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「JGTOには売るものが…」 倉本副会長が吐露した日本男子の弱点 「リブ→米・欧」鞍替えアジアとの最大の違いとは?
アジアンツアーの米欧傘下入りで揺れるゴルフ界。JGTO倉本副会長が語る「放映権」を巡るビジネス構造のリアルと、アジア幹部が明かす日本市場への熱視線から、日本ゴルフが生き残るための課題と展望を解き明かす。
アジアと米・欧提携の裏側と「放映権」なきJGTOの構造的問題
アジアンツアーが欧州のDPワールドツアー 、米PGAツアーとの提携を発表しました。
国内でJ-TOURへの変革を推進している倉本昌弘JGTO副会長は、今回の提携をどうとらえているのでしょうか。直撃すると、こんな答えが返ってきました。
「今回の件は少なくともPGAツアーはDPに投資し、DPはアジアンツアーに投資した。アジアンツアーをPGAへの登竜門としたことの対価として、放映権をすべてPGAツアーが取った。放映権の話は(表に)出ていないけども、実際にはそういうことなんですよ。 アジアンツアーとしては渡りに船っていうか、リブから離れて受け入れ先を探していたところ、PGAツアーがそれを買い取ったみたいなところなんです」

「特に(アジアンツアーの)チョーというディレクターはもともと事務局出身で、プレジデントに登れたほどすごくできる人。選手のこともよく分かるし、トップの営業マンでもある」
「そのDP、それからPGAツアー、アジアンツアーと我々との決定的な違いはライツ(ツアーに関する諸々の権利)を持っているか、持っていないかなんですよ。だから、今のJGTOっていうのはライツを持ってないから、逆に言えば、売るものがないってことなんです。アジアンツアーは幸いにも全試合のライツを持っているから、ライツを売ることによって投資価値があったってことなんです」
「だから今、(J-TOURとして)各大会主催者とライツをお互いに持ちませんか(=大会を共催しませんか)みたいなことを一生懸命やり続けているってことなんですよ。一つ一つの試合のライツを集めることによって莫大な価値が生まれるということを各主催者が分かってくれないと、ツアーとして動けないってことです」
まだまだ多くの諸問題が山積みですが、中でもライツをベースにしたスポンサーとの調整が最優先の課題であることは確かなようです。
「日本は最重要市場」アジアンツアー幹部が語る共催の可能性と未来
筆者は今年4月のISJ終了のタイミングで、今年の感想と来年以降の展望に関する質問を、最高責任者であるラルフ・シン氏に送っていました。
筆者が「昨年、日本人選手はここ(ISJ)で非常に好成績を収めました。この大会、あるいは世界各地で開催される他のインターナショナルシリーズ大会において、日本人選手の出場を増やす計画はありますか?」と質問すると、次のように回答しました。
「日本人選手は、この大会だけでなく、より広範なゴルフ界において、目覚ましい活躍を見せています。浅地洋佑選手がインターナショナルシリーズを経てリブゴルフに昇格した例や、比嘉一貴選手がアジアンツアーの賞金ランキングで成功を収めた(年間王者になった)例など、才能豊かな選手層の厚さを示す素晴らしい事例が数多くあります」
「私たちの育成システムは、基本的にパフォーマンスに基づいています。アジアンツアーで好成績を収めた選手はISへの出場権を獲得し、そこからさらにステップアップしていく機会を得られます。今、多くの日本人選手がステップアップし、今大会だけでなくシーズンを通してその機会をつかんでいるのを目にしています。まさにこれが、私たちが目指すシステムのあり方です」と、肯定的な意見でした。
さらにはこんな質問もしています。「JGTOとの提携や共同開催の可能性について関心が寄せられています。課題があることは承知していますが、将来的に検討するお考えはありますか?」
この問いには「私たちは、ビジョンや機会が一致する現地のツアーや統括団体との連携を常に歓迎しています。日本は私たちにとって非常に重要な市場であり、今週の大会(インターナショナルシリーズ・ジャパン)にJGTO所属選手が多数出場していることは、日本人選手が自国開催の国際大会で競い合いたいという強い意欲を持っていることを示しています。今後も、エコシステム(※)をさらに強化し、選手にとってより多くの道筋を切り開き、同時にゴルフを世界的に発展させていくための機会を積極的に模索していきます。
さらに「日本は、熱狂的なファン層と、次々と輩出される才能豊かな選手たちの存在から、私たちにとって重要な市場です。インターナショナルシリーズのビジョン全体において、アジアをはじめとする主要市場でゲームへの愛を育み、新たな機会を創出していく上で、日本は重要な役割を担っています。スケジュールに関しては、パートナーや関係者と緊密に連携しながら、常にカレンダーの見直しと改善を行っています。日本ではこれまで非常に良い経験を積んでおり、今後も日本は私たちにとって大切な市場であり、関係を深めていきたいと考えています」と、前向きなコメントを寄せました。
ISの今後も不透明ではありますが、アジアンツアーが米・欧ツアーと提携したことで、日本のツアーとの関係もより開かれ、より接近したものになることは間違いなさそう。これは海外志向の日本選手にとっても、新生J-TOURに興味を抱いているアジア各国の選手たちにとっても、朗報と言えるのではないでしょうか。今後の成り行きから目が離せなくなってきました。(小川朗/日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
(※)エコシステム=直訳は生態系だがゴルフ界などで使われる場合は「世界中の組織や市場が国境を越えてつながり、互いに利益を循環させる仕組み」という意味で使われる。たとえば中島啓太は2024年から前年度のJGTO賞金王の資格でDPワールドツアーに参戦。24年にポイントランキングは35位に終わったものの翌25年には4度のトップ10などで14位に。有資格者を除く上位10人が得られる26年のPGAツアーの出場権を、8番手で獲得。米ツアーを転戦している。このような日本→欧州→米国という形で昇格していくルート(パスウェイ)がエコシステムの核心。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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