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女子ツアーにミニドラ使用者が見当たらない理由とは? セッティングに取り入れる際に一般ゴルファーが考えるべきこと

2025.09.09 高梨祥明
クラブセッティング ゴルフギア ツアー選手権 トミー・フリートウッド ドライバー 米国男子ツアー

「ツアー選手権」で悲願のPGAツアー初優勝を遂げたトミー・フリートウッド。彼のセッティングでいつも話題に上るのが、歴代のミニドライバーを入れていることだ。ツアーでミニドラはどんな考え方で取り入れられているのだろうか。

ミニドラ使いはパワーヒッターかベテランかで二極化?

 今年はクラブメーカー大手から新作が続々登場したこともあり、「ミニドライバー」に関心を寄せているゴルファーも多いだろう。PGAツアーでは「R7 Quad Mini」を使いこなすトミー・フリートウッドが「ツアー選手権」で待望の初優勝を遂げたことで再び脚光を集めている。

 ゴルフクラブの開発史を紐解けば、ドライバーはヘッド体積が大きい方がミスにやさしい、シャフトが長い方が飛ぶというのが進化の王道であるのは明白だが、今なぜまた小さくて短いティーショットギアに注目が集まっているのだろうか。今回は日々ツアー現場でプレーヤーと向き合っているツアーレップに話を聞いてみた。

国内ツアーでも大きな話題となった「R7 Quad Mini」(テーラーメイド)と「GT280」(タイトリスト) 写真:高梨祥明
国内ツアーでも大きな話題となった「R7 Quad Mini」(テーラーメイド)と「GT280」(タイトリスト) 写真:高梨祥明

 今年テーラーメイドが発売した「R7 Quad Mini」はフリートウッドが愛用していることで有名だが、国内ツアーでも「リシャール・ミルチャリティトーナメント」で池村寛世を3年ぶりの勝利に導くなど大きな注目を集めている。「関西オープン」で国内ツアーへのシーディング(配布)が始まり、池村だけでなくミニドライバーマニアとも呼ばれる近藤智弘などが即実戦に投入するシーンが見られたが、ツアーに帯同しプレーヤーのサポートをしているテーラーメイドのツアー担当・小竹素史さんは、ミニドライバーをどう捉えているのか聞いてみた。

「まず新製品だからといって広く積極的にツアープロモーションしなくてはならないものではない、というのが我々にとっての『R7 Quad Mini』の立ち位置だと思います。あくまでも選手側から使ってみたいという話があってから対応する。だからこそツアー投入から4カ月たっても使用者が増えることもなければ、減ることもないという感じですね」(小竹さん)

フェアウェイというよりもドライバー的な安心感が強い「R7 Quad Mini」 写真:高梨祥明
フェアウェイというよりもドライバー的な安心感が強い「R7 Quad Mini」 写真:高梨祥明

 メーカーが誰かれ構わずプロモーションしないのにはもちろん理由がある。

「ミニドライバーに興味を持つプレーヤーの特徴は大きく分けて2つ。超がつくほどのパワーヒッターか、あるいは40歳を越えたベテランプレーヤーかですね。まず、パワーヒッターがミニドライバーを欲しがる理由ですが、それは国内ツアーにおいては彼らがドライバーを思い切り振れるケースが意外に限られているからです。300ヤード以上飛ばすよりも270ヤード前後のほうがライもよく、セカンドショットを有利な条件から打つことができるケースも多いのです。それなら3Wで打てばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、プロにとっても3Wは一番難しいクラブであり、パワーヒッターの場合はパー5であっても5Wや3Uで十分に2オンが狙えてしまう。使用機会が限られる番手でもあるのです。ティーショットメインと考えればミニドライバーの方が安心感があり、フェアウェイからでも打てないことはない。『だから3Wを外してミニドラを入れよう!』ということになるのです」(小竹さん)

 もちろん飛距離が必要なホールでは通常の大きくて長いドライバーで打ち、飛距離が必要ないホールではミニドライバーを握る。ドライバーを「2本持ち」することでスイング的な調整を加えることなく、飛距離を調整。その方がミスも少なく、弾道の一貫性も高まるということなのだ。

