勝負どころでバーディー奪取しマスターズの雪辱果たす
◆米国男子プロゴルフ<全米プロゴルフ選手権 5月18~21日 オークヒルCCイーストコース(ニューヨーク州) 7394ヤード・パー70>
54ホールで戦うリブゴルフを主戦場とするブルックス・ケプカだが、72ホールの戦いでもポテンシャルの高さを見せつけた。初日こそ2オーバーの38位タイと出遅れたが、2日目から66、66、67とアンダーパーを3日連続でマークし、通算9アンダーでフィニッシュ。2位以下に2打差をつけ、今大会3勝目、メジャー通算5勝目を飾った。

今季のメジャー初戦・マスターズでは、2位に2打差をつけての単独首位でスタートしながら、最終日に75と崩れ、2位タイに終わったケプカ。メジャー4勝の実績を持ちながらも、あらためて最終日の難しさを思い知らされた。
「決してマスターズと同じようなミスをしない」。その決意がすぐに結果となって表れる。2番パー4で1メートル、3番パー3で1メートル、4番パー5で2メートルを沈め、3連続バーディーを奪ってロケットスタートを切った。6、7番で連続ボギーを叩いたものの、前半を1アンダーで折り返すと、後半に入っても堅実なゴルフは変わらない。スコッティ・シェフラーやビクトル・ホブランの追い上げをかわしつつ、1打リードで上がり3ホールを迎える。
この時点では誰が勝つのかまったく分からない状況だった。しかし、1打差で追いかけていたホブランが16番パー4のティーショットを右サイドのバンカーに入れたことで流れが変わる。そこからの第2打をアゴに突き刺してしまったのだ。無罰で救済を受け、横のラフに出したものの、痛恨のダブルボギーでホールアウト。それを間近で見ていたケプカは右ラフからの2打目をピン右上1.5メートルにつけてバーディーを奪い、試合巧者ぶりを見せる。この時点で4打差まで広がった。
17番でボギーを叩いたが、最終ホールをボギーでも優勝という状況で迎えたケプカ。あっさりとパーセーブして4年ぶりの栄冠を手にした。
「この優勝は信じられないし、ワイルドだ。メジャーで5勝できるなんて子供の頃に考えたことさえない。とても光栄なことだし、幸せを感じている」
世界ランキング1位まで上り詰めた実力者でありながら、ケガなどで苦しみ、不調に喘いだ時期もあったケプカ。まだ33歳と若いだけに、今回の優勝を契機にかつての強さを取り戻す可能性は十分あるだろう。
“クラブプロの星”ブロックは15位タイで来年の出場権を確保

優勝したケプカ以上の声援を受けていたのが、15位タイに食い込んだクラブプロのマイケル・ブロックだ。
3日目を終えて8位タイと大健闘。最終日は大会史上初のクラブプロトップテン入りが期待されたが、2打及ばなかった。それでも、15番パー3では直接カップの中に放り込むホールインワンを達成し、ニューヨークの大ギャラリーを歓喜の渦へと巻き込んだ。最終18番パー4でも第2打をグリーン左に曲げながら、驚異的なアプローチでパーセーブに成功。翌年の出場権を手にする15位以内を確定させた。
「これ以上はよくならないよ」と謙遜していたが、米国中のクラブプロを勇気づけたのは間違いない。
日本のエース松山英樹は5オーバーの29位タイでフィニッシュ。首の故障もあり、この1カ月はほとんど練習していなかったが、「体は問題なく回れたのでよかったですし、ショットに関して気付いたこともあった」と、ホールアウト後は明るい表情を見せた。ただ、パッティングには不安があるのか、次のメジャー出場となる全米オープンに向けて「パッティング中心に練習したいと思います」と語っていた。
その他の日本選手は、星野陸也が11オーバーの62位タイ、比嘉一貴が20オーバーの76位だった。