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予約を断られることも!? ひと昔前のゴルフ場では1組の合計ハンデが100までと決められていたって本当?

2024.07.13 ピーコックブルー
ゴルフ場

今ではビギナーも気軽にこられるゴルフ場ですが、以前は「1組の合計ハンデは100まで」と決められていたそうです。では、なぜそのような決め事があったのでしょうか。

昔のゴルフ場は今よりもゴルファーに厳しかった

 今でこそ、女性や若い世代でもゴルフを始める人が増え、ビギナーがゴルフ場に訪れることも多くなりましたが、一昔前まではゴルフ場は「紳士・淑女が楽しむ社交の場」という認識が強く、新参者が気軽に行けるような雰囲気ではありませんでした。

 さらに、かつてのゴルフ場では「1組当たりの合計ハンデは100まで」と来場者に制限をかけていたこともあったそうですが、一体なぜなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

日本ではあまり馴染みのないハンディキャップ 写真:AC
日本ではあまり馴染みのないハンディキャップ 写真:AC

「4人1組あたりの合計ハンデが100までと決められていたのは、スロープレーを防止するためです。昔は、今と比較してゴルフ場のゴルファーに対する態度はかなりシビアで、4人で合計が100を超えるようであれば予約を断ることもしばしばありました」

「ゴルフはペースが重要になってくるスポーツなので『ゴルフ場でプレーするには、それなりのスキルを身につけてから来てください』という暗黙の了解が存在していたと言われています」

「そのため、特にメンバーシップ制が強いところではビジターを入れた場合、たとえメンバーの同伴があったとしても『何であいつは部外者を連れて来ているんだ』と言わんばかりの視線が浴びせられていたことでしょう。さらに、周りのメンバーがビジターを招待した人を注意したり、ゴルフ場に告発されてスタッフから怒られたりすることもあったと思います」

「単純計算で、1人につき25までのハンディキャップが許されていましたが、だいたい30以下であればまともなペースでラウンドできるので、自分よりさらにハンデが少ない人と組み合わせるなどして合計が100を超えないように調整していました」

「しかし、現在は従来通りの運営スタイルでは存続が難しくなっているゴルフ場も多くなり、インターネットで余った予約枠を公開するなどしてビジターやハンデを取得していない人でも来場しやすい環境となりました。ですので、今のビギナーは安心してゴルフ場に行くことができます」

ハンディキャップはスキルの差を埋めて同じステージで楽しめるようにするもの

 日本のゴルフは長い間、伝統や秩序、メンバー意識を非常に重んじる風潮が続いていましたが、次第に新規ゴルファーの獲得に向けて門戸が開かれていった経緯があります。そのため、合計ハンデ数による来場者の制限はもはや撤廃された状態に近づいているといえます。

 ところが、海外ではアメリカやスコットランドを中心に「ハンディキャップ証明書」を提出しないとエントリーの許可が下りないところも、未だに多く残っているそうです。

 また、飯島氏は日本のゴルフにおけるハンディキャップの捉え方は、世界的に見ても独特なものであると話します。

「日本は、どちらかというとハンディキャップ取得に向けた普及活動を積極的に行ってこなかったのではと思います。本来、ハンディキャップはスキルが高い人とそうでない人が同じステージでゴルフを楽しめるようにするためのものであり、海外ではハンデを取得することはごく一般的です」

「一方で、国内の場合はハンデを持っていなくても問題なくラウンドできますし、ゴルフ場側も特に取得を推進するような活動は行っていません。さらに、日本でハンディキャップを持っている人は競技志向だったり、海外でプレーするのが好きだったりというイメージを持たれがちです」

スコアカードの『HDCP』は難度を表す数字ではない

「また、スコアカードには『HDCP』と書かれた欄があり、そこに振られた番号の順番で難しいホールになっていると思い込んでいる人も多いですが、実際は『HDCP1番は4~6番ホールのうち、HDCP2番は13~15番ホールのうちバックティーからの距離が最も長いホールに振られる』といった感じで、ある程度規則性をもって決められています」

「もしも、ハンディキャップの比重がアウトコースに固まっていると、マッチプレーの際に弱い人が強い人に前半の段階で勝ってゲーム性が損なわれてしまいます。ですので『公平性を保つために、ハンディキャップの番号は全体的に万遍なく振られている』と言うことを理解したうえでコンペや勝敗決めを行うと、よりフェアになるのではと考えます」

 ちなみに、HDCP3番は1〜3番ホールのうち、HDCP4番は10〜12番もしくは16〜18番ホールのうち、バックティーからの距離が最も長いホールに原則として振られています。

 例えば、ハンデが4のAさんと、ハンデが10のBさんがマッチプレーを行う場合、2人のハンデ差は6となります。Bさんは18ホールのうちハンディキャップナンバーの1〜6が振られたホールで、1つずつハンデを貰うことができます。一方で、ハンデ差である6より大きいハンディキャップナンバーが振られているホール(7〜18)は、AさんとBさんはハンデなしで戦うことになります。

 日本では、ハンディキャップやマッチプレーは、あまり浸透していないこともあって、正確に説明できる人は少ないです。しかし、さまざまなスキルの人と平等にラウンドできるようになるなど、ゴルフの楽しみ方を一層広げてくれるものですので、覚えて損はないと思います。

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