肥料、殺虫剤は2倍以上、食材費や光熱費も軒並み値上がり
関東甲信地方も梅雨入りしましたが、ゴルフ場は引き続き賑わっており、来場者も順調に伸びています。全国で150コース近くを運営するパシフィックゴルフマネージメント株式会社(PGM)の4月の月次報告によると、4月の来場者数は78万人で前年同月比1.8%伸びています。
一方、「この頃ゴルフ場に行くと、以前に比べて料金が少し高くなったように感じる」との声も聞こえてきます。
千葉県市原市のあるゴルフ場の支配人に聞いてみると、「コース管理の肥料や殺虫剤などが2倍以上、値上がっています。また、レストランでは、タマゴの高騰でもわかるように、食材、調味料、油、水道光熱費なども値上がって、プレー代、レストランのメニューなど価格を改定せざるを得ません」と、プレー費については平均で1500円程度の値上げをしているとのことです。
これは総務省統計局が発表した令和5年(2023年)4月の全国消費者物価指数にも表れています。4月は104.8ポイント(2020年基準)と前年同月比3.4%上がって20カ月連続の上昇。特にたまごが33.7%上がるなど食品価格が上がっています。その影響がゴルフ場にも出ていることは想像に難くありません。全国のゴルフプレー料金(会員制ゴルフ場の平日ビジター料金)の4月の全国指数は113.7ポイントで前年同月比2.4%上がり、13カ月連続の上昇となっています。
コロナ禍の影響で3密を避けるゴルフが若い世代を含めて支持を受けていますが、ゴルフ料金が高くなると、その若い世代がゴルフ離れを起こすのではないかと懸念されます。
若い世代の価値観に合うプレースタイルと料金の提供が急務
その点について、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事に考えを聞きました。
「ゴルフ場の値上げについては、今後のゴルフ対象人口減少、消費行動の多様化などに対応し、ゴルフ場継続のためにも、内部体力を含めて上げる必要が出てきているのではないかと考えています」
「ただ、若い世代にゴルフにとどまってもらうためにも、その世代の価値観に合う考え方、値段設定が必要と考えています。例えば、ゴルフプレーは時間がかかってしまうので、時間軸でいえば、9ホールプレー、3ホールプレー、2時間だけのプレーなどを提供し、時間短縮とその価値に見合う価格設定をしていくことが必要ではないかと考えます。ゴルフ界が新しいプレースタイルを提供すれば、若い世代のゴルフ離れを防ぐことになると考えています」
今までの18ホールプレーが原則といった考え方を、料金を含めて見直せば、ゴルフ場、プレーヤー双方にメリットがあるのではないでしょうか。
ゴルフ場としては、経営的には値上げをせざるを得ない状況ですが、若い世代のゴルフ離れを防ぐためにも、新たなプレースタイルを一刻も早く提供してくれることを期待したいと思います。