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- フワッと上げて寄せる“へっぴり腰アプローチ” 全米プロを沸かせたクラブプロいぶし銀の技
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「全米プロゴルフ選手権」のマイケル・ブロックです。
クラブプロで唯一決勝ラウンドに進んだマイケル・ブロック
5月18~21日の期間、全米プロゴルフ選手権が開催されました。通算9アンダーで優勝したのは、最終日に首位スタートしたブルックス・ケプカ選手。同大会優勝は、2018年、19年に次いで3勝目。メジャー通算は5勝目となりました。
PGAツアーからリブゴルフへ移籍したケプカ選手は、今年のマスターズでも優勝争いを演じて存在感を示したのは記憶に新しいところ。リブ移籍組として初めてのメジャー制覇となりました。
また、ケプカ選手のほか、ブライソン・デシャンボー選手が4位タイ、キャメロン・スミス選手が9位タイでフィニッシュ。リブゴルフ勢はトップ10に3選手が入りました。リブゴルフは、「予選落ちがないから勘が鈍るのでは?」「3日間競技ばかりやっていたら体力がなくなる」などと言われることもありますが、彼らの“刀”が錆びていないことを証明しました。
さて、優勝したケプカ選手と並んで注目を集めたのが、通算1オーバー・15位タイでフィニッシュしたマイケル・ブロック選手です。彼はツアープロではなく、普段はカリフォルニア州のゴルフ場に勤務するティーチングプロ。
今大会は20人のPGA・オブ・アメリカ(全米プロゴルフ協会/PGAツアーとは別組織)所属のクラブプロが出場しましたが、ブロック選手だけが唯一、決勝ラウンドに進み、最終日の15番パー3ではホールインワンを達成しました。同組でプレーしていたローリー・マキロイ選手がハグで祝福していたのも印象的でした。他にも、“直ドラ”でスライスをかけてグリーンをとらえるプレーなどもあり、ギャラリーを楽しませていました。
そんなブロック選手のプレーで紹介したいのが、最終日18番パー4のアプローチです。セカンドショットを左のラフに打ち込み、残り40ヤード前後からの3打目。ピンポジションは左サイドだったのでショートサイド、しかも砲台グリーンですから、球を浮かせて止めるショットが求められます。
この状況で、ブロック選手は“へっぴり腰”のような打ち方をします。見る人によっては「ミスした!?」と思うようなスイングかもしれませんが、フワっと上がった球はグリーンエッジ付近にポトリと落ち、ピンそばに付けることに成功しました。
柔らかい球を打ちたい時は「ヒザの力を抜く」
実はこの打ち方、柔らかい球を打つ時に非常に有効なんです。ダウンスイングからインパクトにかけて、左ヒザを蹴り上げる「地面反力」は、飛距離アップの大きな要素ですよね。しかし、今回の状況のようにやわらかい球を打ちたい時は、逆の使い方をするのが効果的なんです。切り返しからダウンスイングでは左ヒザを曲げたまま使い、インパクトでヒザの力を抜くと、ヘッドが先行してボールを拾い上げることができます。
ヒザの力を抜く“抜重”という動きは、ピンが近いバンカーショットを打つ時などにも有効です。やわらかい球を打ちたい時にトライしてみてはいかがでしょう。
マイケル・ブロック
1976年生まれ、米国ネバダ州出身。ミズーリ大セントルイス校を卒業後、カリフォルニア州のゴルフ場に勤務。2012年にPGA・オブ・アメリカに入会。23年の全米プロゴルフ選手権では、出場したクラブプロの中で唯一の予選突破を果たし、15位でフィニッシュした。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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