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本当に打感は最高なのか? 意外と飛距離に差がある!? 軟鉄「S15C」採用のフォージドアイアン5モデル打ち比べ
軟鉄鍛造アイアンの魅力は、なんといっても心地よい打球感にあります。より良い打感を求めるために、近年ではS15Cという従来よりもさらにやわらかい軟鉄素材を使うのがトレンドにもなっています。そこで今回は代表的なS15Cの最新アイアン5モデルをピックアップし、ゴルフライターの鶴原弘高が打ち比べました。同じ素材のフォージドアイアンに、どんな違いがあるのでしょうか。
どうしてS15Cの軟鉄鍛造アイアンが増えている?
軟鉄鍛造アイアンとはその名のとおり、軟鉄を鍛造してつくられているアイアンです。この軟鉄にはS25CやS20Cなどの種類があり、この数値は炭素の含有量を意味しています。S25は炭素の含有量が0.25パーセント、S20は0.2パーセント、S15は0.15パーセントです。炭素が少ないほど鉄が軟らかく、打感もやわらかく感じられます。
昔からアイアンやウェッジで一般的によく使われている軟鉄素材のはS25Cです。また、打感をより柔らかくしたい一部のモデルではS20Cが使われていることもありました。ですが、2024年に発売されたスリクソンの「ZXi」シリーズのアイアンは、より軟らかいS15Cが採用されたことが話題をさらいました。

本来、S15Cはゴルフクラブには向かない素材です。なぜなら素材自体がやわらかすぎて、インパクトの強い衝撃を何度も加えると曲がりやすく、当たり傷が付きやすいというデメリットもあります。なので、ゴルフの長い歴史のなかでは、打感のやわらかさと堅牢性のバランスが取れたS25Cが最適解だとされてきたのです。
では、なぜ近年になってS15Cを使うようになったのか。
それはひとえに製造技術が進化したからです。具体的には熱処理などを行うことで、S15C自体の軟らかさを維持しながら、曲がってしまいやすい部分だけを固くすることができるようになりました。複数のメーカーがS15Cの軟鉄鍛造アイアンを次々とリリースしているのには、このような理由があります。
フルボディの軟鉄鍛造とそうじゃないモデルがある
今回試打したS15Cの軟鉄鍛造アイアン5モデルは次のとおり。
・スリクソン ZXi7(7番のロフト角32度)
・キャロウェイ Xフォージド 2026(7番のロフト角33度)
・キャロウェイ Xフォージド スター 2026(7番のロフト角29度)
・本間ゴルフ ツアーワールド ツアー V 26(7番のロフト角32度)
・本間ゴルフ ツアーワールド ツアー Vx 26(7番のロフト角30度)

ご覧のとおり、ロフト設定はバラエティーに富んでいます。付け加えると、スリクソン「ZXi7」の3~7番、本間ゴルフ「ツアー Vx」の4~8番には、ヘッドのトゥ側にタングステンが搭載されていて、厳密にいうとこれらは複合素材のフォージドアイアン(悪い意味で言っているのではありません)。その他のモデルがフルボディーの軟鉄鍛造アイアンとなっています。では、実際に打っていきましょう!
ZXi7:トップブレードが厚めで難しすぎない
兄弟モデル「ZXi5」が大人気モデルとなっていますが、こちらの「ZXi7」もよく売れているフォージドアイアンです。筆者は久しぶりに構えてみましたが、意外とトップブレードが厚めなところに目がいきました。当たり負けしなさそうな雰囲気があって、これによって上下方向の慣性モーメントも高められていると思います。

打ってみると、文句なしに心地よい打感です。ボールの芯までをフェース面で押し込んでいるような感覚が伝わってきます。前作の「ZX7」も良い打感でしたが、S15Cを採用した今作は間違いなくそれ以上にやわらかいです。
アスリートモデルらしく、構えたときにブレードが短く見えますが、実際に打ってみるとトゥ側に内蔵されているタングステンの効果によって、機敏にヘッドが動きすぎない感覚が得られます。操作性を重視しながら、安定感をプラスしてあるのが「ZXi7」のいちばんの特徴です。筆者のキャリー飛距離は160.1ヤードでした。
Xフォージド:抜群の操作性と軽めの振り感と打球感
ヘッドの大きさは、アスリート向けアイアンの王道サイズ。スリクソン「ZXi7」と同等ですが、トップブレードは「Xフォージド」のほうが薄めでシャープ感があります。

