- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフライフ
- 熊本復興もう一つの物語 日本が誇る名ホール“湯の谷コース馬の背”を奇跡の一本松が救った
2016年の熊本震災から6年。一昨年には熊本城の天守閣が復旧し、一般公開も始まった。実は熊本県内のゴルフ場にも“復興のシンボル”が存在する。それが熊本最古のゴルフコース「くまもと阿蘇CC湯の谷コース」だ。そこには“奇跡”と言うべき名ホール回復までのストーリーがあった。
完全に回復された“馬の背”が阿蘇山の稜線に溶け込む

私は、10月某日コースを訪問した。
復活した馬の背の丘の頂上に立つと、震災以前と変わらない阿蘇の雄大なパノラマが360度広がり、震災前からあった一本の松の木もそのままだった。バックティーから250ヤード地点にそびえるこの一本松は、70年前に保田が設計した原図にはない。コース関係者にその辺りの歴史を尋ねると、「おそらく井上が18ホールに改修した際に植えられたと思われる」ということだった。
結果的に井上の植えたこの一本松が、名ホール・馬の背の大規模な損壊を防ぎ、復活に大きな役割を果たしたのだった。
震災によって一本松の周囲の地割れは広範囲に広がったが、一本松の広く張り巡らされた根が土砂の崩壊を防ぎ、その位置が緯度・経度・座標値を示す三角点や標高を示す水準点の役割をした。震災やパー3化の工事によって失われた土砂や稜線の回復に大いに役立ったのだった。
プレーの前日の夕方、ドローンを持参して復活した馬の背の写真撮影に行った。回復されたティグラウンドからドローンを空に放った。完全に復元された馬の背は背景の阿蘇山の稜線に溶け込み、その雄大さと美しさに言葉を失った。
翌日のプレーでは、このホールが持つ素晴らしい戦略性に改めて感動した。丘の頂点に立つと、壮大なパノラマとたくましい一本松の姿があった。
一本松は、馬の背ホールとそこでプレーするゴルファーたちを見守り続けている精神的ベンチマークとして、たくましく、うれしそうに太陽に向かって枝を伸ばしていた。

文・写真/中村祐治
1960年生まれ、三重県出身。ゴルフトラベラーとして、最も権威あるゴルフ場ランキングである米ゴルフマガジン/ゴルフドットコムの「世界トップ100コース」のほとんどをプレー。国内のゴルフ場にも造詣が深く、ゴルフ場ランキングのパネリストを日本の名コースに案内する機会も多い。
最新の記事
pick up
ranking











