日本人に近い体格で全英オープンを圧勝したハーマン選手
全英オープンを制したブライアン・ハーマン選手は、特にマッチョに見えるわけでもなく日本人の平均身長に近い体格の36歳。しかし、2位に6打の大差をつけ、圧勝といえる内容でメジャーに勝ちました。
彼のように「プロの中では小兵」タイプの選手が優勝するたびに話題になるのが、「スコアに飛距離は必要ない」、「ゴルフはドライバーじゃない」といったテーマの議論。
確かにハーマン選手のドライバー平均飛距離はPGAツアーの中では飛ばない部類(300ヤードに弱)に入ります。しかし全英オープン優勝時のティーショットは、悪天候の中で常時「約74メートル/秒のボールスピード」で狭いフェアウェイを捉え続けていました。

身長170センチほどの36歳のゴルファーとしては、ボールスピードが74メートル/秒を超えるのは、「ものすごい飛ばし屋」だと思いませんか? そのうえ、3メートル以内のパット成功率は脅威の数字でした。
ショットも曲がらずパターも入った結果なら、「飛ばなくても勝てる……」という議論はナンセンスな気がします。
それよりも「体格の割に飛ばす」や「中年だってうまくなれる」などのテーマの方が、アマチュアにとって価値のある話だと思いました。
「やっぱり飛ばしは重要」と分かるハンデと飛距離の相関関係
アメリカのアマチュア統計データでは、ハンデ20を超える人とシングルさんのドライバー飛距離の「差」が約25ヤードだというデータが公開されています。これはR&AやUSGAが推奨するティーイングエリアの選び方の目安とも連動したデータといえます。
飛距離が出るゴルファーほど後方のティーでゲームを楽しめるということは、「バックティーはうまくなってから」と近い意味になっています。

結局、「飛ぶ人はうまい人」というデータが出ているのに、「飛ばなくてもスコアが出せる」のは、「※コースを攻められる飛距離を満たしているなら」という注釈があっての話ではないでしょうか。
つまり多くのアマチュアにとって「飛ばす努力は正しい」と考えた方が現実的です。ただし、飛ばすことを「とにかく力一杯打つ」や「曲がってもいいから」と勘違いしているのであれば、「飛ばしはスコアメイクに必要ない」といった注意喚起は理解できます。