ゴルフ場のカラスは物を盗るので注意が必要
日本のゴルフ場の多くは、自然豊かな土地に作られています。そのため、プレー中にさまざまな野生動物を見かけるのはよくある光景となっています。
野生動物には、決してエサを与えてはいけません。「餌付け」された野生動物は人間を恐れなくなり、周辺の田畑を荒らすなど、農作物被害につながる可能性があるからです。
とはいえ、一般的に野生動物がプレーヤーに危害を加えることは少ないので、通り過ぎるまで待機するのが無難でしょう。
しかし、ゴルファーが持っている食べ物や小物を狙うカラスには注意が必要です。
もしカートの外から見える位置に食べ物や小物、ポーチを置いておくと、カラスが飛んできて盗られる可能性があります。もし、持っていかれてしまったら、戻ってこないことがほとんどでしょう。
そんなカラスは時に、プレー中のゴルフボールをくわえて持っていってしまうことがあります。
カラスは色を識別する能力が高く、光り輝く物に興味が湧きやすいからだと言われます。特に、蛍光色のゴルフボールは持って行かれる危険が高くなります。
無罰で元の箇所に球を戻さなければいけない
では、もしフェアウェイにあったボールをカラスが持っていってしまった場合、ゴルフのルールではどのように処置するのが適切なのでしょう？
まず、ゴルフ規則では、止まっていた球が動いた場合、その原因となる可能性を4つに限定しています。
1つ目は、風や水などの自然の力。2つ目はプレーヤーおよびそのキャディー、3つ目はマッチプレーの相手およびそのキャディーで、4つ目が「外的影響」となっています。カラスはこの外的影響に当たります。ちなみに、ストロークプレーにおいては他のプレーヤーも「外的影響」に含まれます。
ゴルフ規則では、〈外的影響（ストロークプレーの別のプレーヤーや別の球を含む）がプレーヤーの球を拾い上げたり、動かしたことが「分かっている、または事実上確実」な場合：・罰はない。そして、・その球を元の箇所にリプレースしなければならない（分からない場合は推定しなければならない）〉とあります。
そして、外的影響とは、プレーヤーとキャディー（チーム競技の場合は、そのパートナーを含む）などを除くすべての人、動物、物などを指し、プレーヤーの球や道具、コースに影響を及ぼすものであると定義されています。
つまり、ゴルフ場の野生動物や風で飛ばされてきた物などは外的影響となります。ちなみにこの外的影響は19年以前のルールでは「局外者」と呼ばれていました。
この外的影響であるカラスが球を持っていったことが分かっている、または事実上確実な場合は、無罰で元の箇所に球を戻さなければいけません。（参考規則：規則9.2b、規則9.6）
つまり、カラスがくわえていったボールを拾える場所にポトリと落としたら、それを元あった場所に戻せばいいですし、持ち去ってしまって元の球がなくなった場合は新しい球を元の箇所に置くことになります。
もし、猿や鹿など、他の動物がボールを動かした場合も、同様のルールに沿って処置を行います。
ただし規則には〈しかし、外的影響が球を拾い上げたり、動かしたことが「分かっている、または事実上確実」ではなく、その球が紛失となった場合、プレーヤーは規則18.2に基づいてストロークと距離の救済を受けなければならない〉とも但し書きがしてあります。
つまり、カラスが持っていったことが確実でなければ、「紛失球」としての処置を行いなさい、ということ。くれぐれも“希望的観測”に基づいて処置をすることがないようにしましょう。
ラウンド中に遭遇するのはレアなケースかもしれませんが、適切な処置を知っておくことで、慌てずスムーズに対応することができますから、ぜひ覚えておいてください。
