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シード滑り込みへ初日首位! 政田夢乃が“右ペラ”克服のために取り組んだバックスイング修正 意識すべきは右肩? 左肩?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「伊藤園レディス」で初日単独首位に立った政田夢乃(まさだ・ゆめの)。開催中の「大王製紙エリエールレディス」でも初日を首位で終えています。
政田夢乃の持ち球はストレートドロー
11月8~10日、千葉県のグレートアイランド倶楽部で「伊藤園レディス」が開催されました。優勝したのは山内日菜子選手です。
この大会は毎年のように終盤の17、18番ホールでドラマが生まれますが、今年も例外ではありませんでした。山内選手の17番(パー3)のグリーン右奥のカラーからのアプローチ。ピンまで約20ヤードのチップショットがカップに吸い込まれ、劇的なチップインバーディー。この1打で単独首位に立ち、ツアー通算2勝を飾りました。
山内選手の今大会前のポイントランキングは73位。来シーズンのシードが危うい状態からシード権確保と宮崎県の宮崎カントリークラブで行われる最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」の切符を手にしました。
宮崎県出身の山内選手が「優勝して帰れるのは宮崎の皆さんにも喜んでもらえる」と笑顔を見せていたのが印象的でした。
さて、そんな「伊藤園レディス」ですが、初日に1イーグル、6バーディー、ノーボギーの8アンダーで単独首位スタートを切ったのが政田夢乃選手でした。開催中の「大王製紙エリエールレディス」でも初日を首位で終えています。
実は政田選手、「伊藤園レディス」の1、2カ月前からアイアンショットの調子が上がらずに悩んでいたんです。彼女の持ち球はストレートドロー。真っすぐに近い軽いドローボールです。しかし最近は、長いクラブを持つと球をつかまえきれず、いわゆる「右ペラ」でターゲットの右手前にショートするシーンがありました。
原因はアウトサイド軌道です。「カット軌道でスライスする」というと一般ゴルファーのミスのように思うかもしれませんが、プロも同じような症状が表れることがあるんです。毎週試合をやっていると、「ボールにしっかりコンタクトしたい」という気持ちが強くなり、無意識に上からヘッドを入れるようになっていきます。アウトサイド軌道が強くなっていくと、球がつかまらず、狙ったところに打てず、飛距離もロスしていくわけです。
球がつかまらない人は「右肩を引く」意識でバックスイング
長いクラブで球がつかまらなくなってきた時は、バックスイングを修正するのが効果的です。実際、私が政田選手にアドバイスをしたのも「体の右サイドを回転させてテークバックする」ということでした。右サイドを引いて体を回転させると、体の運動量が多くなって上半身と下半身の捻転差があるトップができます。このトップができれば懐にスペースが生まれ、球がつかまる軌道でクラブを振り下ろしやすくなります。
皆さんはテークバックで体のどこを意識してクラブを上げていますか? 「左肩を右に動かす」など、左肩を意識する人は意外と多いのですが、右サイドが動かないと体が回らず、クラブがアウトに上がってしまいます。
球がつかまらずに悩んでいる人は、「右肩を引く」意識でバックスイングしてみてください。右肩甲骨が後ろに動けば捻転したトップになり、球がつかまるようになるはずです。
政田 夢乃(まさだ・ゆめの)
2000年生まれ、北海道出身。同学年に古江彩佳や吉田優利らがいる中、ジュニア時代は「全国中学校ゴルフ選手権」「全国高校ゴルフ選手権」で優勝するなど活躍。高校卒業後はプロを目指す若手女子選手が出場するネクストヒロインゴルフツアーに出場し、23年は4勝を挙げて年間女王を獲得した。5回目の挑戦となった同年のプロテストに合格し、今季はルーキーとしてツアーに参戦。レギュラーツアーの初戦となった「リゾートトラストレディス」では8位タイ、「NEC軽井沢72ゴルフ」では2位タイという成績を残している。なないろ生命所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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