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- 「金額より企業の格」「日本だけの慣習」!? プロゴルファーの“所属契約” 普通のスポンサーと何が違う?
国内女子ツアー開幕を前に相次ぐ「所属契約」の発表。だが、その定義は意外なほど曖昧だ。スポンサー契約と何が違うのか。日本独自とされる慣習の歴史と背景、選手と企業それぞれの思惑をひも解く。
有名企業が所属先だと他のスポンサー契約も増える!?
国内女子ツアー開幕を目前に控え、プロたちの新契約に関するニュースが飛び交っています。そこで頻出するワードが「所属契約」。語感から、その企業の“身内”になるようなイメージはなんとなく伝わってきますが、他の契約形態と具体的に何が違うのでしょうか。
直近では、昨年のプロテストにトップ合格した伊藤愛華と明治安田生命との所属契約が発表されました。また、ツアー6勝の笠りつ子がPGMとの所属契約締結を発表。有村智恵もミサワホームと所属契約しています。後者のベテランプロ2名については、所属ではないスポンサーとして長年支えてくれた企業があらためて所属先になった例です。
プロゴルファー個人のスポンサー契約は、実績や期待、人気による露出の頻度など、さまざまなことを鑑みて結ばれています。その中でもペアリング(トーナメントのスタート表)に名前と共に書かれていたり、スタート時に選手の名前と共に紹介されたりすることが多いのが「所属先」(所属契約を結んだ企業など)です。
スポーツ紙の記事中に名前の後に年齢とともに記載されることもあり、露出度は抜群です。複数のスポンサーを持つ人気選手でも「所属先」は一つというのが慣例になっています。

ツアーのオフィシャルウェブサイトにも乗るこの「所属先」ですが、その定義となると極めて曖昧です。男女両ツアーに問い合わせてみましたが、慣例という認識以上のはっきりしたものは返ってきませんでした。
選手側はどうでしょう。
「(所属契約は)日本に限った話で、現実として他の契約と大きな違いはありません。ただ、所属契約は金額に関わらずナショナルクライアントのような大きなところを求める選手も少なくありません。そうなると(有名企業が所属先だと)、他の契約のお話が増えることもあります。企業側もPRをしたいタイミングで所属契約のお話を下さることもあります」
こう話すのは、契約関連に詳しい関係者。選手側はステータスを、企業側は広告塔としての役割をより強く求めるのが所属契約だという面が浮き堀になる話です。
試合でのペアリングやスタートアナウンスでの紹介についても、主催者次第なのはどちらも同じ。名前とスコアだけ、という試合もあるのが実態です。ただ、所属契約がこれほど表に出ることは日本以外ではほとんどありません。こうした慣例が生まれた背景には、プロゴルファーという職業が、独特な広がり方をした経緯があります。
プロがゴルフ場の社員として給料をもらっていたことが起源
日本のゴルフ界においてプロのマネジメント分野の草分けでもある川田太三氏は、「(プロが)倶楽部(ゴルフ場)に所属していたところからでしょう。社員として給料をもらっていたところから始まって、やがて契約という形になった」と、その歴史を証言します。
「契約プロという形ができたのも藤井義将(1929~2015年)くらいからでしょう」と、昨年末に亡くなったジャンボ尾崎の最初の師匠でもあるプロの名を挙げました。霞ヶ関カンツリー倶楽部と年間契約を結び、トーナメント中心のプロという形態のパイオニアでもあります。
クラブ(ゴルフ場)の社員として給料をもらい、福利厚生なども含めてトーナメントの出場経費も持ってもらうそれまでのケースと、契約プロとしてまとまったお金をもらい、それ以外は賞金でやっていく新しい形もありました。そんな状況が長い間続いていたわけです。
プロゴルファーにマネージャーがいるのが珍しく、携帯電話もなかった時代には、旅暮らしのプロ本人に代わって、所属先が連絡窓口となることも珍しくなかったのです。取材依頼も、自宅や所属先の担当者を通じて、ということが日常でした。
また、プロゴルファーがトラブルに巻き込まれたような時にも、大きな所属先が守ってくれるようなこともありました。
時が流れ、ツアーが大きくなる一方で、ゴルフ場が置かれた状況も変わった現在、ゴルフ場所属のプロは少なくなりました。プロゴルファーの契約先にゴルフ関連以外の企業もどんどん増えてきています。それでも、かつてのプロのあり方の名残のように「所属契約」という形が今もあるのです。
海外に出る選手も、日本にやってくる選手も当たり前となり、契約の形態も徐々に変わっています。「所属契約」という日本独自の慣習がこの先どうなっていくのか。その辺りもツアーのあり方と共に見守ると面白いかもしれません。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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