普通は絵とか展示する場所じゃないの!? なぜゴルフでは観客のことを「ギャラリー」と呼ぶのか マスターズだけ違う理由は?

野球は「ファン」サッカーは「サポーター」のように、各スポーツで独特の観客の呼び方がありますが、なぜゴルフの場合は「ギャラリー」と呼ばれているのでしょうか。

「ギャラリー」はもともと劇場の座席を表す言葉だった

 世界では数多くのプロスポーツが展開されており、スポーツ観戦を趣味としている人も世界中にいます。

「ギャラリー」といえば画廊を連想するが… 写真:PIXTA
「ギャラリー」といえば画廊を連想するが… 写真:PIXTA

 各スポーツには観客を独自の名称で呼ぶ慣習があり、野球では「ファン」、サッカーでは「サポーター」、日本のバスケットボールでは「ブースター」と呼ばれています。

 そして、ゴルフの場合は「ギャラリー」という言葉が使われています。日常的には美術品や写真を展示する空間で耳にすることが多い言葉ですが、なぜゴルフの観客は「ギャラリー」なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

「もともとギャラリーは、『天井桟敷(てんじょうさじき)』という意味の言葉として使われていました。天井桟敷はオペラやバレエ、コンサートなどを開催する劇場の観客席の中でも2階席の1番奥の部分を指し、本来は客席として来場者に提供する構造にはなっていませんでした」

「それが次第に、より多くの人を収容できるよう階段状の簡素な作りの座席を設けたり立見席を作ることで、最も料金が安く、誰でも気軽に買える席として開放するようになったのです」

「舞台から最も遠い場所に位置していることもあり、肉眼では非常に見えにくく、オペラグラスなどを通して観賞するのが一般的なスタイルだったといわれています」

「ゴルフのトーナメント会場も階段状で、簡易的な作りをした仮設の観客席からプレーヤーの邪魔にならないよう離れて観戦しなければならなかったため、多くの観客は双眼鏡を使っていました」

「つまり、ゴルフの試合会場の観客席や見物人の姿が、劇場の天井桟敷で観劇をしている人たちによく似ていたため『ギャラリー』と呼ばれるようになったとされています」

マスターズの観客はなぜ「パトロン」と呼ばれる?

 ゴルフを「観戦するもの」にしたパイオニア的存在であり、なおかつ現在でも「夢の舞台」として多くのゴルファーにとって憧れの的となっているマスターズでは、観客のことをギャラリーではなく「パトロン」と呼んでいます。

 なぜマスターズだけは観客の呼び名が異なるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「パトロンは『支援者』や『後援者』、さらには『常連客』や『ひいき客』と訳されますが、マスターズはかつて会場となっているオーガスタナショナルGCの会員の資金援助で運営されていた過去があります」

「マスターズでは優勝賞金額は明確には決められておらず、一部はチケットや関連グッズの売上げによってまかなわれています。そのため『マスターズが開催できるのは、お金を払って見に来てくれたあなたのおかげですよ』という意味を込めてこのように呼ばれているのです」

 ちなみに、通常のトーナメントの場合はチケットを購入すれば簡単に見に行くことが可能ですが、マスターズの場合は「観客も運営者として携わる」という考え方であるため、そう簡単に生で見ることはできません。

 チケットの購入方法は主に3つあり、1つは現在パトロンとして観戦する権利を持っている人と貸借契約を結び、パトロンの証とされる「バッジ」を手に入れる方法です。なお、バッジはあくまでも借り物にすぎないので、観戦が終わったら契約を結んだ人に返却しなければなりません。

 2つ目は、大会の公式サイトからわずかに販売される一般向けチケットで、練習日や本戦の1日限りのものは2万円前後とあまり高額ではないものの、応募倍率は非常に高く「200倍」といわれることもあります。

 そして3つ目は、会場から少し離れたところでテントを並べているチケットの再販業者から買う方法ですが、超高額で取引されることもあり、練習日でも1枚30万円以上する場合も決して珍しくないようです。

 さすがにマスターズはハードルが高いですが、日本のトーナメントであればウェブ経由で気軽にチケットを購入できます。たまにはプロのショットやラウンド時の振る舞いを眺めて、自身のゴルフに生かしてはいかがでしょうか。

【写真】バレたら“永久追放”!? これがマスターズで“持ち込み厳禁”の品目です

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スマホ完全禁止のマスターズでは、外部と連絡をとる手段は公衆電話のみ
「禁止されている品目」として、大きく注意喚起されている
電子機器(携帯電話、ノートパソコン、タブレット、ポケットベル等)、ラジオ、テレビや音楽再生機器、旗、横断幕等、カメラ(静止画を個人的に使用するだけなら練習日は撮影可能)、足先の尖ったイス、折り畳みのひじ掛けイス、折り畳みでないイス、ベビーカー
飲食物、メタルスパイクシューズ、はしご、潜望鏡、セルフィー・スティック、約25センチ×25センチ×30センチ以上のリュックやバッグ
「ギャラリー」といえば画廊を連想するが… 写真:PIXTA

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