“球を打つ意思”を持ってクラブを前方に動かしたら1ストローク
「空振りには、ペナルティーがつくの?」「空振りと素振りは、どう違うの?」「空振りをしたとき『あっ!』と声を出したら1打になるって本当?」
SNS上でビギナーとみられる人からの空振りにまつわる疑問・質問を数多く目にします。ゴルフはやさしいゲームに見えますが、実際やってみるとうまく当たらず、止まっているボールを相手に空振りも多いですよね。

でも、そうした空振りへの疑問や対処のしかたは、ストロークの定義を知ればおおかた解決することができます。さっそく「2023年版ゴルフ規則」から定義を読んでみましょう。
249ページには「ストローク」の項目があり、〈(ストロークとは)球を打つために行われる前方への動き。〉とあります。言い換えると、「球を打つという意思」を持ってクラブを振る行為を指すのですね。
クラブヘッドが球に届く前にクラブヘッドを動かすのを止めたり、クラブヘッドを動かすのを止めようとしたけれども、そうすることができず意図的に空振りをすることによって球を打つことを避けた場合は、ストロークを行ったことにはなりません。また、練習スイング(素振り)を行っているときやストロークを行う準備をしている間に偶然球を打った場合も同様に、ストロークを行ったことにはなりません。
具体的にいうと、「クラブヘッドが球に届く前」とは、バックスイングやダウンスイングの最中など、テークバックからボールを打つまでの間のことです。「クラブヘッドを動かすのを止める」のは、単純にストロークを仕切り直したいときに行うことがあります。
ほかにも、例えばバックスイングを始めたと同時に近くで警報や大きな音が鳴ったり、視界に人が入ってボールをこのまま打った場合の危険を察知したりして、ストロークを緊急停止せざるを得ないこともあるでしょう。
要するに、「球を打つという意思」を持ってクラブを振ればストロークをしたとことになります。その結果、球が飛ぼうと飛ぶまいと、球にクラブが当たろうと当たるまいと、ストロークをしたとみなされ1打とカウントします。
つまり、空振りは純然たる「1打」なのです。これをしっかり覚えておけば、ツイッターで見かけたような悩みはなくなるでしょう。
冒頭に挙げたツイートの「空振りにペナルティーは?」という疑問に関していえば、「つきません」が答えになります。「球を打つという意思」を持ってクラブを振ったのですから、結果的に球が動かなくてもふつうの「1打」と同じです。その「1打」は、あくまでもストロークとして数えたものであって、ペナルティーではありません。
次に「空振りと素振りの違い」については、「球を打つという意思」を持ってクラブを振ったかどうかです。球を打つ意思を持ってクラブを振った結果、クラブがボールに届かなかった、触れなかった、当たらなかった場合は、「空振り」。一方、球を打つ意思がなくクラブを振った練習スイングは「素振り」です。
続いて「『あっ!』と声を出したら1打(空振り)になる?」という疑問。関係ありません。空振りをした瞬間に声を出す、出さないに関わらず、「球を打つという意思」をもってクラブを振ったのであれば、結果的にクラブが球に触れず、ボールが動かなくても空振りであり、1打とカウントします。