“6度目の正直”へあと1日
◆国内女子プロゴルフ<日本女子プロゴルフ協会最終プロテスト 10月31日~11月3日 JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県) 6419ヤード・パー72>
高木優奈が、6度目の挑戦で合格にあと一歩と迫った。
20位タイまでが合格ラインのJLPGA最終プロテスト3日目、清本美波が通算11アンダー単独首位に立ち、馬場咲希が1打差につけているが、高木はこれにおくれることわずかに1打。通算9アンダー3位タイと絶好の位置をキープしている。
経験が確実に高木を強くしていることが、言葉から、表情から伝わってくる。6バーディー、2ボギーだったこの日を振り返って笑う。
「ラッキーでしたね。14番では行っちゃいけないほうの右からのアプローチが強く入って『あっ!』と思ったらピンに当たって入って。16番もティーショットがすごいミスだったのでボギーでいいやと思ったら、右の手前バンカーからピンも見えないのにきれいに打って入ったらしくて」と、終盤に2バーディー。合格に大きく近づいた。
それでも、これまで5回悔しい思いをした経験が、不安を呼び覚ますことがないわけではない。2日目最終ホールのボギーに心が痛めつけられていた。
「そこまで耐えてきた1日を台無しにしてしまった。やる気と自信に満ちあふれていた初日。2日目はどこへ行ったんだ、というくらい『どうしよう、どうしよう』と思ってました。今までと同じモードに入っちゃうのかな、って。でも、やるしかない。逃げられない」と、気持ちをしっかり切り替えた。
これまでと大きく違うのは、人のことが気にならなくなったこと。
「あと1日あるから、いつ(今までのように)戻ってしまうか分からないし。でも、ホントに人のことが気にならなくなりました。スコアボードを見たいとも思わない。トータル12アンダーという自分の目標に向かったやるだけです」
これまでの自分を受け入れ、乗り越えようとする者だけが持つ強さが漂う。
JLPGAが広く門戸を開放し、プロテストに合格しなくてもQTが受けられた頃に単年登録でツアーでのプレーを経験している。だが、JLPGAの方針転換により、移行措置期間のツアーで優勝するか、プロテストに合格するしかないという道をたどることになった。
優勝争いもしたが、惜しくも届かず、テストもうまくいかずに今年が6度目。だが、25歳になった高木は経験を決して無駄にはしていない。最終日を前に「今は、少し楽しいかな」と、少しはにかむように笑う様子は、大切な時間を過ごしてきたことをにじませる。
あと1日。苦しくとも大きな経験を積んだ日々を自信に変えて、高木が最後の1日に挑む。