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- 今年の“女王最右翼”は岩井千怜!? 歴代女王の“初戴冠時”と共通する「飛躍的に向上したスタッツ」とは?
「RKB×三井松島レディス」で自身初の大会連覇を達成、メルセデス・ランキングも1位に躍り出た岩井千怜(いわい・ちさと)。今年のスタッツを調べていると、コレまでの歴代年間女王の初戴冠時と共通する成長曲線が見られた。
リカバリー率が飛躍的に向上した岩井千怜
女子ツアーの今季第11戦「RKB×三井松島レディス」で岩井千怜が大会連覇を達成。開幕戦に続く今季2勝目を挙げてメルセデス・ランキング1位に返り咲いた。
岩井千の今季データを分析すると、ある部門が昨季より大幅に順位を上げている。女王初戴冠には欠かせない部門で、年間女王獲得の可能性が膨らんできた。
姉の明愛とともに岩井姉妹の魅力であり強みでもあるのは攻撃力の高さだ。昨季の1ラウンドあたりの平均バーディー数は明愛が2位で千怜が3位。パー5の2打目にドライバーを握って積極的に攻める“直ドラ”が姉妹の代名詞にもなってきている。
一方で守備力は一流とはいえないところがあった。パーオンできなかったホールをパー以内で収めるリカバリー率の昨季順位は明愛が41位で千怜が33位。2年連続年間女王の山下美夢有の同部門順位がプロ入り後3シーズンで1位、5位、2位と常にトップクラスにいるのと比較すると、どうしても見劣りしていた。
ところが、千怜の今季のリカバリー率は4位に躍進している。パーセンテージで表すと昨季が63.7051%で今季が69.7802%。6ポイント以上も良化しているのだ。
リカバリー率が6ポイント違えばどのくらい影響があるかというと、ほかの部門が同じだと仮定して1試合で約1ストロークの差が出る。たった1ストロークと思うかもしれないが、プロにとっては大きな差。年間で考えれば30ストローク以上の差になってくるのだ。
「RKB×三井松島レディス」でも千怜のショートゲームが冴えた。パーオンしなかった15ホール中12ホールでリカバリーに成功。その率は実に80%にのぼった。
特に、雨で難易度が増した最終日は7ホールでグリーンを外しながら9番グリーン奥からのチップインバーディーを含め6ホールでリカバリー。ショートゲームが優勝に大きく貢献した。
3パットが目立つが年間女王に期待が膨らむ成長曲線
このリカバリー率の進化は歴代女王の初戴冠時と重なる。2000年以降、年間女王(2020-21シーズンまでは賞金女王)に輝いた日本人選手は不動裕理、大山志保、上田桃子、古閑美保、横峯さくら、森田理香子、鈴木愛、稲見萌寧、山下美夢有と9人いる。鈴木と山下は女王になる前からリカバリー率がトップクラスだったので除外するが、この2人以外は初戴冠前年のリカバリー率はトップ10にも入っていなかった。
それが、初戴冠シーズンには急上昇。不動は13位から1位、大山が25位から3位、上田が37位から2位、古閑が15位から5位、横峯が24位から1位、稲見が14位から2位といった具合である。唯一の例外が森田で22位から36位へと下がっている。
上記の7人は元々パーオン率やバーディーを奪う力はトップクラスだったという共通点もある。高い攻撃力は備えていたわけだ。
森田以外の6人は攻撃力の高さに守備力の急成長が加わって成績が高いレベルで安定。年間女王初戴冠を実現させたのだ。
千怜のリカバリー率以外の部門を見ると、パーオン率は昨季の15位から14位と横ばい。平均バーディー数は3位から1位に上がっているが、数字は4.0853から4.0290と逆に下がっている。それでいてメルセデス・ランキング1位に立ったというのは、やはり守備力の強化がモノをいっているからだ。
今季は11試合に出場して予選落ちはなく、最も順位が低かった試合でも29位タイである。メルセデス・ランキング20位以内の選手で出場全試合30位以内は千怜のほかは山下だけ。2年連続女王と同等の安定感を示している。
まだシーズンは3分の1も終わっていないが、多くの歴代女王と同じような成長曲線を描く千怜への期待は膨らんでくる。
ひとつ注文をつけるとすれば、今季は3パットが目立つということ。今季のボギー72個のうち約30%にあたる21個はパーオンしながら3パットしたもの。3パット率は昨季の19位から48位に下降している。余計な3パットを減らせば、さらに女王への可能性が高まるのではないだろうか。
岩井 千怜(いわい・ちさと)
2002年7月5日生まれ、埼玉県出身。双子の姉・明愛(あきえ)とともに、高校ゴルフの名門・埼玉栄高のダブルエースとして活躍。同校を8年ぶりの全国高等学校ゴルフ選手権・団体戦優勝に導くなどした。21年にプロテスト合格。22年は「NEC軽井沢72ゴルフ」で初優勝、翌週の「CAT Ladies」で2週連続優勝を達成。今季は開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」、「RKB×三井松島レディス」で勝利を挙げた。Honda所属。
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