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- 飛ばないのに黒(バック)ティーを使いたがる人は多い!? ゴルファーがこだわる“プライド“の正体
ティーイングエリアの選択肢は増えているのに、多くのゴルファーが白ティーを選ぶのはなぜなのか。飛距離や年齢に応じて自由に選べる時代になった一方で、そこにはプライドや固定観念といった意外な心理が影響しているという。
ゴルファーの約7割が白ティーを使用
ゴルフ場のティーイングエリアは、いまや複数用意されているのが当たり前になりました。かつてはレギュラーティー、バックティー、レディースティーの3種類が主流でしたが、近年はシニア向けなどが加わり、5~6種類あるところも増えています。
年齢や性別を固定化しないように、色で呼び分けるスタイルも定着しています。プレーヤーは自分の飛距離や体力に合わせて、適切な位置からプレーできるようになりました。一見すると、自由に選べる合理的な仕組みに見えます。
ただ、実際にラウンドしていると、「結局みんな同じ場所から打っているのではないか」と感じることがあります。ティーイングエリアの使用率はどのようになっているのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「うちのゴルフ場は青ティー、白ティー、赤ティーの3種類ですが、青ティーは使用申請が必要ですから、白ティーが圧倒的に多いですね」

「圧倒的といっても、青ティーが2割前後、赤ティーが1割前後いますから、白ティーは6割から7割といったところでしょうか」
「うちは女性の来場比率が17~18%ですが、そのうちの数%は白ティーで回っている印象があります。赤ティーの使用率は10%前後だと思います。ちなみに、男性で赤ティーを使う方はほとんどいないです」
「青ティーは申請が必要ですが、メンバーさんが青から回りたがるんですよ。うちのメンバーさんは年配の方が多いですから、『青で回ったらミドルで2オンしないでしょう』『それだと面白くないでしょう』と思うのですが、青にこだわるんですよね」
こうして見ると、ティーイングエリアは複数用意されているにもかかわらず、実際のプレーは白ティーに集中していることが分かります。選択肢は増えているものの、使い分けが進んでいるとは言い切れない状況です。
距離が短いティーに抵抗がある人は多い
では、なぜこうした偏りやミスマッチが起きるのでしょうか。一つは心理的な要因です。以前は白ティーのことをレギュラーティーと呼んでいました。「レギュラー」という言葉は「正規の」という意味合いがあります。年を取ってドライバーが飛ばなくなっても、フロントティーやシニアティーから回るのは、自分の衰えを自分で認めることになるので、プライドが許さないようです。
そして、白ティーはレギュラーティーというイメージがありますから、腕に自信のある上級者は「一般人と同じティーで打って、いいスコアで回っても自慢できない」という心理が働きます。「バックティーから70台で回るのが真の上級者」とばかりに、ミドルで2オンしなくても、寄せワンでパーを取りまくるラウンドを目指します。
ただ、こうした選択がプレー進行に影響を与えることがあります。飛距離に対して長すぎるティーを使えば、セカンドショット以降の距離が残りやすくなり、結果としてプレー時間が延びる要因になります。
しかしながら、ゴルフ場がプレーヤーの年齢や性別によって使用するティーを制限することはできません。あくまで「自分に合ったティーを選んでください」という案内にとどまります。そのため、最終的な判断はプレーヤーに委ねられています。
ティーイングエリアは自由に選べる仕組みですが、使用状況は決して均等ではありません。選択の背景には、プレーヤーの心理や認識のズレが重なっています。色で呼び分けたり、ドライバーの飛距離の目安を示すことも大事ですが、もっと違ったアプローチで自分に合ったティーを選んでもらう仕組みが作れないかと感じています。
たとえばシニアティーを「エイジシュートチャレンジティー」という呼称にすれば、年配者の使用が増えるかもしれません。エイジシュートとは、自分の年齢と同じか、それ以下のスコアでラウンドすることです。日本エイジシュートチャレンジ協会の認定基準によると、男性6100ヤード以上、女性5000ヤード以上が「プラチナ認定」、男性5400ヤード以上、女性4500ヤード以上が「ゴールド認定」だそうです。そういった基準を取り入れるのも選択肢の一つです。
近年はゴルフ場が女性にターゲットを絞った運営によって差別化を図る動きも見られます。各ゴルフ場が個性的な運営を行なうことで、結果的にあらゆるレベルのゴルファーが自分の力量に合ったコースとティーイングエリアを選べるようになればいいのにと思います。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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