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テーラーメイドの中空アイアン「P790」と「P770」を試打比較 パッと見似てるけど“飛び”と“やさしさ”はどう違う?

2023.08.04 鶴原弘高
アイアン ギアくら ゴルフギア テーラーメイドゴルフ 試打

すっきりとしたデザインでありながら、飛びと寛容性を備えていることで人気が高まっている中空アイアン。なかでもテーラーメイドの「P790」は、中空ブームの先駆けともいえるモデルです。ゴルフライターの鶴原弘高が、メーカー各社の新製品を比較試打して性能を検証する定例企画「ギアくら―Gear Comparison club―」。今回は人気の「P790」と、その兄弟モデルとして発売されている「P770」の性能を比較検証します。

同じメーカーの中空構造の2モデル、どちらがどんな人に合う?

 今回取り上げる「P790」は、2021年9月に発売されたモデル。「P770」は、2023年1月に発売されたモデルとなります。どちらも中空構造を採用していて、ボディーは軟鉄鋳造、フェース素材には強度の高いクロモリ鍛造が使われています。フェース部はL型になっていて、テーラーメイド独自の編肉設計「ICT(インバーテッドコーンテクノロジー)を採用するなど、ヘッド素材や内部構造、使われているテクノロジーはほぼ同じものになっています。

左が「P770」、右が「P790」。バックフェースのデザインはよく似ている
左が「P770」、右が「P790」。バックフェースのデザインはよく似ている

 何が大きく異なるのかというと、ヘッドサイズとロフト設定です。モデル名にある3桁の数字はヘッドサイズ(ブレード長)を表していて、「P790」は79mm、「P770」は77mmとなっています。要するに「P770」のほうが2mm小ぶり。そして7番アイアンのロフト角は、「P790」の30.5度に対して、「P770」は33度です。

 こういったスペックの違いからも分かるように、大きめのヘッドでやさしくて飛ばしやすいのは「P790」のほう。それよりも小ぶりのヘッドで、飛距離よりもコースでの扱いやすさを優先したアスリートユースを想定しているのが「P770」です。また、後発である「P770」だけの設計手法として、番手ごとに最適弾道になるようにタングステンウエートの配置を調整する「FLTD・CG・デザイン」が採用されています。

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 ちなみに、「P790」は発売開始からそろそろ2年がたとうとしています。ひょっとするとこの記事が掲載されている頃には、新モデルが発表されているかも知れません。

ヘッドサイズ2mmの差は想像するより大きい

構えた見た目は、右の「P790」のほうが少しグースネックになっている
構えた見た目は、右の「P790」のほうが少しグースネックになっている

■構えてみると:
 テーラーメイド P700番台のアイアンシリーズは、中上級者をメインターゲットにしています。「P790」は、その中にあってヘッドサイズはいちばん大きいですが、全体的なヘッドシェイプはスッキリとしています。クリーンで高級感のあるデザインも加味されて、誰が見ても「シュッとしてる!」と感じるようなモデルに仕上げられています。

 そんな「P790」よりも、もっと「シュッとしてる!」と感じられるのが「P770」です。ブレード長が「P790」よりも2mm短くなっているぶん、まさしくアスリートユースを思わせるコンパクトヘッド。トップブレードは「P790」より薄く、オフセットも少ない。構えてみると、「ちょっと難しそう……」と躊躇してしまう人が多くいそうです。

 見た目の違いでいうと、「P770」のほうはスコアライン部だけがマットグレーの仕上げになっています。これは、コースの太陽光下でも反射が気にならないように配慮したもの。こういった部分からも、「P770」がアスリートユースを想定して作られていることがよく分かります。

弾きがよくて爽快感のある「P790」、球持ちがよくてスピン量が多い「P770」

見た目も盛り込まれているテクノロジーもほぼ同じだが、打ってみると性格の違いがはっきりする
見た目も盛り込まれているテクノロジーもほぼ同じだが、打ってみると性格の違いがはっきりする

■「P790」試打クラブのスペック:7番(30.5度)、N.S.PRO MODUS3 TOUR 105(フレックスS)
■「P770」試打クラブのスペック:7番(33度)、Diamana Thump 95(フレックスS)

■2モデルを打ち比べてみると:
 どちらのモデルにも、ヘッド内部に打音や打感を向上するための軽量ウレタン素材「SpeedFoam AIR」が充填剤として使われています。とはいえ、打感は2モデルで少し異なります。

「P790」は、少しフェースの弾き感があり、どちらかというと爽快なフィーリング。それに比べると「P770」は弾き感がずいぶん抑えられていて、柔らかさがあり、球持ちのいい感触を味わえます。どちらも“いい打感”と言えるものですが、どちらを好むかはゴルファー次第となりそうです。

 飛距離に関しては、当然のことながらロフトが立っている「P790」のほうが飛びます。筆者の場合は、「P790」でキャリーが171ヤード、「P770」で163ヤード。同じ番手で打ってもキャリーで約7~8ヤードの差が出ました。

 2モデルでロフト設定の違いはあるものの、同じ番手として考えると「P770」のほうがスピン量が多く、球筋がめくれてからポトリと落下する“アイアンらしい弾道”を打ちやすい。

 操作性に関しては、どちらのモデルを使っても球筋を打ち分けることが可能です。強いていえば、小ぶりヘッドでインパクト時の球持ちがいい「P770」のほうが弾道を操作しやすく感じますが、「P790」でも十分に球を操る感覚を出しながら打つことができます。

 スイング中のヘッドのブレづらさで選ぶなら、「P790」に軍配が上がります。これは、ひとえにヘッドサイズの違いによるもの。小ぶりヘッドの「P770」は、おそらく誰もが期待しているほどやさしいモデルではありません。

「P770」の特筆すべき点として挙げられるのは、アスリート好みのスペックのカーボンシャフトが標準採用されているところ。カーボンにしては重めの90グラム台で、素直な挙動で誰にでも使いやすく、フレックスSだとしっかり感があります。これまでスチールシャフトを使っていた人でも、上からダウンブローに打ち込んでいけるうえに、軽量だからこそヘッドスピードを上げやすいメリットもあります。

少し背伸びしたい人のための「P790」、やさしさを求めるアスリートのための「P770」

 モデルの成り立ちを考えると、中空構造を採用した次世代アイアンとして先に発売されていたのが「P790」であり、後から発売された「P770」は、そんな「P790」をアスリートの要望にも応えられるように開発した派生モデルともいえます。実際に手にとって打ってみても、やはりその通りの性能でした。

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 あくまでも著者の考えですが、同じ中空構造のアイアンとはいえ、この2モデルは対象ゴルファーが大きく異なります。「P790」は、これまでラージヘッドのポケキャビを使っていて、もう少しスッキリしたアイアンに買い換えたいと考えている人向け。「P770」は、バリバリのアスリート向けアイアンを使っていた人が、もう少しの飛びと寛容性を求めて買い替えるようなモデルと言えるでしょう。

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試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :tsuruhara_hirotaka

【写真】「P770」と「P790」の飛距離等の比較データ、ヘッドサイズの違いをチェック
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