「前組がグリーンを出たらショットを打つ」は間違い!? ベテランほど知らない最新ゴルフマナーとは?

キャディープレーが中心だった時代には通用したマナーの中には、乗用カートのセルフプレー中心となった現代では通用しないものもあります。

「前の組がグリーンを出たらショットを打つ」は危険

 運転免許証の更新の時期になったので、5年ぶりに運転免許試験場へ行き、免許を更新してきました。約20分のビデオ講習の中に「ハイビームの積極的な活用を」という項目がありました。

 自動車のヘッドライトにはハイビームとロービームがありますが、「普段はロービームで走行し、前が見えづらいときはハイビームを使用する」のが正しいと思っている人がけっこういます。昔は自動車教習所でもそのように教えていました。でも、これは間違いです。

 現在の道路交通法では「夜間を走行する際、対向車や先行車がいるとき以外はハイビームを使用しなければならない」という決まりになっています。そのことがあまり知られていないため、ビデオ講習で「ハイビームの積極的な活用を」と周知徹底しているのです。

様々な場所が乗用カートの停止位置になるので、プレーヤーがグリーンを出てもすぐに打つのは危険 写真:AC
様々な場所が乗用カートの停止位置になるので、プレーヤーがグリーンを出てもすぐに打つのは危険 写真:AC

 このビデオを見たとき、「ゴルフ場のマナーも昔と今で常識が変わっていることがあるんだよな」と感じました。典型的なのが「前の組がグリーンを終えたらショットを打つ」です。

 かつてキャディーつきプレーが主流だった時代は、前の組のグリーン上のプレーが終わり、全員がグリーンを出て次のホールに向かうタイミングで、その組のキャディーさんが後ろの組のキャディーさんに向かって「どうぞ!」と手を上げて合図していました。その合図を受けて後ろの組がショットを打ち始めました。

 ですからベテランゴルファーの中には「前の組がグリーンを出たらショットを打つ」が正しいと思っている人がいます。でも、これは間違いです。

 乗用カートを利用したセルフプレーが主流になった今は、「前の組がグリーンを出て乗用カートに乗り込み、カートを発進させてからショットを打つ」が正しいマナーです。

乗用カートの停止位置は安全が保証されている場所ではない

 なぜ昔と今でマナーが変わったかというと、歩きプレーの時代と乗用カートプレーの時代でゴルファーの動線が変わったからです。

 歩きプレーの時代は基本的にどのホールもグリーンの奥に次のホールに向かう動線がありました。そこに昇降用のベルトコンベアなどが設置されていました。

 でも今は、乗用カートの安全な走行を優先してカート道路を整備しているため、乗用カートの停止位置がグリーンの真横だったり、グリーンの斜め前だったりすることもあります。

 グリーンを出てから真横に移動したり、斜め前に戻ってきたりしているときに、後ろの組がショットを打ち始めたら大変危険です。左に引っかけたり、右にプッシュアウトしたりしたら、打球事故が発生する可能性があります。

 実際に、前の組がカートに乗り込んでいないのに後ろの組がティーショットを打ち始め、それが原因で言い争いになるケースがあるという話をゴルフ場関係者からよく聞きます。

 それにもかかわらず「ショットを打つのは前の組がグリーンを出て乗用カートに乗り込み、カートを発進させてからにしてください」というメッセージをゴルフ場が発信しているかというと、周知徹底できていないのではないでしょうか。だからベテランゴルファーの勘違いがいつまでもアップデートされないのです。

 ゴルフ場でのプレーは車の運転ほどではありませんが危険がともないます。それならばゴルフ場は安全にプレーするためにはどのように振る舞うべきなのかをゴルファーに伝える義務があるような気がします。

【図解】タクシーとは違います! ゴルフカートの「上座・下座」って分かる?

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キャディー付きの場合は助手席が一番上座で後席真ん中が末席、セルフプレーの場合は運転席が末席で後席が上座
プレーの技量が影響しないスタートホールまでやインターバルの移動は一番若い方が運転すると良いでしょう
様々な場所が乗用カートの停止位置になるので、プレーヤーがグリーンを出てもすぐに打つのは危険 写真:AC

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