佐藤心結は1イーグル5バーディーで「29」を達成
ニチレイレディス初日に18歳のルーキー・佐藤心結が9ホール29という、すごいスコアを叩き出した。この日、10番からスタートした佐藤は前半を2バーディー、1ボギーで回った後、後半のアウトに入るとまず1番パー5でイーグル奪取。その後も5バーディーを奪って7アンダーの29としたのだ。
この日のトータルは64で単独首位に立った佐藤。2日目は69にまとめて首位タイで最終日を迎えてルーキー優勝一番乗りの期待が高まった。最終的には5位に終わったが、優勝争いを盛り上げてくれたことは間違いない。
さて、アベレージゴルファーにとって、9ホールの「30台」は夢のスコアではないだろうか。2オーバーや3オーバーで終盤に差し掛かると、どうしても意識してしまう。結果、最後の最後で崩れて夢のスコアに手が届かなかったという経験がある方は少なくないと思う。
プロならば夢の9ホールスコアは「20台」だろう。実際、どれくらいの確率で出るものなのだろうか。女子ツアーを対象に調べてみた。
女子ツアーで初めて「20台」が出たのは今からちょうど30年前のことだ。1992年のヤクルトレディース2日目にオーストラリア出身のジェニファー・セビルが前半のアウトで40と苦戦した後、インに入って別人のゴルフを展開。7バーディー、ボギーなしで29をマークしたのだ。
この日はコースコンディション不良のため、6インチプレースの特別ルールが採用されていたため、当初、この29は参考記録扱いだった。ただ、その後、正式な記録と認められ、晴れて女子ツアー「20台」の第1号となったという経緯がある。
セビルの第1号から30年、ニチレイレディスでの佐藤の「20台」がちょうど30回目だった。単純計算では1年に1回のペースである。ただし、10年ごとに区切ってみれば、明らかな増加傾向であることが分かる。そのデータがこれだ。
年代 回数 確率
1990年代 2回 48359ラウンドに1回
2000年代 4回 22310ラウンドに1回
2010年代 17回 5902ラウンドに1回
2020年代 7回 2855ラウンドに1回
1990年代の10年間はたった2回で48359ラウンドに1回という非常に低い確率だった。それが、年代が進むたびに増えて、2020年代はまだ2年半ながらすでに7回。確率は2855ラウンドに1回で1990年代の実に17倍にも膨れ上がっているのである。「20台」がそれほど珍しい時代ではなくなってきているというわけだ。
ハーフでの最小スコアは「27」を達成した諸見里しのぶ
これまで「20台」を最も若くして記録したのは2012年サントリーレディス最終日アウトで29をマークしたキム・ヒョージュの16歳である。当時アマチュアだったキムはインでも32の好スコアを出して18ホールでは61のツアー新記録を樹立。7打差逆転で当時のツアー最年少優勝をも塗り替えたという、衝撃的なプレーだった。
佐藤の18歳はこれに次ぐ歴代2位の年少記録。日本選手に限れば最年少となる。
最少スコアは2011年スタンレーレディス最終日に諸見里しのぶが出した27だ。27位で出た諸見里は1番から何と7連続バーディーをマーク。さらに8番パー5では7mのイーグルパットまで決めた。9番はパーで9アンダーの27という大記録をつくったのだ。
この時点で首位に立った諸見里だったが、インではバーディーなしの1ボギーと失速。3位に終わっている。
28は2019年のデサントレディース東海クラシックでマークした李知姫1人。この時、李は40歳。女子ツアー最年長の「20台」である。残りの28例はすべて29だ。
これまで「20台」を2回出した選手はいない。今シーズンのシード選手で「20台」の経験者は稲見萌寧、古江彩佳、小祝さくら、申ジエ、渡邉彩香、堀琴音、若林舞衣子、森田遥、臼井麗香、大山志保、李知姫という面々。誰が史上初の「2回目の20台」をマークするかにも注目したい。