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「ヘッドが小さい=難しい」はもう古い!? 多くのアマチュアが誤解している“アイアン選び”をクラブ設計家が解説

2026.06.30 田辺直喜
アイアン アクシネットジャパン ゴルフギア タイトリスト ミズノ

人気のツアープロが使うクラブを見ると、「自分も使ってみたい」と考えるかもしれません。しかし、「プロが使う=難しいモデル」というイメージがあり、敬遠する人もいるでしょう。クラブメーカー「JUCIE(ジューシー)」を展開するクラブ設計家の松吉宗之氏は、現代のクラブにおいて「プロ向け・アマチュア向けといった垣根はなくなってきている」と話します。今回は、アマチュアが選ぶべき「良いアイアン」とは何か聞いてみました。

今も残る「プロ向け」「アマチュア向け」という考え方の原点

 市場にはさまざまなタイプのアイアンが用意され、ゴルファーはそれらを無意識のうちに「プロ向け」と「アマチュア向け」に区別しようとします。一般的にシャープで操作性の高いアイアンは「プロ向け」、大型ヘッドでミスに強いアイアンを「アマチュア向け」と呼ぶ節がありますが、これは本当に正しいのでしょうか。

 今回は、クラブメーカー「JUCIE(ジューシー)」を展開するクラブ設計家の松吉宗之氏を取材。国内におけるクラブ開発の歴史や最新モデルの傾向について話を聞きました。

「まだドライバーがパーシモン(柿の木)で作られ、ボールが糸巻きバラタの構造だった時代は、打ちこなすために技術が必要でした。プロが使うクラブをそのまま販売してもアマチュアには打てません。そのため、プロにはプロの、アマチュアにはアマチュアのクラブをそれぞれ開発する時代が長く続きました」

クラブ設計家の松吉宗之さん。「フォーティーン」で長年クラブ開発に携わり、多くの名器を世に送り出している
クラブ設計家の松吉宗之さん。「フォーティーン」で長年クラブ開発に携わり、多くの名器を世に送り出している

「しかし、クラブの素材や構造が進化するにつれて、プロとアマチュアの使うクラブの差はどんどん小さくなりました。アイアンでも、タイトリストを筆頭にシャープな見た目でフィーリングの良さがありつつ、内部構造でミスヒットに対する寛容性を向上させたモデルが増えています。アマチュアでもやさしく打ちこなせて、結果も出るクラブが市場には数多く存在するのに、受け取る側がまだそれに気付けていないのが現状です」(松吉氏)

 多くのゴルファーが考える「プロ向け」、「アマチュア向け」というカテゴリー分けは、今ほどテクノロジーが進歩していなかった過去の話です。アイアンの場合、ヘッドサイズを小さくキープしたまま、異素材を複合することで性能を高めることが可能になっています。

 例を挙げれば、タイトリストの「T250」や「T350」、ミズノの「Mizuno Pro M-13」や「Mizuno Pro M-15」がそれに当たります。上級者の好むシャープな見た目を持ちながら、アマチュアでもやさしく打ちこなせる性能を持っています。

30度以下のアイアンはアマチュアでも普通に打てる

 松吉氏は、プロとアマチュアの違いは、「ヘッドスピード」と「打点」にあると話します。

「アマチュアはプロに比べてヘッドスピードが遅く、インパクト時の打点のばらつきも多くなります。そのため、過去の『アマチュア向け』と呼ばれたアイアンは、大型化して慣性モーメントを高めることで打点ブレに対応。さらに低・深重心化し、シャフトのしなり戻りを大きくすることで遅いヘッドスピードでもボールの高さが出るように工夫していました」

「ですがこういった構造が必要になるのは、ロフト角が30度以下の番手です。過去のモデルであれば5番や6番、現在の飛び系モデルであれば7番以上の番手がそれに当たります。かつては5番からアイアンがセット販売されるのが普通で、モデルによっては3番から組み込まれているケースもありました」

「そのため、メーカーとしてはロフト角が少なくても打てるように設計する必要が出てきます。これがいわゆる『アマチュア向け』のボテッとした大型ヘッドが生まれた理由です」

番手別設計を採用している「Mizuno Pro M-13」と「Mizuno Pro M-15」
番手別設計を採用している「Mizuno Pro M-13」と「Mizuno Pro M-15」

「しかし、一般男性の平均ヘッドスピードであれば、ロフト角30度くらいまでは普通に打てます。おそらく7番や8番が打てないと諦めた経験のあるゴルファーは少ないはずです。実際、最新モデルの中には『番手別設計』を採用したものが増えていますが、7番以下の番手はシンプルな構造のものがほとんどです」

「現在はロフトの寝たユーティリティーやフェアウェイウッドも増えていますので、無理にアイアンを入れる必要はありませんし、7番以下であればアマチュアゴルファーでも十分にシャープなモデルが使えます。大型ヘッドのアイアンを『アマチュア向け』と決めつけて、シャープなモデルを敬遠する必要は全くないのです」(松吉氏)

番手ごとのロフト角が多めのアイアンを試してみよう

 近年リリースされるアイアンの多くは、同じ番手でもロフト角の小さい「ストロングロフト」を採用しています。しかし、松吉氏はあえてロフト角が寝た設計のモデルを試してほしいと話します。

「アイアンでも飛びを重視してロフト角が立っている方が良いと考えがちですが、そういったモデルはどうしてもボールの上がりにくさがあります。アイアンは狙い通りの距離を飛ばすためのクラブです。ただ飛ぶだけではなく、球の上がりやすさも考える必要があります。特にヘッドスピードが遅い人はロフトの寝たものを使わないと適正な高さが出てくれません」(松吉氏)

 最近ではタイトリスト「T250」のヘッド構造でロフトを多めに設計した「ロンチスペック」もリリースされています。7番アイアンのロフト角が30度前後になるモデルが一般的となる中、「ロンチスペック」は7番が35度、6番でも31度となっています。

タイトリスト「T250」は「ロンチスペック」もリリースしている
タイトリスト「T250」は「ロンチスペック」もリリースしている

「ドライバーも9度や10.5度が当たり前と考えがちですが、実はアマチュアの場合、11度や12度を使った方が飛ぶケースが少なくありません。アイアンもやみくもにストロングロフトにするよりも、自分のパワーに合った適正な設計のものを選ぶことが大切です。日本人のゴルファーは打感やヘッド形状にこだわる人が多いので、タイトリストやミズノのシャープでやさしく作られたアイアンは、すごくマッチするはずです」(松吉氏)

 クラブは日々進化しています。その中から本当に自分に合った最適なモデルを選ぶには、先入観にとらわれず、自分に合ったモデルを選ぶことが大切になりそうです。

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