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20代の実績で上はニクラスとウッズだけ シェフラーが放った“余計な一言”と“我が世の春”を正しく使った提言とは?

2025.05.21 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
スコッティ・シェフラー 全米プロゴルフ選手権 砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

メジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」は、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーの優勝で幕を閉じた。良くも悪くも、その発言でも注目を集める大会となった。

ナイキの優勝広告にはなぜか「ギルティ(有罪)」の文字

 シーズン2つ目のメジャー大会「全米プロゴルフ選手権」を制覇したのは、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーだった。

「全米プロゴルフ選手権」でメジャー3勝目を挙げたスコッティ・シェフラー 写真:Getty Images
「全米プロゴルフ選手権」でメジャー3勝目を挙げたスコッティ・シェフラー 写真:Getty Images

 初日は首位から5打差の20位タイ発進と、やや出遅れたが、それでも彼は、ある「怒りの発言」によって大きな注目を集め、話題の中心になった。

 そして2日目のシェフラーのゴルフは、まるで言いたいことを言ってすっきりしたかのように好調に転じ、リーダーボードを駆け上って5位タイへ浮上。

 3日目はさらに好調になり、304ヤードと短い設定だった14番パー4では、3番ウッドで打ったティーショットがピンそば60センチに止まり、楽々イーグル獲得。

「あれだけ離れていれば、ラック(運)も必要だが、思った通りのショットが打てた」

 終盤も15番、17番、18番とバーディーを重ね、2位に3打差の単独首位で最終日を迎えた。

 サンデーアフタヌーンはシェフラーの独壇場となることが予想されていた。しかし、いきなりボギー発進となったシェフラーは、前半はショットが左に曲がり、小技もパットも冴えず、9番でボギーを喫した時点で、追撃をかけてきたジョン・ラームに並ばれた。

 だが、並ばれたことでエンジンがかかったのか、後半はフェアウェイをとらえ始め、寄せもパットもみるみる上向き、世界ナンバー1の実力を存分に発揮。その勢いに押されたかのようにラームのゴルフは乱れ始めて自滅し、シェフラーが通算11アンダー、2位に5打差を付けて圧勝した。

 振り返れば、初日から最終日まで、話題の中心はシェフラーだった。ただ話題になっただけではもちろんなく、最後は見事なゴルフを披露して勝利を挙げたところが「さすが」だった。

 PGAツアーの記録によれば、29歳になる以前にメジャー3勝を含む通算15勝を達成したのは、近代においては、ジャック・ニクラスとタイガー・ウッズに続き、シェフラーが史上3人目だという。

 まさに今はシェフラーの黄金時代。彼と契約を結んでいるナイキは、我が世の春を謳歌している様子のシェフラーの勝利を讃えるユニークな広告を、すぐさまネット上で公開。

 ドライバーを振ってフィニッシュを取るシェフラーの後ろ姿の写真の上に、こんな広告コピーが躍っていた。
「世界で最高のプレーヤー? ギルティ(有罪)だ」

 そのフレーズの下にナイキのロゴマークであるスウィッシュが付されていた。

「ギルティ」とは、強烈な言葉だが、だからこそ、目を引くコピーである。

 化粧品などの広告で「美しさは罪である」といった類のコピーを目にした記憶があるが、ゴルファーの強さを「有罪」と表した広告は、きわめて珍しい。

「有罪」という言葉が使われた背景には、昨年の出来事も大いに関係があるはずである。昨年の全米プロの際、自らハンドルを握って試合会場に向かっていたシェフラーは、事故渋滞していた道路で、交通整理の警官の指示に従わなかったとみなされ、その場で後ろ手に手錠をかけられ、連行された。

 拘置所のオレンジ色のユニフォームを着せられ、マグショットと呼ばれる顔写真まで撮影されて、大騒動に発展した。

 しかし、数時間後に釈放され、試合会場に大急ぎで戻り、遅延されていたスタート時間にぎりぎり間に合って、4日間を無事に戦うことができた。その後、最終的にはお咎めなしの無罪放免となった。

 その出来事にひっかけて、今回のシェフラーの圧勝ぶりは「あまりにも強すぎて、すごすぎて、これは罪だ」という意味合いが込められた広告コピーだと読み解くことができる。

 アメリカらしいジョークを交えたユーモラスでユニークなコピーである。柔和な表情と雰囲気を醸し出すシェフラーだからこそ、「有罪」という強いワードが際立つと見ることもできる。

「僕らが人生をかけて磨いてきたショットが台無しにされている」

 かつてニクラスやウッズの周囲には常に緊張感が漂っていたが、シェフラーは柔和な人柄のせいか、彼の周りには、そうしたピリピリ感はさほど感じられない。

 しかし、世界ランキング1位の発言がゴルフ界にもたらす影響力は、やっぱり多大である。だからこそ、言うべきことは言うべきであり、言わないで済むことは、できることなら言わないでほしい。

 今大会の初日に大きな注目を集めたシェフラーの「怒りの発言」は、望むらくは、言わないでほしかったと私は思う。

 大雨によってコースが大量の水を含んでいる場合、PGAツアーの大会なら、ボールを拾い上げ、タオルで拭いた上で元の位置に置くことができる「プリファード・ライ」、通称「リフト・クリーン&プレース」がローカルルールとして頻繁に適用される。

 しかし、全米プロを主催するPGA・オブ・アメリカは、今大会の月曜日と火曜日に大雨に見舞われたものの、「コースは十分にプレー可能な状態」として、プリファード・ライを適用しないことを決めた。

 そして初日。ボールに泥が付いたまま打たざるを得なかったシェフラーの16番の2打目は、左に飛び出し、池に落ちてダブルボギーとなった。

「アメリカのゴルフは英国リンクスとは状況が違う。オーバーシードされたフェアウェイでは、ボールにたくさん泥が付く。あるがままでプレーすべきだと主張する人々は、僕らが人生をかけて磨いてきたショットが、突然のルール(判断)によって台無しにされていることを理解していない」

 いくら世界ランキング1位の発言であっても、ひとたび決定され、発表されたルール上の決定が、試合の途中で覆されることは、まずないと言っていい。

 いや、覆されるかどうかはさておき、そもそもゴルフは「あるがまま」でプレーするのが本筋。「プリファード・ライ」はプレー進行を早める目的で、主としてPGAツアーにおいて、ローカルルールとして適用されているもので、下部ツアーや草の根のミニツアー、アマチュアの大会でも、みな「あるがまま」でプレーしている。いわば、プリファード・ライはトッププレーヤー向けの特別ルールのようなものと言っても過言ではない。

 それが適用されなかったことに対して激しい不満を示したことは、心情的には理解できなくもないが、決してカッコいいものではなかった。

「ルールはルール」「みな同じ条件で戦っている」。そう言った上で勝利していたら、シェフラーの株はさらに上がったのではないか。そう思うと、少々残念だった。

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