打ってみると、クラブ自体の振り感が軽く、そのせいか打球感も少し軽めに感じました。けれど、打感自体はとってもやわらかいです。
ヘッドの見た目どおりの性能というべきか、かなりヘッドの操作性が良くて、完全にアスリート向けのフォージドアイアンです。今作から採用されているソール形状「トライレベルソール」の抜け感が独特で、とくにヘッドの入射角が強いゴルファーのなかにはこのソールがハマる人もいると思います。筆者のキャリー飛距離は160.4ヤードでした。
Xフォージド スター:左右の曲がりを抑えながら飛ばせる
兄弟モデル「Xフォージド」よりも大きいミッドサイズのヘッドになっていて、トゥ側にボリューム感があるのが特徴です。オフセットは少なく、ヘッドの大きさに対してはシャープ感も演出されています。

打感に関しては、「Xフォージド」と同等です。こちらのモデルでもS15Cらしいやわらかい打球感が味わえます。
いちばんの特徴は、7番で29度という立ち気味のロフトによって、打感を楽しみながらも飛ばしやすいところです。さらにヘッドが少し大きいだけあって、「Xフォージド」と比べると左右の曲がりも抑えられます。一般的なアマチュアにはこちらをオススメしたくなりますが、単一素材の軟鉄鍛造なので、弾道が高くなるような要素がヘッドに搭載されていません。そのため強めの弾道になりやすいです。筆者のキャリー飛距離は173ヤードでした。
ツアー V:フェース面に吸い付く打感の美顔アイアン
球をつかまえやすそうな“フトコロ感”がありながら、トゥ側が逃げていて引っ掛かりそうにも見えません。絶妙なヘッド形状のバランスの良さが、本間ゴルフのアイアンには感じられます。個人的な好みもありますが、とても構えやすいヘッド形状です。

打感はかなりソフトで吸い付き感があり、それでいてボールの芯を感じられる打ち応えもあります。ソールが地面に当たる感触や抜け感がちょうど良く、それも心地よいインパクト感を与えてくれる要因になっているようです。操作性がとてもいいので、アスリートゴルファーには本当にオススメできます。
ただひとつ気になったのは、ヘッドが少し遅れて球をつかまえづらかったこと。これは試打クラブに装着されていたオリジナルシャフト「N.S.PRO MODUS3 for T//WORLD BLACK」が筆者に合わなかったせいだと思います。筆者のキャリー飛距離は158.3ヤードでした。
ツアー Vx:操作性と安定性が高バランス
兄弟モデル「ツアー V」とヘッドシェイプはほとんど同じ。2つのモデルをコンボセットにしても、まったく違和感がないぐらいにヘッドの雰囲気がよく似ています。ほんの少しだけ「ツアー Vx」のほうがヘッドサイズ大きく、ほんの少しだけオフセットも大きめです。

「ツアー Vx」のトゥ側にはタングステンが内蔵されているため、打っていてヘッド挙動の安定性の高さを感じました。今回試打したモデルのなかでは、「ZXi7」と同等か、それ以上の弾道安定性があります。「ツアー V」ほどの操作性はないですが、ドローやフェードもきっちりと打ち分けできます。筆者にとっては、操作性と寛容性のバランスがちょうどいいように感じられました。
ロフト角は7番30度と立ち気味なので、打感を楽しみながら飛ばしたい人にもオススメできます。試打クラブに装着されていたオリジナルシャフト「N.S.PRO MODUS3 for T//WORLD RED」は、打ち出し角を上げてくれるうえに安定性もあって好印象。筆者のキャリー飛距離は171ヤードでした。
心地よさを求めるならS15Cに買い替えてもいい!
5モデルを打ち比べましたが、どのモデルも打感がやわらかくて心地よかったです。たとえヘッド内部にタングステンが内蔵されている複合ヘッドでも、ちゃんとS15Cの打感の良さが感じられます。従来モデルのS25CやS20Cと比べると、おそらく誰が打っても違いが分かるぐらいにS15Cの打感はやわらかいです。そこを追い求めるなら、買い替えの価値は大いにあります。
同じ素材を使っていて、なおかつヘッドサイズも大きくは変わらない5モデルですから、打ち出し角、スピン量、ボール初速、飛距離性能は、ロフト差によるところが大きいです。なので、モデルの選び方としては、まずは自分がアイアンでどれくらい飛ばしたいかを決めるべきです。
できるだけ飛ばしたいなら、ロフトが立ち気味の「Xフォージド スター」や「ツアー Vx」が候補になります。飛距離よりも操作性を重視するなら、「Xフォージド」か「ツアー V」。操作性と安定性のバランス重視なら「ツアー Vx」や「ZXi7」がいいと思います。(試打・文/鶴原弘高)
【取材協力】フライトスコープジャパン

今回の取材はフライトスコープジャパン本社内のパフォーマンススタジオをお借りし、「FlightScope Range Gen2」と「Pro V1 RCT」ボールを用いて計測を行いました。
公式サイトhttps://flightscope.co.jp/
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフギア関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。YouTubeチャンネル:『A1 GOLF CLUB』(https://www.youtube.com/@A1_GC) Instagram:@tsuruhara_hirotaka
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