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- 「ゴルフのルールって難しすぎない?」 プロでも間違える難解な規則はどこまで覚えるべき?
「競技に出るならルールブックぐらい読め」などといわれますが、実際にルールブックを読むと難解で頭に入ってきません。そもそも、ゴルフのルールはどうしてここまで難解なのでしょうか。
馬場咲希選手が誤所からのプレーが発覚して4罰打
女子プロゴルフトーナメントの「住友生命レディス東海クラシック」に出場したアマチュアの馬場咲希選手が大会2日目、14番パー4と15番パー5でカート道路からの救済処置を間違え、誤所からのプレーで2罰打ずつ合計4罰打のペナルティーを受けました。
馬場選手は14番パー4のティーショットと15番パー5のセカンドショットがカート道路によって通常のアドレスが取れない場所に止まりました。このような場合、規則16の異常なコース状態(動かせない障害物を含む)によって罰なしで救済を受けることができます。
しかしながら救済のニヤレストポイントを決める際は “その障害物がなければ使っていたであろうクラブ”を基準に決めなければなりません。馬場選手はいずれもドライバーを基準にニヤレストポイントを決めたことで、本来とは異なる救済エリアにボールをドロップしてプレーしたと判定されました。
彼女はまだアマチュア選手なので、ルールの勘違いをプロ入り前に修正できてよかったと思います。これがプロテスト受験中の出来事だったとしたら大変なことになっていたかもしれません。
一方で、プロテストに合格したプロゴルファーであっても、選手たちがゴルフ規則を熟知しているわけではありません。
ゴルフ専門チャンネル「ゴルフネットワーク」の人気番組「ひとりゴルフ」にプロゴルファーの矢野東選手が出演した回を視聴していたところ、矢野選手のアプローチショットが傾斜から転がり落ち、グリーン脇に置いておいた自分のパターに当たって止まるシーンがありました。
そのシーンに遭遇した矢野選手は番組スタッフに向かって「これって何ペナになるんでしたっけ? プロゴルファーって意外とルールを知らないんですよ。競技委員にすぐ聞いちゃうから」とコメントしていました。
自分の携帯品に自分の打ったボールが当たった場合、旧ゴルフ規則では1罰打が課されていました。しかし2019年のルール改正で動いているボールが偶然に人や外的影響に当たっても罰なしになりました。ですからこのケースも無罰です。番組内では矢野選手の発言を修正するような形でテロップを挿入し、無罰であることを視聴者に伝えていました。
矢野選手に限らず、プロゴルファーはルールを完全に把握しているわけではありません。ゴルフは審判のいないスポーツとよくいわれますが、実際のプロゴルフトーナメントは試合会場のあちこちに競技委員が待機しており、ルールに関する疑問が生じたときは選手たちがすぐに競技委員を呼べる仕組みになっています。
競技委員もプロゴルファーです。かつてはトーナメントに出場していたプロゴルファーが大会運営をサポートするためにルールを細かく勉強し、競技委員という専門職に従事しています。
すべてのゴルファーがルールを把握するのは不可能
ゴルフ雑誌の編集部に在籍していた当時、ルールの連載を担当していたことがありますが、ゴルフのルールは他のスポーツと比べて格段に難しいと感じました。
野球やサッカーのようにキレイに整備されたグラウンド内でプレーするわけではなく “自然と戦うスポーツ”ですから、コース内にも自然に生息する草木が生い茂り、動物たちが暮らしています。そのようなフィールドで1打を争う競技を行なうわけですから、ルールも多岐にわたります。
そのためゴルフ規則とは別に裁定集(現在のオフィシャルガイド)という分厚い書物があり、こんなケースでこんな裁定を下したという裁判の判例集のような物まで用意されているのです。
そもそもゴルフ規則自体がかなり分厚い書物です。筆者は2023年に入ってから最新のゴルフ規則の書籍版を購入しましたが、サイズが以前の2倍くらいの大きさになっていて驚きました。ページ数も282ページあり、細かい文字がビッシリ並んでいるので、ひととおり目をとおすだけで何日もかかります。
しかも英語で記されたRules of Golf(ゴルフルール)を翻訳してゴルフ規則を発行していますから、使われている用語も難解です。中学生や高校生がスラスラ読める書物ではありません。
ですから「競技ゴルフに出るならルールブックぐらい読め」という人がいますが、それは現実的には不可能です。ルールブックを読める大人たちがジュニアゴルファーに正しいルールを教えてあげるのがゴルフの普及に欠かせない取り組みになります。
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