「一方、ベテランプレーヤーについては、お察しの通り、現在の大型ヘッドドライバーに使いにくさを感じている場合が多いです。アームローテーションを大きく使うスイングタイプではフルサイズで長いドライバーは、イメージ通りにフェースコントロールしにくいものでもある。この場合はどちらかと言えばドライバーのリプレース(代用/置き換え)。イメージしたティーショットを打つためにメインで使用するドライバーになります」(小竹さん)

 慣性モーメントが大きく、オフセンターヒット時でも一貫したディスタンスパフォーマンスが期待できるのが大型ヘッドドライバーの魅力だが、その進化した許容性もボールがイメージした枠の中に飛び出して初めて大きな武器になる。直進性は高いが打ち出される方向が右のラフでは、プロであってもスコアマネジメントしにくいのである。

コースによってミニドライバーが増えることも

 今年、ブランドとしては初めてとなるミニドライバー「GT280」を登場させたタイトリストでは、ツアーでのミニドライバーへのニーズをどのように分析しているのだろうか? ツアー担当の真野義英さんに聞いてみた。

「今年最もGT280の使用者が多かった試合が中日クラウンズになります。それはコース自体がそれほど長い設定ではなく、加えて右サイドに打ちたくないホールが多いからだと思います。460ccで長いシャフトの通常ドライバーでは、プロでも右へのミスが消しきれない。重心距離が短めでシャフトも短いGT280なら、フェースコントロールしやすく安心して打っていけるというわけです」(真野さん)

 ただし、通常セッティングのゴルフコース(ドライバーが飛んだ方が有利になり、なおかつ振っても致命的なミスになりにくいコース)になると、ミニドライバーの使用者がほぼ0(ゼロ)になるという。

「今年は国内男女ツアーでGTドライバーの信頼度がかなり高くなっていて、契約外プレーヤーも含めて使用者が爆上がりしているのです。ドライバーに不満があればミニドライバーにも関心がいくのかもしれませんが、幸か不幸かミニドライバーよりもドライバーに注目が集まっている。それがツアーの現状だと思いますね」(真野さん)

 たしかにドライバーに不満がなければ、あえてミニドライバーを使おうとは思わないだろう。

女子プロにミニドラ使いがいない理由

 ちなみに、女子ツアーでのミニドライバーの使用状況についても、テーラーメイド小竹さんに聞いてみたが、「たぶん一人もいない」のではないかという回答。女子プレーヤーは普通のドライバーでもフェアウェイにコントロールできるし、ティーショットの飛距離を抑えなくてはならないコース設定でプレーしているわけでもない。つまり、ミニドライバーを使うメリットがないわけである。また、ゴルフを始めた時にすでに大きくて長いドライバーがあり、それでスキルを磨いてきた若い世代が中心であることも「女子ツアーにミニドラ使いがいない」理由となる。

 では、これらを踏まえて、われわれアマチュアゴルファーはミニドライバーとどう向き合えばいいのかを考えてみたい。まず、第一に「大きくて長い普通のドライバー」に苦手意識や不満があるかどうか、を自問自答していただきたい。同じヘッド体積、長さの中でモデル違いを試しても、ゴルフを変えるほどの違いが生まれにくいことは多くのゴルファーが経験済みなはず。苦手意識があるならば、まったく違う規格(大きさ・長さ)にチャレンジしてみることも一考だ。そうすることで男子ツアーのベテランプロがミニドライバーを重宝がる理由も理解できるかもしれない。

 次に、普段プレーするゴルフコースで青天井の最大飛距離が必要とされているのか? ということも改めて考えるべきことの一つ。例えば、セルフプレー主体のコースによくあるフェアウェイに設置された吹き流し(ティーショットの狙い目)付近に打っていくのに、もっと!もっと!飛ばせるドライバーが必要なのか?という視点である。ツアーでいえば前者はベテランプロの視点、後者はパワーヒッターの視点となる。いずれにしてもドライバーにおいても「ただ飛ばしたい!」ではなく、「あそこに打ちたい!」が大切であることをツアープレーヤーの道具選びは教えてくれる。

トミー・フリートウッドがミニドライバーを使う理由
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