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- コンペで喧嘩して逮捕のニュース… ゴルフの人間関係は複雑怪奇/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
静岡のゴルフ場で起きたコンペ参加者同士の暴行事件。背景は不明ながら、実はゴルフ場では“知らない相手”以上に“知り合い同士”のトラブルが少なくありません。ルールやマナー、世代間ギャップ、夫婦関係、派閥争い――。ゴルフ倶楽部は時に、社会の縮図そのものになります。
65歳の男性がコンペのトラブルで70代の参加者を殴る
先日静岡のゴルフ場で65歳の男性が、コンペのトラブルで70代の参加者を殴り、逮捕される事件が起きました。
詳細は不明ですが、事件が起きたのが朝8時頃だそうです。そうなるとルール&マナー違反か、あるいは積年の恨みか? 分かっているのは、互いに相手を知っていてのトラブルということです。

みんなが楽しみにしているゴルフコンペで、なぜこういう事件が起きるのか? 今までは知らない者同士で、打ち込んだとかプレーが遅いとかでトラブルが起こり……そういうニュースを耳にしていました。
ところが実際は、知り合い同士でも問題が発生することが多いのです。その理由を考察したいと思います。
1)ゴルフコンペは人間関係の縮図
毎年ゴルフコンペの幹事やサポートをやっています。ラウンドの組み合わせで、あの人とあの人はNGみたいなことはよくあります。
個人的にもあの人は苦手、できるならラウンドしたくない、そういう人はいます。
例えばやたらルール&マナーに厳しいわりには、自分に甘く微妙な距離のオーケーをねだる人とか。さらに打つたんびボールを見失う人、全員が打ち終わる前にさっさと歩きだす人もいますね。こういう人たちと一緒にラウンドすると、自分のプレーに集中できないのがつらいです。
ゴルフは丸1日空けて何万円か払うのですから、楽しく有意義にラウンドしたいものです。
ほか、過去において、毎月何十人かで行われる某コンペに参加をしていたのですが、雰囲気が悪くなったので行くのをやめたことがあります。
それは良く言えば世代交代です。ビギナーの若者が参加し始めて、彼らはロクにあいさつもしないし交流もまったくなし。スコアは悪いが、飛ばしの自慢話だけはしています。
猫の保護施設でよく起きる、先住猫と新参猫の対立みたいなものでしょうか。
自分は古い世代なんだな、そしてコンペの幹事は新しい世代を優遇参加させるので、老兵は去りゆくのみ。フェードアウトしました。
もし自分が先住ゴルファーだからと居座っていたら、早晩トラブルが起きたでしょう。
こう考えると、誰にでも些細な問題が起こる火種を持っており、案外多いのが距離が近い人とのトラブルです。
2)ゴルフ場で多い夫婦間のトラブル
旦那さんがゴルフをやり始め、初心者の奥さんをコースに連れていくと、突如男性が教え魔になって、奥さんが嫌がるとかね。あるいは上から目線だ、しつこく教え過ぎるとか、意味不明の柔軟体操をやらされるとか。実際にこういう体験をした女性が多いです。
そこで夫婦間のトラブルを回避するために作られたのが、婦人会という集まりです。
ちょっとした名門倶楽部には○○婦人会、あるいは花の名前を使った椿会、あやめ会、カトレア会みたいな集まりが存在しています。
男女を分けてしまえば、男性同士では「カミさんは働きもしないでゴルフばかりして、もう大変だよ」とボヤき、婦人会でも「男って仕事だと言えば、ゴルフしてキャバクラで飲んでいい身分よね」と好き放題言いまくり。それでお互い憂さ晴らしができるわけです。婦人会は実によくできたシステムだと思います。
ほか、名門コースだと有名大学のOB会はお約束。ゴルフ場ができた時のスポンサー企業の集まりもよくありますね。
しかし、ゴルフ倶楽部内の任意団体や公認サークルが増えると、些細なトラブルが起こり始めます。
例えば日曜8時台のおいしいスタート時間枠5組を、名前も入れずに団体名で確保してしまうとかね。実際、昔いた倶楽部で同様な事例が発生し、その後、無記名での予約はなしになりました。
さらに倶楽部の理事長派、副理事長派、あるいは経営側と倶楽部側の派閥が分かれて、権力争いが起きた話はよく聞きます。
さる超名門倶楽部では、次期理事長を巡って、銀行金融系と製造流通系の派閥のどちらから出すんだと内紛が起きて、ニュースになっていました。
要するにゴルフ倶楽部は社内政治の写し鏡であり、社会の縮図なのです。
3)過去の目撃談
さるクラブに在籍していた時、レストランで食事をしていたら、仲間内で盛り上がっているテーブルに、初老の紳士がツカツカ歩み寄り「今後あんたらとは一切付き合わない! 無礼なんだよ!!」と怒鳴って退席しましたからね。
具体的な内容は知りませんが、パワハラみたいなことがあったのでしょう。
ゴルフはスコアを競い、誰がうまいかをハンディキャップで順位づけるゲームで、そこにヒエラルキーが生まれ、トラブルが生じることがあります。
過去に5回以上クラブチャンピオンになった人たちにお話を伺ったことがあります。「何連覇もするのは凄いですね~」と言うや、皆さん同じことを言うのです。クラチャンさん方いわく「そんなに勝ってばかりいないで、そろそろ次の人に譲ったら?って皮肉を言われる」そうです。
つまり、クラチャンは一人で何年も独占するものじゃない。みんなにチャンスや希望を与えないとダメと考える人が結構いるそうです。
「ゴルフが一番強いからクラブチャンピオンになれる」じゃないんですよね。そこには「譲り合いの精神が必要」って、なんかおかしくないですか?
結局、ゴルフ倶楽部というサロンはスポーツの腕前を競うより、社交をする場であり、そこに義理人情やヒエラルキーやパワーバランスやらが混在しているのです。
陰湿なサラリーマンの派閥争いが嫌で、週末ゴルフ倶楽部で伸び伸びしようと思ったら、またそこで派閥争いに巻き込まれる。実に皮肉な人生ですなあ。
仕事の悩みの8割は人間関係と言われています。ゴルフの集まりもきっと同様でしょうね。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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