- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- 【韓国独自取材】 イ・ボミが不振の渋野日向子に伝えたい言葉 「もつれた糸が一度ほどけたら解決する。もっと楽に」
昨季限りで日本ツアーを引退したイ・ボミだが、今でも共に戦った選手たちのことは気にかけている。不振が続いている渋野日向子にイ・ボミが伝えたい言葉とは?
今季9試合に出場して予選落ち6回の渋野日向子
昨季限りで日本ツアーを引退したイ・ボミ。今年がプロになって試合に出なくなった初めての年となるが、日本ツアーのことは今も気になっているという。一方で米ツアーに多くの日本選手が参戦していることにも関心を寄せている。
今週開催の全米女子オープンには21人の日本人選手が出場するが、多くの日本のゴルフファンが復活を期待しているのが渋野日向子だろう。今季は予選カットのない2月のホンダLPGAタイランドを含め9試合のうち、予選落ちが6回と不振が続いている。こうした状況について、イ・ボミに見解を求めるとこんな話をしてくれた。
「渋野選手が今年不調なことは結果を見ながら知っているのですが、成績が悪くても、試合後に毎日いろいろと聞かれていると思いますし、それが記事になっていることも分かります。期待に応えたいとか、結果を出したいと思っているのにうまくいかない状況をたくさんの人たちが知っているのだと考えただけでも、精神的にかなり疲れると思います。日本ツアーに戻るべきとの声もあるそうですが、だからといってうまくいく保証もありません」
渋野がどこでプレーするのか、しないのかについても、外野がとやかくいうことではないというスタンスだ。
「渋野選手は米ツアーでプレーするという夢を持って海を渡ったわけで、このまま日本に戻るわけにはいかないというプロとしてのプライドもあるでしょう。私が渋野選手に話を聞いたわけではありませんが、もしかしたら、成績は出ていなくても米国の文化やゴルフの環境が好きだから、今も頑張っているということも考えられますよね」
渋野の立場としては結果ももちろん重要だが、米国のゴルフ環境のなかでプレーしたいという思いが確かにあるかもしれない。強い芯やプライドを持ってもいるだろう。
その上で、イ・ボミは「もっと楽に考えてもいい」と話す。
「ゴルフというのは、『もつれた糸が一度ほどけたら解決する問題』と楽に考えるのがいのかもしれません。抱えている問題を把握して、少しずつ解決していけばいいと思います」
「プロの世界で長く続けられること自体がすごいこと」
さらに渋野が試行錯誤を続けている「スイング改造」についての見解も語ってくれた。
「私も日本ツアーでなかなか勝てずに不振が続いた時、スイングに固執するよりも体と心をもっと鍛えるべきだと感じました。ツアーは体力の管理を優先すべきです。体力があればメンタルも整いますし、体が作られていないと、すべてがブレるのは間違いありません」
「私は当時、スイングに執着するあまり、体作りをおろそかにしてしまいました。そうなると頭も疲れて、いいイメージのショットも出なくなる。毎週試合が続くなかで、体力をつけるのは難しく、それに負の連鎖が続くと、周囲でも正確なアドバイスや声をかけてくれる人が少なくなったりもします。ダイナミックなスイングをする渋野選手ですが、たぶん今は自信を失っているのもあると感じます」
最後にイ・ボミは、世間の渋野への期待値が過度に高すぎることにも警鐘を鳴らした。
「これだけプロの世界でゴルフを長く続けられること自体がすごいことです。渋野選手は日本でも何度も優勝していますし、米ツアーでもシードを取ってきました。それだけでも偉大なことなのに、全英女子オープンに勝ったという実績があることで、周囲が求める結果のレベルが高くなりすぎていると思います。常にその位置にいないとダメな選手という見られ方は、選手の立場からはとてもプレッシャーになると思います。もちろん関心の高さには感謝すべきですが、過度な期待は選手に負担になることを忘れないでほしいです」
まだ言いたいことはたくさんあるようだったが、「今日はこれくらいにしておきます(笑)」と笑って話を終えた。人気絶頂を経験し、成績が悪いときはメディアに叩かれた経験もあるイ・ボミが、今だからこそ渋野に送りたいメッセージだった。
イ・ボミ
1988年8月21日生まれ、韓国出身。2010年に韓国女子ツアー賞金女王となり、11年から日本ツアーに参戦。15年に7勝、16年は5勝して2年連続で賞金女王となる。ツアー通算21勝。19年12月に俳優イ・ワン氏と結婚。23年シーズンをもって日本ツアーからの引退を発表した。愛称は“スマイル・キャンディ”。延田グループ所属。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking