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- ラウンドリポーターが“バッグのファスナー全開”にする理由とは? 試合現場で“空気”になるための職人の知恵
「あおもりレディス」でラウンドリポーターを務めた小西綾子氏。猛暑の中、“七つ道具”を抱えてコースを奔走します。ファスナーの音にまで気を配るプロの流儀や、長年の経験から学んだ「伝える極意」など、知られざるゴルフ中継の裏側をお届けします。
プレーの邪魔にならないよう“音”には細心の注意
ステップ・アップ・ツアー「あおもりレディスオープンゴルフトーナメント」は、リポーターとして中継に参加しました。
久しぶりのコースリポート!
選手たちとたくさんコミュニケーションがとれること、間近で試合の空気感を感じられることを楽しみにしていました。

一方で、不安だったのは暑さです。
昨年のこの大会は、びっくりするほどの暑さ。さらに今年はコースも変わり、インコースとして使用された八甲田コースはアップダウンのあるレイアウトです。
暑い中での自分の体力はちょっぴり心配で、7月に入ってからは少し走ったりもして備えていました。
写真は、私のリポーター時のスタイル。
ハットにフェイスカバー、ヤーデージブック、首からはハンディーファンをぶら下げて、手には距離計。そしてショルダーバッグが2つ。
一つは自分のバッグです。
中にはドリンク、ペン、日焼け止めスプレー、ひんやりシート、ラムネ、そして自分のスマートフォン。
もう一つは音声スタッフさんから渡されるバッグ。ここにはイヤホンにつながったスマートフォンが入っています。コースでは、携帯電話を使って中継の音声を聞きながら動いているのです。
そして私、自分のバッグのファスナーはいつも開けっぱなし。だらしないと思われるかもしれませんが、これにはちゃんと意味があります。
ファスナーを「ジジジジッ」と開ける音。
意外と響くのです。必要なものを取り出そうとした瞬間、その音がプレーの邪魔にならないように、常に開けっぱなしにしています。
気をつけている音はほかにもあります。
たとえば、3色ボールペンの芯を戻すときの「カチッ」という音。普段なら気にも留めないような小さな音ですが、静かなコースでは思いのほかよく聞こえます。特にグリーン周りでは、細心の注意を払っています。
選手がカートに乗車する場合もあるステップは追いつくのが大変
今大会は初日・2日目が4人1組でのプレー。さらに暑さ対策のため選手はカート乗車が認められていたので、とにかく選手に追いつくのが大変でした。
そこで今回は、いつも以上に「先回り」。
ティーショットやグリーン上のプレーを見ることはほぼ諦め、基本的にはセカンド地点を中心に動くことにしたのですが……。
4選手がティーショットを打ち終わったら、すぐにそれぞれの残り距離を計測。ちょっとでももたついていると、選手たちはカートであっという間にセカンド地点に到着してしまいます。
パー3では選手が持つクラブの番手や、その場で感じる風を確認したいので、ティーイングエリアでリポートすることを選んだものの、そのショットがバンカーに入ったものなら大変。急いで向かっても間に合わないのです!
だからといって、焦ってバタバタと動けば選手のプレーを邪魔しかねません。
そんなときは、割り切ることも大切です。
「今、テレビを見ている人に一番伝えるべきことは何だろう?」
まずはカメラが捉えられない位置にいったボールのライを見に行こう。
選手からはどんな景色かな?
距離を測る時間はあるかな?
選手はどんな表情をしてる?
その場面ごとに優先順位を考えます。それでも間に合わないときは、潔く諦める。
長年リポーターをやってきて、失敗もたくさんしました。そんな中で身についたのは、意外にも「無理をしない」ということかもしれません。
以前は「全部伝えなきゃ」と気持ちばかりが焦っていました。でも、全部を見ることはできないし、全部を伝えることもできない。それならば、そのときにできることを考えて工夫する。
毎回状況が違うからこそ、「今日はどう動こう?」と考えながらコースを歩くのも、この仕事の面白いところだと思っています。(小西綾子/キャスター・リポーター)
小西 綾子(こにし・あやこ)

大阪府出身。日本体育大学 大学院体育科学研究科修士課程修了。大学院卒業後、スポーツ科学関連への進路もあったが、身近に感じたスポーツの楽しさ、醍醐味を伝える仕事をする決心をし、それまでのキャリアを捨てしゃべり手としての人生をスタート。ゴルフ中継の実況、ラウンドリポートに定評あり、インタビュアーとして選手からの信頼も厚い。主な出演番組は「JLPGA レギュラーツアー・ステップアップツアー中継」実況・ラウンドリポーター・インタビュアー(スカイA、U-NEXT)、「マナミ&光里のGOLF LOVERS」司会(J:COM BS、ゴルフネットワーク、スカイA )
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