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- 韓国4選手が見た日本の強さ “当たり前の質”が世界で勝つ理由【韓国女子ゴルフの現在地】
日本ツアーを経験した韓国4選手が証言。速いグリーン対応、コース管理、ミスの許されない設定など「当たり前の質」が日本勢の強さの源泉だと語り、日韓の競技環境差を浮き彫りにする。
韓国女子ゴルフが“海外へ行かなくなった”背景には、制度の壁や国内ツアーの充実という合理的な理由がある――。本連載の第3回までで見てきたのは、その構造だ。しかし一方で、もう一つの強烈な現実がある。いま世界の舞台で存在感を増しているのは日本勢であり、その強さは「外から見ても明らか」になりつつある。
では当事者である韓国選手は、日本の強さをどう見ているのか。2025年、複数の日本ツアーメジャーに参戦したKLPGAの実力者たちの証言から、“日韓逆転”の実感に迫る。(文・キム・ミョンウ)
「グリーンが速いのに外さない」

韓国ツアー通算8勝の人気選手、パク・ヒョンギョン。彼女が日本の選手のプレーを見て驚いたのは「パット力」だった。昨年5月、国内メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」に初参戦し、8位タイでトップ10入り。難セッティングにも対応し、観客の視線を集めた。
彼女が試合を通して最も驚いた点として挙げたのが、日本選手のグリーン上での強さだ。かつてアマチュア時代、そして今大会も含め、山下美夢有、菅楓華、安田祐香、佐久間朱莉らと同組で回った経験を踏まえ、こう語っている。
「驚いたのは、グリーンスピードがすごく速いのに自信をもってパットをしている姿。それも2メートル以内は外さない」
“速いグリーン”は世界標準だ。そこで結果を出すには、ライン読みだけでなく、打ち切る覚悟や再現性が求められる。パクが見たのは、まさにその部分だった。日本勢の強さは飛距離や派手さではなく、むしろ「当たり前の質」に宿っている。韓国の実力者がそこに舌を巻いた事実は、いまの勢力図の変化を示している。
「コースコンディションが抜群」
この“日本ツアー=世界基準”という印象は、パク・ヒョンギョンだけではない。昨年9月の国内メジャー第2戦「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」では、韓国ツアーからイ・イェウォン、キム・スジ、パク・ジヨン、パク・ヒョンギョンの4選手が参戦。事前の公式会見で、彼女たちは口をそろえるように日本の質の高さを語った。
初出場のパク・ジヨンは、日本ツアー経験者でもある原英莉花との比較を交え、日本勢の技術をこう評価した。
「韓国ツアーに出場したことがある原英莉花選手のプレーを見たのですが、コンタクトがすごく良かったんです。日本選手のパター練習も見ましたが、コンタクトがとても上手。コースコンディションも抜群によくて、自分の技術を試すには最高の場所だと感じました」
“自分の技術を試すには最高”。この言葉は、日本ツアーを単なる遠征先ではなく、学びの場として捉えている証しでもある。
さらにキム・スジは、悪天候の中での上田桃子のプレーを回想し、こう語った。
「悪天候の中でもベテランの技術を生かしたプレーでスコアをまとめていたのが印象的でした。プレーする姿を見ながら、私がファンになってしまったくらいです」
日本ツアーの特徴は若手の台頭だけではない。条件が崩れたときにスコアを守る技術、集中力、経験値。そこまで含めて“強いツアー”になっているという実感がにじむ。
「ミスしたら絶対にパーセーブができない」
4人の中でも特に説得力があったのが、韓国ツアー通算9勝のイ・イェウォンの証言だ。前年のサロンパスで3位に入った経験から、日本のメジャーの難しさをこう語っている。
「コースコンディションの管理が行き届いていて、特にピンポジションが難しい印象があります。ミスしたら絶対にパーセーブができないという記憶が強いのですが、日本の選手たちはしっかり攻略していて、学ぶプレーが多かった」
簡単に言えば、日本ツアーは“ミスが許されない舞台”になっている。韓国ツアーではセッティングの易化をめぐる議論が出ている。もしその環境差が続くなら、「日本で鍛えられた選手が海外で強い」という流れは偶然ではなく必然になる。
そして本稿の最大のポイントは、日本の強さが“日本側の自己評価”ではなく、韓国のトップ選手の言葉によって裏付けられている点だ。
多少のリップサービスはあるかもしれない。それでも、ライバル国の実力者たちが「学ぶプレーが多い」「最高の場所」と語るほど、日本ツアーの競技環境が高水準にあることを実感して帰国しているのは間違いない。
韓国女子ゴルフが抱える課題は、単なるスター不足ではない。育成環境の強度、ツアー設計の方向性、そして競争の質だ。
次回は視点をもう一度引き戻し、韓国女子ゴルフは本当に“衰退”しているのかを検証する。優勝者数や世界実績という「結果」の面では、いまも韓国が引けを取らない現実がある。その底力をデータと実績から見ていきたい。
キム・ミョンウ
1977年生まれ、大阪府出身の在日コリアン3世。新聞記者として社会・スポーツ取材など幅広い分野を担当。その後、編集プロダクションを経てフリーに転身。2010年、サッカー北朝鮮代表の南アフリカW杯出場決定後、日本メディアとして初めて平壌で代表チームを取材し、『Number』に寄稿。2011年から女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子プロとも親交を深める。現在は女子ゴルフとサッカー、アスリートインタビューなどを中心に雑誌やWEB媒体に寄稿。著書に「イ・ボミ 愛される力」(光文社)。
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