ツアープロの駆け込み寺!? クラブメーカーの「サービスカー」って何するクルマ?

トーナメント会場に足を運んだことがない人でも、各メーカーが派遣する「サービスカー」や「ツアーバン」と呼ばれるクルマがあることをご存じの方も多いでしょう。具体的にはどんなことをする役割を担っているのでしょうか?

メーカーが1台ずつ出す以外に“相乗り”パターンも

 ツアー観戦に行くと練習場付近で見かけることが多い大きな車。メーカー名がカラフルにペイントされていて目立つものや、様々なメーカーの名前が並ぶものもあります。「ツアーバン」「バス」「サービスカー」などと呼ばれるこの車たち、いったいどんな役割を担っているのでしょうか。

トーナメント会場には何台もの「サービスカー」が派遣されている

 分かりやすいように、ここでは呼び名を「サービスカー」で統一しましょう。一言でいうと、プロたちの用具をサポートするというのが、サービスカーの仕事です。クラブメーカーのものが主ですが、いくつかのメーカーが“相乗り”したもの、シャフトやグリップ、グローブやスパイクなどのメーカーのプロサービスとして、主に練習日にトーナメント会場にやってきて、プロたちのクラブを調整したり、ボールなどの用具を供給したりします。

 一体、いつごろからサービスカーはトーナメント会場に来るようになったのでしょうか。

 マルマンゴルフ(現マジェスティ ゴルフ)のプロ担当として、長い間、サービスカーでプロサービスをした経験を持つ小川和誠さんに記憶をたどってもらいました。

「南部富士(岩手県)の三菱ギャラン(1983年)には行ってるね。それが一番最初じゃないかな。それ以前、マルマン日本海オープン(1980~1986年。1987~1994年はマルマンオープン)が始まる少し前くらいに、サイエンスカーという車があったんです。トラックの荷台の壁を広げるようにしてネットを張って、ヘッドスピードやスイング軌道を図る単純な機械を積んでショップなんかを回った。その後がツアー。プロと契約するならサポートしなくちゃ、という感じで始まった。20人乗りくらいのバスを改造したものを運転していた」

 この頃は、国内大手のダンロップやブリヂストン、ミズノのサービスカーがツアー会場にいたくらいだったそうです。

「まだパーシモンの時代。一番多い仕事はグリップ交換やロフト、ライ角の調整だった」。職人肌のプロたちがやってきては、細かい調整をしてもらう。人によっては自ら道具を使って調整する場合もあったと言います。

(有)ビー・ヒットを経営し、現在はヨネックスを中心にいくつものメーカーの仕事でツアー会場を転戦する長瀬貞之さんは、1989年にタイトリストジャパンを設立した時のメンバーの一人でもあります。

「アメリカ(のタイトリスト)に言われてツアーに行くようになったのは翌年(1990年)だったと思います。その頃にはテーラーメイドやアシックス、ダイワやシャフトメーカーがいたと思う」

 この頃から、外資系メーカーが進出したり景気が悪くなって撤退する企業が出て、“相乗り”系サービスカーも出現してきました。

女子にはサービスカーがあまり出なかった時代も

 時代とともに変わってきたこととして、最初は男子ツアーばかりで見られたサービスカーが、女子ツアーで見られることが増えた、ということがあります。契約選手の数にもよりますが、男女同時に車を出せる企業は限られます。サービスカーが1台しかなければ、需要の多いほうを選ぶことになります。かつては男子ツアーの需要が多かったのですが、いつの間にか試合数も露出も女子に逆転されてしまいました。

「選手にどれだけ必要とされるか」というよりも「どれだけ選手に使ってもらってPRできるか」を考え、女子を優先する企業が増えたのは、無理のないことだったのかもしれません。

 男子ツアーにしか行かないサービスカーもあれば、女子ツアーばかりのサービスカーもあります。ただ、プロモーションが目的の場合は、露出の多さを優先する傾向にあります。

 クラブ調整についても変わってきています。「前はグリップ交換が一番多かったけど、今はシャフト装着のほうが多いかもしれません」(長瀬氏)

 ヘッドとシャフトのマッチングをいろいろと試すことが当たり前になり、クラブ契約がフリーのシード選手が増えた影響もあるのでしょう。例えば、強くて契約フリーの選手には、いくつものクラブメーカーやシャフトメーカーがそれぞれの製品を持ち寄り、何通り、何十通りものマッチングが試されます。良いクラブが出来上がるのも道理です。

 ただ、掛けられる手間暇には限りがありますから、そこまでのサポートは受けられない選手も大勢います。残酷なほど、実力の世界だということを思い知らされるのも、サービスカーの周辺です。

 クラブを中心に選手のプレーをサポートする役割を持つサービスカーですが、人によっては“癒しの場”になっていることも少なくありません。練習の前後に、馴染みのクラフトマンさんのところに立ち寄って、お茶やおやつを楽しみながら一休み。ゴルフの悩みや、愚痴を口にすることもあります。ツアープレーヤーは、試合会場を転々とするのが日常。束の間の休憩時間を過ごす場所であることもあるのです。

 コロナ禍での無観客から、ギャラリーを入れる試合が増えてきた2022年のツアー。試合が始まってしまうとサービスカーのいる光景に出会うチャンスはそう多くありませんが、練習場周辺を見回してみてください。選手がほっこりしたり、真剣にクラブ談義をしている様子を垣間見ることができます。

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