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リブゴルフとPGAツアーはどうなる!? 存在が明らかになった「交渉分科会」の役割とタイガーを中心とした不可解な動きとは?
リブゴルフとの交渉を進めてきた選手理事を含むPGAツアーの理事会だが、ローリー・マキロイの理事復帰を巡りドタバタ劇を繰り広げるなど、ここへ来て混乱が報じられている。さらに、理事会とは別に「交渉分科会」の存在が明らかになり、さらなる混乱が予想される事態になってきた。
ますます不透明になってきたPGAツアーの行く末
しかし、ドタバタ劇には第2幕があった。マキロイがさらに語った内容が、他選手や周囲を驚かせ、周囲は大騒ぎになったのだ。
「僕は理事会には戻らないけど、すでに分科会のメンバーにはなっているよ」
AP通信や米スポーツイラストレイテッドによると、マキロイが明かした「分科会」とは、外部との交渉や商取引を行なうために、いつのまにか結成されていた「交渉分科会」なる小集団のことを指しているという。
この分科会の構成メンバーは、PGAツアーのモナハン会長やSSG(ストラテジック・スポーツ・グルーブ)とパートナーシップを結んで創設したPGAツアー・エンタープライズの理事を務める2社(フェンウエイ・グループ、バレロ・エナジー)の各代表2名、そして経済アナリストのジョー・オギルビーという4名に選手代表3名を加えた合計7名。
その「選手代表3名」は、驚くなかれ、ウッズ、アダム・スコット、そしてマキロイであることがわかった。米メディアは、分科会を設立した中心人物はウッズだと見ている。
マキロイの説明によると、今後、PIFとの交渉は、PGAツアーの理事会ではなくこの交渉分科会が主体となって行なっていくとのことで、「僕はPIF側にもPGAツアー側にも顔が利く。だから、みんなの役に立ってあげられると思うよ」。
今年3月にウッズをはじめとする6名の選手理事全員が試合と試合の合間にバハマに集結し、PIFのルマイヤン会長らと初めて顔を合わせたことがあった。
だが、現役の選手たちが毎度毎度、そうやって集まることは難しいと思われ、PIFとの次なる直接交渉はシーズン終了後になると見られていた。
しかし、すでに理事を辞任していたマキロイは、そんな理事会の動きを傍目にして「それではスローすぎる」と批判。そんな折りにシンプソンが辞意を表明し、自分の後任としてマキロイを指名した。だが、マキロイの理事復帰に反対し、阻止したのが、ウッズ、スピース、カントレーだった。
ところが、そのウッズがマキロイを含めた交渉分科会をいつの間にか結成していた。そして、PIFとの交渉も理事会主導から交渉分科会主導へといつの間にか変わっていたのだから、周囲は驚かされるばかりだ。
PGAツアーの選手理事であるウッズ、スピース、カントレー、スコット、シンプソン、ピーター・マルナティの6名は全員、新たに創設された営利法人「PGAツアー・エンタープライズ」の理事を兼任しているが、マキロイは、すでに選手理事を辞任しているため、PGAツアー・エンタープライズの理事にもなっていない。
今回、その存在が明らかにされた交渉分科会の7名の中でPGAツアー・エンタープライズの理事を務めていないのは、マキロイただ一人ということになる。
つまり、マキロイだけはPGAツアーの理事でもPGAツアー・エンタープライズの理事でもなく、ある意味、中立的立場で交渉に当たることができそうな唯一の存在と見ることができる。
それならば、PGAツアーの理事、PGAツアー・エンタープライズの理事、交渉分科会メンバーという3つすべてを務めるウッズは、どんな存在と見ることができるのか。
ちなみに、PGAツアーの選手理事には、就任時にそれぞれの任期が決められているが、ふと気づけば、唯一ウッズだけは任期が無期限の「生涯理事」とされていることに、米メディアも驚きを隠せない様子である。
そうした現象が、PGAツアーの維持拡大のための最高のリーダーになってほしいというウッズへの期待の反映なら、それはゴルフ界全体にとって歓迎すべきことなのだろう。
実際、SNSでは「もはやタイガーは現役選手から引退し、PGAツアーのコミッショナーになったほうがいい」といったウッズへの期待の声が多数上がっている。
一方で、選手理事の中でただ一人、任期無期限のウッズが、マキロイの理事復帰を阻止し、その一方でマキロイを含めた分科会をいつの間にか設立し、交渉の主導役を理事会から分科会にいつの間にか移したといった一連の「いつの間にか」現象に首を傾げる人々もいる。
エンタープライズ、理事会、分科会と、いろいろ設立されてはいるものの、PGAツアーの行く末は、いまなおベールに包まれたままである。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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