が崩れてしまう人は、松山選手のようにトップをつくって胸を地面に近づけ、正面に体を屈曲するシャドースイングを取り入れてみてはいかがでしょう。
松山 英樹(まつやま・ひでき)
1992年生まれ、愛媛県出身。13年にプロ転向し、同年は4勝を挙げてツアー初のルーキー賞金王に。14年から米ツアーを主戦場に戦い、21年のマスターズで日本人男子初の4大メジャー制覇を達成。同年は日本開催のZOZOチャンピオンシップを制し、22年ソニー・オープンでアジア勢最多タイのPGAツアー8勝をマーク。日本ツアー8勝、PGAツアー8勝。レクサス所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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