「2年間でプレー代を19%も上げているのは横暴だ」
コロナ禍でゴルフ人気が上昇している韓国で、パブリック(大衆)ゴルフ場のプレー代の高騰が問題になっています。

感染リスクが低い屋外で楽しめるスポーツということや海外に渡航できないゴルファーが国内でのプレー機会が増えたことなどから、首都圏のゴルフ場は商売の好機と捉え“強気”の価格で営業しているのでしょう。
韓国では公正取引委員会や消費者庁に当たる機関が異常な価格設定をしているゴルフ場の調査に乗り出す事態になっていますが、こうした状況に釘を刺したのが、3月9日に行われる韓国大統領選候補で与党「共に民主党」・京畿道知事のイ・ジェミョン(李在明)氏でした。
李氏はSNSのフェイスブックに掲載した42番目の“小確幸(=小さいけれども確実な幸せ)公約”として「ゴルフ人口500万時代にふさわしく大衆ゴルフ場の運営方式を健全化する」と明らかにしました。
そこで李氏は具体的にこう語っています。
「ゴルフは国民たちに愛され続け、今や大衆スポーツとして位置づけられました。税減免などで大衆ゴルフ場の普及を推進し、その結果、過去10年間で2倍も増加しました。こうしたインフラ拡大に支えられ、利用者は若い世代へ大きく広がりました。コロナ禍以降は国外にまで需要が及び、今やゴルフ市場規模は5兆6000億ウォン(約5600億円)に達し、今後も高い成長が予想されています。しかし、これまで高額の利用料と禁止された類似会員募集などで利用客の不満が高い」
また、李氏は「この2年間でプレー代を19%も上げている。とても横暴だ」と指摘しました。今後の対策として、「大衆ゴルフ場の会員制運営を根絶する」と表明しています。韓国のパブリックゴルフ場は「パブリック」とは名乗っていても、実質は会員権に類似した権利を販売し、購入した人を優遇する制度を設けているケースが多いようなのです。
「パブリック」とは名乗っていても実質的に会員募集
さらに「昨年末に国会を通過した体育施設法により、大衆ゴルフ場の会員募集禁止、利用優先権の提供と販売禁止などの規定が守られるよう、文化体育観光部と自治体の協力の下で徹底的に監督する」こと、また「大衆ゴルフ場の運営審査制を導入する。一方的な料金引き上げの抑制、適正な価格水準を維持するため管理を強化する」と表明しました。
ちなみに昨年、韓国にあるパブリックゴルフ場は税減免の恩恵を受けており、その税金額は7000億ウォン(約700億円)にもなるそうです。
李氏はその点についても指摘しており、「国民が便利で快適にゴルフ場を利用できるように恩恵を(減免で)保障しただけに、今後はしっかりと運営されるよう徹底的にチェックしてすぐに取り組む」と意気込んでいます。税制面で優遇を受けながら、ゴルフ人気に乗じて暴利を貪るのは許さない、というわけです。
これは500万人と言われるゴルフ人口を抱え近年ゴルフブームに拍車がかかる韓国で、一定の層には刺さる公約かもしれません。決して大きな争点ではないにせよ、国民の目線に立った問題提起をする李氏の今後の発言に注目が集まっています。